「お名前は?」「覚えていません」――。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい自分”に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで女を誘う...―そして新たな経験をポラロイドに記録する。ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする・・・。記憶はどこにいったのか?新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。
東京で100年続く老舗和菓子屋「きしだ」は、五人兄弟の三男・岸田龍太郎が跡を継いでいた。コロナ禍で売上も落ちたが、龍太郎の発案である新商品の開発と広告宣伝が好調で何とか持ち直していた。そんな矢先、父・春彦が倒れ家族はパニックに。そして、せっかく就職し社会人デビューできた五男・剛だったが会社を勝手に退職し、ダンサーの夢を諦めきれず斎藤が主宰するスタジオに通い出す。剛の勝手な行動に激怒した母・優子は剛を勘当するのだが・・・。そんな中、龍太郎の同級生で大手百貨店に勤務する只野から「きしだ」を百貨店に出店しないかと持ち掛けられる。
ある家族の、愛と運命の物語 一人息子を亡くし、代々続く家系が途絶える危機に頭を痛めている辰也とその母ハル。息子を失い妻が出て行ってしまった辰也に対し望まぬ相手との結婚を迫るハル。そして娘の由子に婿養子をとり、跡を継いでほしいという思いを秘める辰也。名家の跡継ぎを巡り家族の中が緊迫し、繋がりが崩れだしていくが…。
終活アドバイザーのバイトをしている不登校の女子高生・咲(岩本蓮加〈乃木坂46〉)は、一緒に働く老紳士・敬三(宝田明)と共に、様々な境遇の人々の「終活」の手助けをしていく。咲は危険と隣り合わせの職業で、万が一のために家族に遺書を残していこうとする者や余命わずかで思い出を残そうとする者たちに寄り添って「終活」のお手伝いをする日々を送っていた。そんな最中、咲の担任でかつて国語教師であった南雲(土居志央梨)は生徒からのイジメに遭い、教師をやめ自暴自棄の生活をしていた。咲はひきこもりの彼女の様子を見に度々家を訪れ、様子をうかがっていた。一方で、イジメの張本人の女子生徒を待ち伏せして自分の気持ちをぶつけたりもするが、彼女の中のやるせない気持ちは消えることはなかった。自身も不登校で行き場を求めている咲に、敬三は病気で老い先短い妻(吉行和子)とかつて見た桜の下での思い出を語る。咲は敬三たち夫婦を励まそうと、敬三がかつて見たという桜の木を探しに出かけるのだが・・・。
「サムライゾンビフラジャイル」深夜、ゾンビたちの襲撃を受けて気絶していたが、侍の格好をしたゾンビに助けられた赤井葵。しばらくして葵が見たことのない部屋で目を覚ますと、侍ゾンビの同居人で名探偵を自称する老人が現れ、葵がゾンビに襲われた原因を究明しようと言う。葵、侍ゾンビの上下左右衛門之介、老人探偵・横井昭吉は、葵がゾンビに襲われた謎を探るが……。「マンダンケ」漫画家を夢見てドイツから日本にやってきたエレナ。有名漫画家の新人アシスタントとして奮闘するも毎日が空回り。ある日、同じアシスタントの美由紀と漫画対決をすることになるのだが…。「じぞう」古びた一軒家を掃除するお爺さん。山道の向こう側で、田舎の風景を平然と見守る地蔵の像。ある日、女の子が急に現れる。地蔵のお供え物を食べる女の子を止めようするお爺さんは、とんでもない真実を知る。「犬が伝えたかったこと」亡き妻がかつて歩いた道をイヌと歩きながら妻の思いにふれる男を描くヒューマンドラマ
福岡で急成長しているベンチャー企業、アイセンス。だが、ある日、社長の北村創次の強引なやり方についていけなくなった社員たちが一同に退職。競合となるGIファクトリーを設立する。1年後、GIファクトリーにより案件をいくつも奪われ、アイセンスは危機的状況に。北村は社運を賭け、会社初となる新卒採用に乗り出す。そのプロジェクト・リーダーに大抜擢されたのは、大学時代に学んだ社会心理学を活かし、高い営業成績をあげている若手社員の川島美沙だった。会社の立て直しを目指し、新米採用リーダー・川島と社長・北村の挑戦が始まる。
天才的な技能を駆使し、古い家電からロボットまで修理を請け負う工房で働く16歳の倫太郎。ある日、ひとり暮らしの老婦人からAIBOの修正依頼が舞い込む。時を同じくして、倫太郎は発声障害のある14歳の少女すずめと出会う。すぐに仲良くなったふたりは、依頼品のAIBOと共に20年ぶりに復活した榛名湖のダイダラ祭りへと向かう。湖には「甦りの伝説」があり、願いが叶うと亡くなった人が甦るという。その帰り道、AIBOがとある録画映像を映し出したことで、倫太郎も知らなかった過去が明らかとなっていく―――。
