チャップリンが制作した名作、本邦初公開となるプライベートフィルムなどの貴重な映像とともに、“放浪紳士”のルーツを探るべく、息子マイケルが世界各地に赴き関係者やゆかりある場所を訪ね歩く。生前、共産主義者など様々なレッテルを貼られてきたチャップリンだが、自身が「ロマ(ジプシー)」の血を引いていることを誇りに思っていた。笑いや悲しみ、優しさや怒りを併せ持った“放浪紳士チャーリー”のキャラクターはどこから生まれたのか。『独裁者』『キッド』『サーカス』『街の灯』『ライムライト』などの引用に加え、ジョニー・デップやエミール・クストリッツァらチャップリンを敬愛する各界の著名人のインタビューも交えて、チャップリン作品に垣間見えるロマのアイデンティティを掘り下げていく。
フランス対外治安総局DGSEの極秘部隊アルファの秘密工作員バドは、シリアの武器商人暗殺の任務中、ターゲット以外の女子供の殺害命令を拒否し、上層部から命を狙われ、爆破から間一髪で脱出する。7年後、バドは名前を変えモロッコで警察官の夫イリアスと平穏な新生活を送っていた。しかし、イリアスが有力な武器商人クーリー家の捜査をしていたことから標的となり撃たれてしまう。バドは封印していた戦闘本能を呼び覚まし、復讐のため再び銃を手に取るが、クーリー家と武器の闇取引で通じていたDGSEがバドの存在を知り抹殺しようとする。復讐と過去から続くDGSEの不正を知ったバドは、たった一人で粛清に身を投じていく。
11歳でパリ国立高等音楽院に入学し、ナディア・ブーランジェに師事。才能は開花しクラシックとジャズを組み合わせた独自の音楽を作り上げた。ジャズミュージシャンとして活躍したのち、フランス映画音楽の世界に飛び込みジャック・ドゥミとのコンビで『シェルブールの雨傘』他名作を生みだす。海を越えハリウッド映画の作曲も数多く手がけた。本作は、晩年のルグランに密着し、貴重なアーカイブと、スティング、クロード・ルルーシュなど、45名以上の音楽家や映画監督、家族のインタビューを通じて、彼の人生を振り返りながら貴重な音楽制作の舞台裏に迫る。音楽家としての高いプライドを持ち、一切の妥協を許さない厳格な姿勢、普段見せることのない作曲中の姿、創作にもがき苦しみ重圧に苦悩するという知られることのなかった素顔を映し出す。
ある朝、少年パスカルは学校に行く途中で、ふわりと宙に浮かぶ赤い風船を見つける。風船は街灯に紐が引っかかって動けなくなっていたのだ。放課後、風船を持って家へ帰り着いたが、窓から風船を放り出されてしまう。しかし、不思議なことに、風船は窓際にふわふわと浮いてとどまった。風船と友達になったパスカル。いじめっ子たちが、風船を我がものにしようと追いかけてくる。パスカルは風船とパリの街を逃げ回る・・・。
はるか昔、東の国のある島。子供たちひとりひとりがロバを飼う習慣があった。ビムは最も美しいロバで、アブダラがその飼い主だったが、アブダラはとても貧しかった。意地悪な領主の息子メサウドは、美しいビムに一目惚れし、アブダラからビムを奪い取った。連れ去られたビムを取り返そうと、アブダラは勇敢にも領主の屋敷に忍び込むが、護衛に見つかり牢に入れられてしまう・・・。
パスカル(パスカル・ラモリス)の祖父(アンドレ・ジル)は学者で、気球を発明し、フランス中を旅する計画を立てていた。なんとしても冒険がしたいパスカルは、こっそりゴンドラにしがみつき、気球に乗り込む。北フランスのベテューヌを出発し、パリを通過、ブルターニュから南へ。次々と災難に見舞われるが、アルプスを越え、ニームで海水浴を楽しむ。しかし、闘牛場での一時着陸の際に、気球はパスカルひとりを乗せたまま空に上がり、みな大慌てする・・・。
フィフィ(フィリップ・アブロン)は邸宅から時計を盗み、サーカス団に逃げ込む。支配人は彼を警察には突き出さず、鳥人間に仕立てようとする。背中に羽をつけ空中を飛ぶ危険な演目だ。団員のミミ(ミレイユ・ネーグル)に一目惚れし練習をはじめたフィフィは、空中を飛べるようになり、天使のふりをして時計を盗みミミにプレゼントをする。しかし、ミミに想いを寄せる猛獣使い(アンリ・ランベール)と喧嘩になり、サーカスは崩壊。警察の追跡がはじまり、フィフィは空高く舞い上がる・・・。