2011年。東日本大震災で未曽有の被害を受けたたくさんの人たち。その中で、被災した宮城県から栃木県鹿沼市に引っ越して来た母娘がいた。鹿沼でほうき職人として伝統を守ってきた男は、家業だけでは生活が出来ないため副業として塾を経営している。男は宮城から鹿沼にやって来たその母子家庭の娘を支えてやろうと月謝を取らずに塾に通わせていた。高校受験を控えたその娘はしかし、心に負った震災の傷が癒えずに塾を休みがちになる。どうにかしてやりたいと思うが不器用な男は何もできない。さらに自分には実の娘がいて、娘としては他人の娘にばかり優しくする父が面白くない。見かねた妻がたしなめるが男はわかっていない。やりきれない心と心がすれ違い交わりそうで交わらない。息苦しい暮らしの中で娘たちは何かを見つけるのか――
順調とは言えない毎日、幼い頃から抱く父への不満、心に燻る微かな想い…生まれ育った町に帰り、未来に向かって走りだした先でみつけた“大切なもの”とは―。大学進学を機に上京し役者を目指す大河(森崎ウィン)は、ある日突然、地元で暮らす幼馴染の美帆(深川麻衣)から父(西村まさ彦)の急死を知らされる。父はラリーで数々の栄誉に輝いたメカニックで、今は豊田市の外れで「北村ワークス」を営んでいた。しかし、大河は幼い頃死別した母を想い、家庭を顧みなかった父を今も許せておらず、釈然としない思いのまま久しぶりに故郷へ帰る…。実家ではエリート銀行員の兄(佐藤隆太)が、優秀なメカニックの父なしに経営存続は難しいと考え、「北村ワークス」を畳む決断をする。一方、大河は実家で兄と遺品整理する中で父の知らなかった過去に初めて触れる。さらにシングルマザーとして奮闘する美帆や、父が若き日にともにラリーをめざした親友・宮本武蔵(竹内力)、路頭に迷う従業員(田中俊介、小林きな子、有福正志)たちと向き合ううちに、父の残した本当の思いに気づき、自分自身と仲間たちの再起をかけてラリーにチャレンジしようと決意する。しかし、素人の大河、頼りない仲間たちとの挑戦には、予想もしていなかった困難が待ち受けていた――。
22歳の大学生・晃は、好意を寄せる先輩・吉岡を連れ、尾道の実家にやって来る。晃は吉岡を退屈させないよう女の子を誘って遊びに出ることにし、幼なじみの文江や彼女の友人みーこと4人で過ごすように。やがて吉岡はみーこのことが気になりはじめ、晃を悩ませるが……。
1996年、関東の郊外、埼玉県岩槻市。暴力団「青葉会」が支配する大宮周辺では巨大暴走族が蔓延り、日々若者の抗争が絶えなかった。そこで一躍名を上げていたのが、県下一の勢力を誇る暴走族「桜神會」(おうじんかい)の吉田正樹(奥野壮)だ。しかし、その活躍を面白く思わない青葉会と、その傘下に入った暴走族「魅死巌」(みしがん)の企みにより正樹は少年刑務所に送られてしまう。少年刑務所での酷い仕打ちに抵抗する正樹だったが、娑婆に残った桜神會のメンバーが次々と青葉会に買収され、妻や娘も不当なゆすりに遭っていることを知る。正樹は青葉会や魅死巌への復讐を誓い、一刻も早く、この灰色の壁を出るべく、まずは模範囚になることから始めるのだった。いま、ある男の人生を賭けたリベンジが静かに始まった―。
ある日、川島いづみは大金の入った財布を拾う。中に入っていた学生証をたよりに、その財布の持ち主に返すはずが…。いづみ、友達の蓮実と薫、そして財布の持ち主・佐藤。財布の中に入っていたはずのお金を介して、彼らのいつもの日常に小さな変化が訪れた――。
池田徹(TAKAHIRO)は、島で一二を争う凄腕の漁師だったが、12年前に漁をしている最中に嵐と遭遇して、妻を亡くした過去があった。その時、自身も頭を強打し、目覚めた時には全て記憶を失っていた。事故後、徹は一切漁に出ることなく、失った記憶に怯えながら日々を生きていた。過去を振り返ることも、未来へ動き出すこともできないまま葛藤していたのだ。そんな息子の姿を見て、母親の信子(松坂慶子)も苦しい思いを抱えている。一方、島のフェリー乗り場には木村めぐみ(山口まゆ)、福間雄一(板垣瑞生)、横山愛美(柴田杏花)、の高1の留学生が到着する。県立隠岐島前(どうぜん)高校では「島留学」と称し、都会から越境入学で生徒を受け入れているのだ。「島留学」では、単身やってくる生徒に島で親代わりになってくれる世話役を島内から募集して、生徒ごとに「島親」としてあてがい、島で生徒たちが快活に生活できるようサポートしている。池田家もこの取り組みに賛同し、雄一の「島親」になった。徹は漁協の休みに釣りに出かけ、距離を縮めていく。高校では生粋の島生まれの生徒と島留学できた都会育ちの生徒が悩みや葛藤をもちながらも、それぞれ将来への夢や希望に向かい、絆を深めていく。そんな高校生たちとは対照的に、徹は依然、未来への一歩を踏み出せずにいた。船着き場に佇む徹を見つけた信子は心配そうに声をかけるが、徹は「大事なことを忘れてしまっている。いや、その大事なことすら何か分からない……」と苦しい胸の内を吐き出す。ある日、信子は徹の記憶を取り戻そうと、ある計画を実行する。果たして徹の失った時間は戻るのか、また、止まった時間は再び動き出していくのか?
交通事故で両親を失い、いきなり一家の主となったヨンジュ(キム・ヒャンギ)は自らの学業を放棄しても弟ヨンイン(タン・ジュンサン)の面倒だけはみようと決意する。しかし、ヨンインはそんな姉の思いをよそに、非行に走り問題を起こしてしまう。示談金を用意しなければヨンインが少年院送りになるという状況に直面したヨンジュは、両親の事故の加害者であるサンムン(ユン・ジェミョン)を訪ねるが…。
和彦は母親が病気になったことをきっかけに仕事を辞めて実家へと戻ってきた。老人ホームで働き始めた和彦を待っていたのは、慣れない老人たちの介護と家では母親の愚痴を聞くという過酷な毎日だった。施設の方針に疑問を持ちながらも、和彦は入居者が楽しく笑顔でいられる理想を思い描きながら、日々の業務をなんとか真面目にこなしていた。そんな後藤に入居者のアイコだけが反抗的な態度をとっていた。自己主張するアイコに感化された和彦は、ホームでの仕事に生きがいを見つけようとするが……。
小夜は東京で生活していた。ある日、田舎で暮らす姉のあすみから連絡があった。それは今度結婚するという内容の電話。「おめでとう。何て人?」あすみは言いにくそうに名前を言った。「布施野さん……」その名前を聞いて小夜は愕然とした。その男は8年前にある事件を起こしていた。
30歳を目前にした功一は、東京での仕事を捨て、函館の空き家になった実家で暮らし始める。何も告げず東京に残してきた愛人に電話をすると、女は一人の若い女性との出会いを予言する。ある一夜、功一は場末の裏通りで亡き父に似た流しのアコーディオン弾きとすれ違い、昔馴染みのバーで働き始めたユミコを知る。そして二人は互いの過去や孤独を語りあい、次第に思いを深め合っていく。ユミコと一緒に暮し始めたある夜、静まりかえった部屋で功一は死んだ父と出会う。功一はユミコとの将来を伝えるが父は何も答えてくれない…。
御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく…と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る…
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ。母のマルティーヌは息子の好きだった料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌは慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ、彼の妻のカトリーヌはルイとは初対面だ。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れるかのように、ひたすら続く意味のない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していく兄の激しい言葉が頂点に達した時、それぞれが隠していた思わぬ感情がほとばしる――――。
内モンゴルのフルンボイル草原に暮らす一組の夫婦。夫のチョクトは都会での生活を望んでいるが、妻のサロールは今の暮らしに満足している。どこまでも続く大地、空を流れる白い雲。羊は群れをなし、馬が草原を駆けぬける。しかし、自由なはずの草原の暮らしにも変化が訪れ、徐々に二人の気持ちがすれ違いはじめる。そして、ある冬の夜、二人は大きな喪失を経験する。その日を境に、サロールと草原で生きる覚悟を決めたチョクトだったが…。
北海道から修学旅行で岡山に来ていた相馬春奈(福本莉子)は、入院中の祖母のために、ぶどうの高級品と言われる“マスカット・オブ・アレキサンドリア”をお土産にしようとしたが財布を落としてしまう。あまりの値段の高さに諦めに境地だったが、そんな時に見つけたのが、アレキサンドリアをそのまま和菓子にした「陸乃宝珠」だった。手元に残っていたお金でそれを買った春奈は、祖母が食べて喜んでくれたことに感動し、「お菓子は人を幸せにする!」と、その和菓子を発売していた岡山の老舗和菓子メーカーに就職をした。笑顔で元気な春奈だったが、研修中は何をやらせても失敗ばかりで、困った人事部は、昨年の新入社員が半年足らずで辞めてしまったという、偏屈で名高い、ぶどう農家・秋吉伸介(竹中直人)のところに配属させたのだった。拒否されながらもなんとか紳介にくらいつく春奈。なかなか心が通いあえなくても負けずに頑張るその姿に、次第に紳介との距離を縮めていく。そんな時、岡山県に未だかつて経験したことのないという、大雨、大洪水が襲った…。