南仏カマルグ地方に、白く美しい荒馬をリーダーにした野生馬の一群がいた。“白いたてがみ”と呼ばれる馬の存在は噂となり、牧童たちは野生馬を捕獲し始める。漁師の少年フォルコ(アラン・エムリー)は、牧童たちの手から逃れた“白いたてがみ”を見つけ、ひっそりと近づき、手綱を握った。ひきずられながらも手綱を放さないフォルコに、馬は次第に心を許す。しかし、すぐに牧童たちに見つかり、フォルコは馬をなんとしても守ろうとするが・・・。
ブリュッセルで鍵屋として働く青年マディは、ある晩、クレールと名乗る若い女性から部屋の鍵を開けてほしいと依頼され、共にアパートへ向かう。ドアを開錠し、部屋で支払いを待つマディに現金を下ろしに行ったクレールから「部屋を出て」と電話が掛かる。そこへ現れた男に突然襲われるマディ。その部屋の住人も持ち去ったバッグもマフィアのヤニックのものだったのだ。マディは逃走をはかるが捕まり、自身の無実を証明するために取引をする羽目になる。与えられた朝までの数時間、それまでにクレールとバッグを見つけなければならない。捜索するブリュッセルの夜の街ではちょうど、“ブラック・ライヴズ・マター”(BLM)のデモが激化しており、警察と市民の衝突がいたるところで起きていた。混乱の中、街は静かに、だが確実に、彼を“犯罪者”に仕立てていく。彼にとって最も危険だったのは、銃でも暴力でもなく、人を信じることだった…
インドのムンバイで看護師をしているプラバと、年下の同僚のアヌ。二人はルームメイトとして一緒に暮らしているが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離があった。プラバは親が決めた相手と結婚したが、ドイツで仕事を見つけた夫から、もうずっと音沙汰がない。アヌには密かに付き合うイスラム教徒の恋人がいるが、お見合い結婚させようとする親に知られたら大反対されることはわかっていた。そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァティが、高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになる。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、一人で生きていくというパルヴァティを村まで見送る旅に出る。神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、二人はそれぞれの人生を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇する──。
その日暮らしの父親バグと腹違いの兄ハンターと暮らす12歳の少女ベイリーは、友人もいない寂しさとやり場のない閉塞感を募らせて、身の回りの風景や野生の鳥をスマホで撮影する事で孤独を紛らわせる日々を過ごしていた。そんなある日、父親のバグが3ヶ月前に知り合ったばかりの子連れの恋人ケイリーと結婚式を挙げると宣言する。突然の環境の変化に気持ちが整理できないベイリーは結婚式に出席しないと言い放ち、家を飛び出してしまう。そして兄のハンターが友人たちと町の自警団を結成した事を知り、仲間に入れてもらおうとするのだが、全く相手にされない。だが勝手に兄の後を追いかけ、彼らが襲撃する家に辿り着くも警察に通報され、散り散りになってしまう。ただ一人、草原に逃げ込んだベイリーは、そこで“バード”と名乗る謎めいた男に出会うのだが…。
1970年、軍事独裁政権が支配するブラジル。元国会議員ルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな暮らしを送っていた。しかしスイス大使誘拐事件を機に空気は一変、軍の抑圧は市民へと雪崩のように押し寄せる。ある日、ルーベンスは軍に連行され、そのまま消息を絶つ。突然、夫を奪われたエウニセは、必死にその行方を追い続けるが、やがて彼女自身も軍に拘束されてしまい…。