神奈川の山間の町・下村。ひょうきんな父と、優しく聡明な母の愛情を一身にうけ育ってきた大塚あやめは、高校卒業後は東京の専門学校に進学することを決めている。そんなある日、18年前から絶縁状態だった姉・すみれが帰ってくる。あやめと同い年の娘・茉祐子をつれて。自分の知らない家族の姿に戸惑い、受け入れられないあやめ。しかしすみれの過去の想いを知り、本当の「家族」の意味に気づいていく…。故郷からの旅立ちを前に葛藤し、時に真正面からぶつかっていく少女の成長、そして家族や故郷の人々の深い愛情が胸に迫る。
ベトナムで日本語教師として働く日本人女性・小松みゆき氏が認知症の母との暮らしをつづった「越後のBaちゃんベトナムへ行く」を、フィクションを交えながら松坂慶子主演で映画化した人間ドラマ。日本で離婚した後に憧れの地ベトナムへ移住し、日本語教師として働いているみさおは、認知症が進行しはじめた母を義兄が施設に預けようとしていることを知り、母をベトナムに連れて来ることを決意する。母は慣れない土地での生活に戸惑いながらも、ベトナムの人々の温かさに触れるうちに少しずつ笑顔を取り戻していく。
軍事法廷では、全米が注目する裁判が開かれていた。アメリカ政府の建物を爆破し、多くの死傷者を出した罪を問われている被告人の名女・ジャンヌ。神の声を聞いて行動したと主張したことで、キリスト教信者から“オクラホマの乙女”と呼ばれる女だった。マスコミは遺族のつらい心情を書き立て、極刑を望む論調を繰り返し報道するもものの、ある者は彼女を聖女だと言い敬い、ある者はテロリストだと言い憎みを募らせる。ジャンヌの扱いに苦慮した軍の上層部は、カウンセラーによる懐柔や処女検査などで精神と肉体に揺さぶりをかけるが、彼女の意見が覆ることはなかった。そして遂に業を煮やした軍上層部は、復活祭の日もって判決を下すことを決める。
たった一度の失敗で人生は終わらない。何度だって、どん底からだって、“リスタート”できる。北海道下川町で育った未央は、シンガーソングライターを夢見て上京。しかし、不本意ながら売れない地下アイドルとして活動していた。ある日、意図せず起きた有名アーティストとのスキャンダルによって、世間からのバッシングを受けることに。思い描いていた夢に破れ傷つき、故郷に帰ってきた未央だったが、家族や友人にも上手く接することが出来ずにいた。そんな中、同級生の大輝は、未央を思い出の場所へと連れ出す。自然豊かな景色とその優しさに癒され、未央はゆっくりと前を向き始める―。
葬儀屋を営みながらそこを自宅としても使っているベルナルドと妻のエステラ、そしてベルナルドの連れ子であるイリーナ。表向き、うまくいっているように見えるこの家族は、それぞれお互いがお互いに不満を抱えていた。そしてもうひとつ、この家族には悩みがあった。それは葬儀場で起こる不可解な恐怖現象の数々。ある日、娘イリーナはついに我慢することができず祖母の家に逃げ込んでしまう。そしてその日を境に、不可解な現象はさらに頻度を増していく。その原因を探るため、霊能力者を自宅に呼ぶ妻エステラ。そこで彼女は驚くべき事実を知ることとなる。なぜこの家族が狙われるのか…。家族に迫る恐怖の正体とは…。そして訪れる激しくも悲しい結末とは…。そこには、ある人物が企てた残酷な計画が関係していた。単なるホラーの枠には収まらない人間ドラマ、美しいカメラワーク、そして強烈な音楽。新進気鋭の監督が撮る「葬儀屋の秘密」が、ホラーの新しい扉を開いていく。
ピアニストのサムと作家のタスカーは、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。ところが、タスカーが抱えた病が、かけがえのないふたりの思い出と、添い遂げるはずの未来を消し去ろうとしていた。大切な愛のために、それぞれが決めた覚悟とは──。
大学に入学した柴原は、伊藤、橘、永井という3人の男子生徒と体育館で出会い、友人になる。学校では一緒にいる4人だが、それ以外の関わりはなく、普段何をしているかはお互いに知らない。生活のため続けるバイト、怪しげな先輩を介した怪しげな仕事、誰にも言えない心の悩み。知ろうとする度に、深まっていく溝。学生生活の終わりに、彼らを待ち受けているものとはー。
飼い主とともにプラハへ行く予定だった犬パルマは、検査の手違いからモスクワの空港に置き去りにされてしまう。空港に住み着いたパルマは毎日滑走路で飛行機を見上げ、飼い主の帰りを待ち続ける。時を同じくして、母親を亡くした9歳の少年コーリャが、パイロットである父親に預けられ空港にやって来る。コーリャとパルマは孤独なもの同士、すぐに仲良くなる。ある日、日本人に連れられた秋田犬が空港に現れる。その姿を見るパルマの目にこの上ない寂しさが宿っていることに気づいたコーリャは、パルマを飼い主の元へ戻すべく立ち上がるが……。
主人公の美咲は、母の介護をしながら地域の学童保育所で働いている。東京の大学を卒業したものの、就職氷河期世代で希望する仕事に就くことができず、恋愛も結婚も、なにもかもがうまくいかず、40歳を目前にした独身女性である。娘を否定しつづける毒母、そんな母に反発しながらも自分を認めてもらいたいと心の奥底で願う娘。そこに「介護」という現実がのしかかってくる。お互いに逃げ出したくても逃げ出せない。あるとき、美咲が唯一心のよりどころとしている親友・香織が突然命を絶ち、いなくなってしまう。美咲にとって、養蜂家として自立する香織は憧れだった。美咲の心もポキリと折れ、崩壊へと向かっていく。
ある日、誠(安楽涼)の兄が犯罪を犯した。それを苦にした父は自殺し、誠は母親に助けを求めたが、母は助けてはくれなかった。誠は家を飛び出し、自分を傷つけてくれるものを探した。そして、一t人の浮浪者に出会う。彼との出会いをきっかけに、誠の生と向き合う音が静かに響き始める。
柚季(架乃ゆら)は初恋の男性、幸太郎と恋愛結婚。念願のマイホームを購入し希望に満ちた新婚生活を始めていた。しかし柚季は初めての男性経験が夫だった経験の浅さから、夜の生活がギクシャクとしたものになっていた。ある日、柚季は大学時代からの友人、佳子から同窓会の誘いを受け、そこで柚季に好意をもっていた隼人と再会する。その頃、幸太郎は上司の高宮に夫婦の性の悩みを話すと、高宮の妻、雫も交えて相談に乗ってもらうことに・・。愛し合う2人が導き出した、夫婦の悩みの解決方法とは!?
シングルマザーの春子(西田尚美)と、その息子リク(寄川歌太)、春子の飲み友達めいこ(久保陽香)と、その彼氏で小説家のソラオ(忍成修吾)という一風変わった4人で共同生活をしている青葉家。夏のある日、春子の旧友の娘・優子(栗林藍希)が美術予備校の夏期講習に通うため、青葉家へ居候しにやって来た。そんな優子の母・知世(市川実和子)は、ちょっとした“有名人”。知世とは20年来の友人であるはずの春子だが、どうしようもなく気まずい過去があり…。
70歳になるアンドレアは、夫のジャン、孫娘のエマとフランス南西部の邸宅で穏やかに暮らしている。そこへ、母の誕生日を祝うため、長男ヴァンサンの家族、次男ロマンは恋人ロジータを連れてやってくる。家族が揃い、楽しい宴が催されようとしたその時、3年前に姿を消した長女クレールが帰ってくる。突然のことに戸惑いを隠せない家族。それぞれの思いはすれ違い、やがて混乱の一夜が幕を開ける――。
青山のアパレルショップで店長を務める伊藤真知子は、どこか満たされない毎日を送っていた。自分の意見は採用されず、年下のカリスマ店員・新堂さやかに仕事を取られ、ストレスが溜まる日々。そんなある日、さやかの何気ない一言がきっかけで真知子はSNSの裏アカウントを作り、自分の写真を投稿する。表の世界では決して得られない反応に快感を覚えた真知子の投稿はどんどん過激になっていき、それに呼応するようにフォロワー数も増えていった。「リアルで会いたい」「もっと自分を解放して」そんな言葉に誘われ、フォロワーの1人と会うことになった真知子。その相手は、“ゆーと”という年下の男だった。真知子は自分と同じ心の乾きを持つ彼に惹かれていく。しかし、その関係は1度きり。それがゆーととの約束だった。ゆーとと会えないことから、真知子は他の男と関係を持つようになるが、その心は満たされない。裏の世界でフラストレーションがたまっていくのとは裏腹に、表の世界は、店の売り上げ不振回復への施策に自身のアイデアが採用され、大手百貨店とのコラボレーション企画が決まるなど充実していく真知子。やりがいのあるプロジェクトに意気込む真知子だったが、その百貨店担当者の原島努こそが、あのゆーとだった。表の世界で再会を果たした2人。平静を装う原島に対し、心乱れ動揺を隠せない真知子。原島ではなく、ゆーとに会いたいという思いが日増しに募っていく。表と裏、愛情と憎悪、真実と嘘、理性と欲望…相反する2つが激しく交錯する中、真知子に突然訪れる結末とは…。
たった一人の家族だった祖母が亡くなり、メイクアップアーティストになる夢にも破れ、東京から富山へと帰ってきた音更結子。祖母の遺影がピンボケだったことに悔しい思いをした結子は、町役場で働く幼なじみの星野一郎から頼まれた、お年寄りの遺影写真を撮る仕事を引き受ける。初めは皆「縁起でもない」と嫌がったが、思い出の場所で写真を撮るという企画に変えると、たちまち人気を呼ぶ。ところが、あるひとの思い出が嘘だったとわかり、その後も謎に包まれた夫婦や、過去の秘密を抱えた男性からの依頼が舞い込む。怒って笑って時に涙しながら成長してゆく結子の毎日は、想像もしなかったドラマを奏でてゆく──。