AIが国家の社会システム全般を管理し、人間の感情が不要と見なされている2044年のパリ。孤独な女性ガブリエル(レア・セドゥ)は有意義な職に就きたいと望んでいるが、それを叶えるにはDNAの浄化によって〈感情の消去〉をするセッションを受けなくてはならない。人間らしい感情を失うことに恐れを感じながらも、AIの指導に従って1910年と2014年の前世へとさかのぼったガブリエルは、それぞれの時代でルイ(ジョージ・マッケイ)という青年と出会い、激しく惹かれ合っていく。しかしこの時空を超越したセッションは、ガブリエルの潜在意識に植えつけられたトラウマの恐怖と向き合う旅でもあった。はたして、3つの時代で転生を繰り返すガブリエルとルイの愛は成就するのか。そして過酷な宿命を背負ったガブリエルが、最後に突きあたる衝撃的な真実とは……。
パリのオークション・ハウスで有能な競売人(オークショニア)、アンドレ・マッソンは、ある日、エゴン・シーレと思われる絵画の鑑定依頼を受ける。シーレほどの著名な作家の絵画はここ30年程、市場に出ていない。当初は贋作だと疑ったアンドレだが、念のため、元妻で相棒のベルティナと共に、絵が見つかったフランス東部の工業都市ミュルーズを訪れる。絵があるのは化学工場で夜勤労働者として働く青年マルタンが父亡き後、母親とふたりで暮らす家だった。現物を見た二人は驚き、笑いだす。それは間違いなくシーレの傑作だったのだ。思いがけなく見つかったエゴン・シーレの絵画を巡って、さまざまな思惑を秘めたドラマが動き出す…
双子の姉妹クレール(カミーユ)とジャンヌ(メラニー)は、幼い頃からともにピアノに情熱を注いできた。父親からアスリートのような指導を受け、名門カールスルーエ音楽院に入学する。ピアノのソリストを目指し、2人のキャリアを左右するコンサートのオーディションに向けて練習に励む日々。しかし、彼女たちは自分たちの両手が徐々に不自由になる難病にかかっていることを知る。最悪の事態に直面しながらも、改めてピアノが人生のすべてであり、かけがえのない大切な存在だということに気づく。そして、絶対に叶えたい夢を2人で掴み取るため、家族に支えられながら、自らの運命を変えていくー。
監督アルノー・デプレシャンと俳優マチュー・アマルリックのナレーションで物語は始まる。本作は11章立ての構成。リュミエールによる映画の発明に始まり、現在に至るまで、映画界の先駆者たちに触れながら100年を超える映画史が語られていく。そして、映画少年ポール・デダリュスの登場。ポール・デダリュスはデプレシャンの『そして僕は恋をする』(96)と『あの頃エッフェル塔の下で』(15)でマチュー・アマルリックが演じた主人公ポールと同じだ。デプレシャン監督が生涯をかけて歩んできた映画人生をポールの成長に投影して、幾多の名画とともに辿っていく。
すべてにおいて屈折し、狭量で、尊大な美術教師が取るに足らぬと思っていた土地に、何を見つけ出すのか――トルコ東部、雪深いインジェス村の学校で美術を教えるサメット。教師というだけで、村人たちから尊敬され、お気に入りの女生徒セヴィムにも慕われている。しかし、ある日、、同居している同僚のケナンと共に、セヴィムらに“不適切な接触”を告発される。同じ頃、美しい義足の英語教師ヌライと知り合う。夏、念願叶って転任が決まり、この田舎村から去ろうとするとき、雪で覆われ続け、春の陽を浴びることなく突然に強い陽を浴び、黄色く枯れた草を踏みしめるサメットは、その枯草になにを見つけ出すのだろうか......。プライド高く、ひとりよがりで、屁理屈を並べ、すぐにキレて、周囲を見下す、“まったく愛せない”のに“他人事と思えない”主人公サメット。人と自分を比べ、他者をやりこめようとするサメットの姿は、現代社会のどこにでも見つけることができる。主人公サメットとディズダル演じるヌライが繰り広げる人生論のやり取りは、12分を超える圧巻のシーン。「世界のために何ができる?」の問いに、「正義は絵空事」とうそぶくサメット。しかし、そのあとの展開に誰もが驚くだろう。予測不可能さ、アンビバレントさ......人の心の不可思議がそのまま提示されるとき、映画と現実の境界は失われ、新たな映画体験を味わうのだ。