若者が都会に出て行き、活気を失った地方の町に、奇妙なヘルメットを持った神崎が現れた。ヘルメットの力で町は活気づき、神崎は町長から町にとどまって活性化するよう依頼される。ただ神崎には謎めいた過去があり、彼が町に来た本当の理由を知る者は誰もいなかった。
ブリュノ、20歳。ソニア、18歳。ソニアはふたりの子供・ジミーを出産したばかり。小さな盗みをしては盗品を売った金でその日暮しをしているブリュノに「真面目に働いて欲しい」とソニアは頼むが、ブリュノは相手にしない。ふたりは職業斡旋所に行くが、ブリュノは長蛇の列を見て辟易してしまう。列にはソニアが残り、ブリュノはジミーを連れて散歩をする。ふと、昨晩、取引をした女の言葉を思い出して電話するブリュノ。「いくらで子供を買う?」――ブリュノはソニアに黙って、子供を売った。彼はまだ何も知らなかった。涙も、働く汗も、本当の愛も、命の重ささえも。ショックを受け、倒れるソニア。ブリュノは自分の犯してしまった過ちに気づくのだが……。
キャンプ場のトレーラーハウスで酒浸りの母親と暮らす少女ロゼッタ。ある日、理由もなく工場での仕事を奪われてしまう。必死に抵抗するが、仕事を取り戻すことができない。怒りと絶望をはっきりと表情に刻みながらも、ロゼッタは涙を見せない。大きく息をつくと、怒ったように早足で歩き始める。ただ新しい仕事をみつけるために。ロゼッタは仕事を探し出せるだろうか?頑なな心が開かれる時は訪れるのだろうか?
愛する息子ウリのために人生を捧げてきた父アハロンは、田舎町で2人だけの世界を楽しんできた。しかし、別居中の妻タマラは自閉症スペクトラムを抱える息子の将来を心配し、全寮制の支援施設への入所を決める。定収入のないアハロンは養育不適合と判断され、裁判所の決定に従うしかなかった。入所の日、ウリは大好きな父との別れにパニックを起こしてしまう。アハロンは決意した。「息子は自分が守る―」こうして2人の無謀な逃避行が始まった。
もうすぐ12歳になる少年シリル。彼の願いは、自分をホーム(児童養護施設)へ預けた父親を見つけ出し、再び一緒に暮らすこと。一人で父を探し回る中、美容院を経営する女性サマンサと出会う。サマンサはシリルの話を聞き、盗まれたという父親に買ってもらった大切な自転車を探し出し、取り戻してくれた。シリルは週末だけ里親になってくれるようにサマンサに頼み込み、一緒に暮らしながら父親探しを始める。ようやく父親を見つけ出し、再会を果たしたシリル。ところが父親は喜ぶどころか、シリルをすげなく拒絶してしまう……。
中年男パヴカは気難しい父ヴァシルと不仲だ。母は父へ「大事な話がある」とだけ電話で告げたのち亡くなった。父は母の最期のメッセージを知ろうと、霊能者の助言により森で一夜を過ごし、行方不明になる。パヴカは暴走する父を追いかけながら、家に残した妊娠中の妻が食べたがっている「マルメロのジャム」を探し回るが手に入らず、盗みを企てる。愛に突き動かされ奔走する親子のおかしくも愛おしいブルガリア発ヒューマンドラマの傑作。
単線列車の走る長閑な田舎。50歳独身のタカシには、夢も仕事も家もない。認知症の叔父の介護を条件に、本家に居候させてもらっている身だ。叔父が亡くなり、その息子のミツアキが帰ってくる。幼馴染のショウも交え、再会を果たす旧友三人。叔父の釣り堀を営みながら、楽しく過ぎていくタカシたちの生活。そんな頃、東京からある一家が引っ越してくる。田舎でのナチュラルライフに憧れ、古民家カフェ開業を夢見る一家。彼らはタカシの住む美しい茅葺の本家に目を付ける。タカシたちの平穏な日常は、徐々に崩れ始めていく。
真須美が紹介されたのは、ダンスで作曲家を鼓舞し令和元年までに曲を完成に導くという奇妙なバイトだった。
2014年4月16日...この世を先に去った息子スホへの恋しさを抱きながら生きるジョンイルとスンナム。やがて1年にたった1日だけのスホの誕生日が近づいてくる。母スンナムは主役不在の誕生日は息子がいない現実を認めるようで怖くてたまらない。一方、ある事情により息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかった父ジョンイルは、家族に対して罪悪感を抱えたまま、あの日から2年後に韓国に戻ってくる。
大学生の奈央は学校での人間関係や恋愛に嫌気が差し、中退を考えていた。そんな折、父・博一の提案で、彼の3度目の結婚相手である綾と台湾旅行をすることに。父の再婚相手というだけで良く知らない女性との旅行に不満を抱えながらも、せっかくだから思い切り楽しもうとする綾。そんな彼女の台湾旅行には、思いがけない出会いが待っていた。