突如、謎の武装集団に15歳の息子ヌームが誘拐され、絶望に打ちひしがれていたラルゴ・ウィンチ。彼は1000社から構成されるWグループを率いるウィンチ社CEO。そんな彼を新たな悲劇が襲う。新事業の発表記者会見中に、長年のビジネスパートナーが自殺を図ったのだ。その裏では、グループ会社の破産危機が勃発し、Wグループ全体も破綻に向かい始めていた。しかも、ラルゴ・ウィンチ自身に粉飾詐欺の疑いがかけられ。窮地に追い込まれた彼は、この2つの事件が1つの線で繋がっている事に気づく。果たして、これらの事件の黒幕は誰なのか?愛する息子を救い出すため、巨大ビジネス帝国《Wグループ》を守るため、彼は自ら危険の中に身を投じていく。そこには、ある過去の事件と繋がる、思いもよらぬ“悪魔”が潜んでいるとは知らずに・・・。
2006年、国王陛下が退位の意向を発表し、ブータンは民主主義体制へと移行する。総選挙で新しいリーダーを選ぶ必要があるが、ブータンでは選挙を実施したことがない。国民の理解促進を図るため、政府は選挙委員をブータン全土に派遣し、4日後に“模擬選挙”の実施を決定する。周囲を山に囲まれたウラ村。山で瞑想修行中のラマのもとを訪れた僧侶のタシは、模擬選挙の報を聞いたラマから「次の満月までに銃を二丁手に入れてほしい」と頼まれる。戸惑うタシに、ラマは「物事を正さねばならん」と話す。時を同じくして、銃コレクターのロンがブータンに到着。ウラ村に昔の貴重な銃があると知り、アメリカから取引にやってきたのだ。ロンは、運転手と通訳を務めるベンジとともに村へ向かう。一方タシは、村中の家々を尋ね歩き、ペンジョーという村人の家に銃があるという噂を手に入れる。銃を譲ってもらうためペンジョーの家に向かうが、一足先にロンとベンジが訪れていて……。ラマが銃を必要とした理由は?選挙は、村人たちに幸せをもたらすのか―。
人里離れた森の奥深くで父親と原始的な生活を送る少年マルコ。厳格な父親に森を出ることを禁じられ、外界との接触は一切ない。ヘッドホンで聴く音楽と、“葉っぱの子”の絵本に慰めを求める毎日だ。ある日、マルコは森の廃車で母親と暮らす同世代のミコと出会う。彼との交流はマルコの孤独を癒やしていった。だが父親の目を盗んでミコに会いに行くマルコに残酷な出来事が訪れる。父親の教えに従い、ミコを連れて“妖精”を探す旅に出るが、森の外ではウイルスが猛威を振るう危険で荒廃した社会がふたりを待ち受けていた。
7歳の少女・ソルは、父・トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会えることを喜ぶソルだったが、身体を休めているからと、なかなか会わせてもらえない。従姉妹たちと無邪気に遊びまわることも、大人たちの話し合いに加わることもできず、いらだちや不安が募るばかり。やがて父との再会を果たしたとき、それまで抱えていた思いがあふれ出し、ソルは“新たな感情”を知ることになる...。
パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んできたザイアは、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者に気に入られ、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める―。
ベルナデット・シラクは、夫ジャック・シラクを大統領にするため、常に影で働いてきた。ようやく大統領府であるエリゼ宮に到着し、自分の働きに見合う場所を得られると思っていたが、夫やその側近、そして夫の広報アシスタントを務める娘からも「時代遅れ」「メディアに向いていない」と突き放されてしまう。だが、このままでは終われない。参謀の“ミッケー”ことベルナール・ニケと共に、「メディアの最重要人物になる」という、華麗にして唯一無二の“復讐計画”をスタートさせる!
80年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う、考古学愛好家のアーサー。彼は紀元前に繁栄した古代エトルリア人の墓をなぜか発見できる特殊能力を持っている。墓泥棒の仲間たちと掘り出した埋葬品を売りさばいては日銭を稼ぐ日々。ある日、稀少な価値を持つ美しい女神像を発見したことで、闇のアート市場をも巻き込んだ騒動に発展していく...。
交通事故で妻を失い、現在休職して痛めた脚のリハビリに励むサミュエル。週末に幼い娘を弟に預け、生前妻と二人で始めようと準備していた民宿を整理しようと一人山へ旅立つ。妻の遺品を整理し片付けている際に民宿の地下室で物音が聞こえ、外へ出るとそこにイタリアアルプスを越えフランスへ亡命しようと試みる女性チェレーと出逢う。危険な山越えを助けようと心に決めるサミュエルは亡き妻の温もりを彼女に感じていた。亡命者たちを執拗に追い立てる自警団(地元民)たちから逃れ、雪山を徒歩で踏破しようとする二人。やがて二人は国境付近で自警団たちに銃で狙われ絶体絶命な状況に陥る。
赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ(ダニエーラ・マッラ)は、プロレタリア革命は成功すると強く信じ、愛する娘と離れ、運動に身を投じている。1977年に起きた大学の経済学部長襲撃事件にも実行犯として関与し、誘拐前のモーロを尾行するなど積極的に活動するも、モーロ誘拐の肝となる活動には参加させてもらえないことに不安も覚えていた。一方で赤い旅団は、誘拐に成功したことで入団を希望する人間が増え、活動は順調にいっているかのように見えた。しかし、メンバー間で、モーロの処遇をどうするかで意見が激しく紛糾していき、アドリアーナも追い込まれていく。モーロ誘拐の事件現場に急行した、妻エレオノーラ・モーロ(マルゲリータ・ブイ)を待っていたのは、銃弾が多数撃ち込まれた、見るも無残な夫の車と、血を流して倒れている護衛の姿、そしておびただしい数のマスコミだった。家を訪れる議員たちは、彼女にもっともらしく慰めの言葉を掛けていき、形ばかりの抱擁を求めてくる。子供たちと共に家に籠り続けていたある日、モーロからの手紙が届く。しかし、ザッカニーニをはじめ、政府は赤い旅団との交渉に応じず、エレオノーラは憤慨する。4月30日、赤い旅団から電話がかかり、すぐさま大統領に連絡をとるが、またも真剣に取り合ってもらえず、失望し涙するエレオノーラ。そして、あるシスターからモーロを見たという証言を聞き、藁にも縋る思いで現場に向かうのだが…。5月8日、目隠しをされた神父が、赤い旅団のアジトとなっている暗いビルの中へと入っていく。さらに隠し部屋に入っていくと、そこにはアルド・モーロの姿があった。約55日ぶりに赤い旅団以外の人間と会ったモーロは、「ここで初めて人の顔を見ます」と神父に語りかけ、強く手を握り、告解を始めるのだった。そして翌5月9日、モーロは目隠しをされ車のトランクに乗せられる。コッシーガのもとには、カエターニ通りで不審な車両が発見された、と緊急無線が入る。
1978年、イタリア。戦後長らく政権を握っているキリスト教民主党の党首アルド・モーロ(ファブリツィオ・ジフーニ)は、共産党との連立政権を実現させるべく奔走していた。これは冷戦下で西側と共産主義が手を取ることを意味していたために、国内外問わず、激しい反発を受ける。無論、党内のモーロと対立する右派系の派閥からの批判も非常に強く、モーロと旧知の仲であるバチカンの教皇パウロ6世(トニ・セルヴィッロ)にも苦言を呈される。それでもモーロは交渉を続け、連立政権の話はまとまった。そんな最中の3月16日、アンドレオッティ内閣(ファブリツィオ・コントリ)の信任投票のため、議事堂に車で向かうモーロは、道中で、極左テロ組織「赤い旅団」に襲撃され、そのまま誘拐されてしまうのだった。モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに、議会では緊急会議が開かれる。指揮を執るのは、内務大臣フランチェスコ・コッシーガ(ファウスト・ルッソ・アレジ)。彼はモーロを父と慕い、モーロ救出に全力を注ぐことを決意、辞表まで準備する。ほどなくして、赤い旅団からモーロの写真とともに犯行声明が届く。すぐさま、ローマに巨大な包囲網が張られ、徹底捜索が敢行。