ヤオジュンとリーユン夫婦は、ひとり息子のシンと中国の地方都市で幸せに暮らしていた。ある時、リーユンは第二子を妊娠するが “一人っ子政策”に反するため堕胎させられてしまう。さらに、リーユンは手術時の事故で二度と妊娠できない身体になった。そして、大切なひとり息子シンを事故で失い、乗り越えられない悲しみを抱えたふたりは、住み慣れた故郷を捨て、親しい友と別れ、見知らぬ町へと移り住む。やがて時は流れ――。
両親を事故で亡くした少年・裕太(大沼健太郎)は、ショックも冷めやらぬままに、高知県に住む母親の父・弦次郎(田村弦次郎)に引取られる。初めて会う祖父との突然の生活。裕太は、無骨な漁師である祖父との間に深い溝を感じ、心を閉ざす。精神的なショックが大きい裕太に、学校は特別なケアを勧めるが、弦次郎は特別扱いにはしてほしくないと主張する。担任の教師・佐藤もそれに賛成し、裕太は地元の小学校に通いはじめる。クラスメイトからいじめられ、なかなか周囲になじめない裕太が心を開くのは、クラスメイトの亜弥と拾った子犬だけだった。そんなある日、裕太のくじらのフィギュアを、弦次郎が壊してしまう。死んだ父親と一緒に作った、思い出のフィギュアだった。泣いて悲しむ裕太に、弦次郎は新しい大きなくじらのフィギュアを用意する。祖父の意外な優しさを知り、少しずつ二人の溝が埋まりはじめる。新しい暮らしにも慣れてきたある日、裕太はクラスメイトのいじめに遭い、海に転落してしまう。車ごと海に落ちた事故のショックと、手術による後遺症で、裕太は水を怖がるようになってしまう。弦次郎は裕太を沖へ連れて行き、自ら泳がせることで、水への恐怖心を払拭させようとする。厳しさの中にも愛情あふれる弦次郎の言葉に裕太は信頼を寄せ、徐々に周りの人々との関係も深めていく。おだやかな南風(マゼ)が吹くように、すべては順調に変わるかに思えた。そんな矢先、裕太の体調に異変が起こる。数年前の手術で完治していたはずの“骨肉腫”が再発してしまったのだ。ある時、沖でくじらを見たという情報が届き、弦次郎は大好きなクジラを裕太に見せてやりたい一心で、裕太を病院から連れ出し沖へと船を走らせる。
政治とカネ、女性問題や失言など数々のスキャンダルで世間を騒がせたイタリアの元首相シルヴィオ・ベルルスコーニ。政敵に敗れて失脚するも、一度はトップに登りつめた怪物的な手腕で、 政権への返り咲きを虎視眈々と狙っていた。セクシー美女を招き、贅の限りを尽くしたパーティーで生気を養い、持ち前のセールストークを武器に足場を固めていくのだが、政治家生命を揺るがす大スキャンダルが勃発するのだった…。
定年間際のビジネスマン柴久生は交通事故で娘を亡くし、自殺を図ろうとしていた。そんな彼の耳に聞こえた「生きろ」の声。その声は柴の友人・川島の最期の時の声だと、川島の看取り士だった女性から聞かされる。それから5年後、岡山・備中高梁で看取り士としてのセカンドライフを送る柴は、9歳の時に母を亡くした新人・高村みのりたちとともに、最期の時を迎える人びとを温かく支えていく。
舞台は2001年の中国、山西省大同チャオはヤクザ者の恋人ビンと共に、彼女らなりの幸せを夢見ていた。ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオが発砲し一命をとりとめる。5年後、出所したチャオは三峡ダムによって失われる街・奉節へビンを訪ねるが、彼にはすでに新たな恋人がいた。チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆ウイグル自治区のウルムチを目指す。そして2017年がやってくる――。
「投資詐欺の容疑で国際手配され、タイで拘束された渡部聡子容疑者は、日本に強制送還する機内で逮捕され、東京の警察署に身柄を移されました。被害総額は50万円から10億円以上にのぼると言われています」護送車に乗った女は車を取り囲んだ報道陣から声をかけられると、「私も被害者の一人です」と言って艶然と微笑んだ。
東日本大震災から数年後の日本のとある町。小野家と鈴木家は隣り合い、つつましくも幸せに暮らしていた。ある日、大震災が発生、それにつづく原発事故が、生活を一変させる。原発から半径20キロ圏内が警戒区域に指定され、強制的に家を追われる鈴木家と、道路ひとつ隔てただけで避難区域外となる小野家。そんな中、小野家の息子・洋一の妻・いずみが妊娠、子を守りたい一心から、放射能への恐怖を募らせていく……。
娘(理沙)、母(美代子)、父(真人)、祖父(光雄)、祖母(貴子)が一緒に住んでいるごく普通の幸せな家族。そんな家族は祖父の軽度の認知症を理解し、上手く付き合っていた。そんなある日、突然、祖母の訃報で祖父は症状が酷くなっていき、同時に家族の歯車も狂っていく。なんとか家族再生を目指していくのだが…
オークランドが地元で黒人のコリンは指導監督期間の残り3日間を無事に乗り切らなければならない。コリンと幼馴染の白人マイルズの2人は引越し業者で働いている。ある日、帰宅中のコリンは突然車の前に現れた黒人男性が白人警官に背後から撃たれるのを目撃する。これを切っ掛けに、アイデンティティや、オークランドの急激な変化等の現実を突きつけられ、次第に2人の関係が試されることとなる。コリンは残り3日間耐えれば自由の身として新しい人生をやり直せるのだが、問題児マイルズの予期できぬ行動がそのチャンスを脅かす…。
バーで用心棒をしているダンは、月額3000ドルの薬を購入してきた22年目のHIV陽性患者。これまで医療支援プランのお陰で何とかやってこられたが、母から受け取った100ドルの小切手をうっかり貯金したことで低所得者の対象から外され、保険の補助を失ってしまった。ダンは高額の薬をこれまで通り受け取るため、あの手この手を尽くすもなかなか結果を出すことができないでいた。一方、世話になっているバーのオーナー夫妻が些細なケンカから別居に発展し、心配したダンとルームメイトのポーラは彼らのために尽力するのだが、その頃からダンは体に異変を感じ始め…。
また、真理子が居なくなった・・・自閉症の妹のたびたびの失踪を心配し、探し回る兄の良夫だったが、今回は夜になっても帰ってはこない。やっと帰ってきた妹だが、町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知り、妹をしかりつける。しかし、罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄。このような生活を続ける中、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。そんな時、妹の心と身体にも変化が起き始めていた…。ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。
クリスマス・イヴの朝、19歳のベン・バーンズ(ルーカス・ヘッジズ)は実家に突然戻り家族を驚かせる。薬物依存症の治療施設を抜け出し帰ってきたのだ。久しぶりの再会に母ホリー(ジュリア・ロバーツ)は喜び、温かく迎え入れた。一方、疑い深い妹アイヴィー(キャスリン・ニュートン)と良識ある継父のニール(コートニー・B・ヴァンス)は、過去の経緯から、ベンが何か問題を起こして自分たちの生活を脅かすのではと不安に駆られる。両親はベンに、24時間のホリーの監視を条件に、一日だけ家族と過ごすことを認めた。その夜、一家が教会でのクリスマスの催しから戻ると、家の中が荒らされ、愛犬が消えていた。これはベンの過去の報いに違いない。誰か分からないが昔の仲間の仕業だ。凍てつくような夜、ベンは犬を取り戻しに飛び出す。それを追うホリー。ベンが過去を清算しようとする中で、息子の人生を食い荒らす恐ろしい事実を知るホリーは、ベンを救うことが出来るのは自分だけであることに気づき、全力で守ることを決意する。だがベンはホリーの前から姿を消してしまう・・・。
洗骨───。今はほとんど見なくなったその風習だが、沖縄諸島の西に位置する粟国島などには残っているとされる。粟国島の西側に位置する「あの世」に風葬された死者は、肉がなくなり、骨だけになった頃に、縁深き者たちの手により骨をきれいに洗ってもらうことで、晴れて「この世」と別れを告げることになる。
故郷を捨て裏社会で生きてきたロイ(ベン・フォスター)がその日、ボスの勧めで行った病院で見せられたのは、まるで雪が舞うように白くモヤがかかった自分の肺のレントゲン写真だった。命の終りが近いことを悟った彼は「どうせクソみたいな人生だ。死ぬならそれも仕方ない」そう自分に言い聞かせる。だが死への恐怖は彼を追い込み、苛立たせてゆく。その夜いつものようにボスに命じられるまま向かった“仕事先” で、ロイは突然何者かに襲われる。組織に切り捨てられたことを知った彼は、とっさに相手を撃ち殺し、その場に囚われていた若い女(エル・ファニング)を連れて逃亡する。彼女の名前はロッキー。家をとびだし、行くあてもなく身体を売って生活していたという。組織は確実に2人を追ってくるだろう。全てを失い孤独な平穏を願いながらも女を見捨てることのできないロイと、他に頼る者もなく孤独な未来を恐れるロッキー。傷だらけの2人の、果てなき逃避行が幕を開ける。