コッシーガの号令と共に、省内に大規模な通話傍受センターが開設され、日夜、イタリア中の通話が監視されることに。しかし大きな手掛かりは掴めず、コッシーガも精神的に参り、疲弊していく。そして誘拐から14日目の3月29日、旅団に囚われているモーロから手紙が届くのだった。それは事実上の裏取引を持ち掛ける内容で……。バチカンの教皇パウロ6世も、モーロ誘拐に衝撃を受け、救出の策を練っていた。信者に向かって、アルド・モーロのために祈ろうと強く呼びかけ、モーロ解放のために身代金として200億リラを用意する。「アルドは大事な友である」と、司祭を通してアンドレオッティ首相に掛け合うが、首相から話を聞いた将軍たちは「血が流れる」と口々に大反対。一方で各党の党首たちは、概ね、賛成を表明。政府内の足並みは揃わず、また肝心の身代金を渡そうとしていた相手が、どうやら詐欺師であることが判明する。パウロ6世のモーロ救出構想は振り出しに戻り、教皇は、赤い旅団のメンバーに直接語りかけることにする。
パリ郊外の団地で暮らす、エキゾチックアニマル愛好家のカレブ(テオ・クリスティーヌ)はある日、珍しい毒グモを手に入れる。日々、スニーカーの転売で稼ぐカレブは、同じアパートに住むトゥマニから注文を受けたスニーカーを渡す。その直後、原因不明の死を遂げるトゥマニ。警察は謎のウィルスが発生していると判断し、建物は封鎖され住民たちは閉じ込められてしまう。その裏で、カレブの購入した毒グモが脱走し、猛スピードで繁殖し始めていて……。
仏・マルセイユの自宅で回想録を執筆しているガルー。かつて外国人部隊所属の上級曹長だった彼は、アフリカのジブチに駐留していた。暑く乾いた土地で過ごすなか、いつしかガルーは上官であるフォレスティエに憧れともつかぬ思いを抱いていく。そこへ新兵のサンタンが部隊へやってくる。サンタンはその社交的な性格でたちまち人気者となり、ガルーは彼に対して嫉妬と羨望の入り混じった感情を募らせ、やがて彼を破滅させたいと願うように。ある時、部隊内のトラブルの原因を作ったサンタンに、遠方から一人で歩いて帰隊するように命じたガルーだったが、サンタンが途中で行方不明となる。ガルーはその責任を負わされ、本国へ送還されたうえで軍法会議にかけられてしまう…。
ヴィンセントはある日、職場で突然暴行を受ける。ケガが癒える間もなく、今度は別の同僚にも襲われたが、加害者たちは襲撃時の記憶がないと言う。「事件の原因は被害者の方にあるのでは」と疑われるヴィンセント。しかし彼に対して殺意を抱く者は後を絶たなくなり、見ず知らずの他人ですら命を狙ってくるように。「自分と目線が合った瞬間に、人々は襲いかかってくる」....終わらない襲撃の法則をかろうじて発見したヴィンセントは、生き残りをかけた<自衛>を開始する。
パリの店舗やルイ・ヴィトンなどの高級ブランドとのコラボレーションが話題の人気パティシエ、ヤジッド・イシュムラエンの自伝書を元に映画化された感動のサクセス・ストーリー。登場する全てのスイーツの監修もヤジッド本人が務めた。またオーディションで映画初主演を射止めたのはTikTokで660万人のフォロワーを持つ映像クリエイターとしても活躍する俳優リアド・ベライシュ。
イスラエルの諜報機関モサドが、ハマス幹部を暗殺する事件がドバイで発生。暗殺を実行した諜報員の男はモサドのやり方に反発し組織を辞める。12年後―男は女ボス・ヴィクトリアの命令で1200万€相当のダイヤモンドを運ぶミッションを請け負うことに。アメリカ人のパスポートを盗み、デイヴィッドと名乗りはじめる。車でバルセロナへ向かう道中を共にするのは、美女ドライバーマリア。マリアには素性を知られずにミッションを遂行するデイヴィッドだったが、美しく聡明で博識なマリアに恋をしてしまう。しかし、ヴィクトリアはマリアの信用性を疑い、バルセロナについたらマリアを殺すように言い渡す。苦悩を抱えたまま、一夜を共にしたデイヴィッドとマリア。しかし次の瞬間、マリアが突如デイヴィッドを殺そうと襲い掛かる。この美女は一体何者なのか?そしてデイヴィッドに近づいた目的はー!?
ハンガリーの荒涼とした田舎町。天文学が趣味の郵便配達員ヤーノシュは、音楽家の老人エステルの身の周りを世話している。エステルは18世紀の音楽家ベルクマイスターを批判しているようだ。ある日、町の広場に移動サーカスと見世物である巨大クジラがこつ然と姿を現す。住民たちは「プリンス」と名乗る扇動者の声にあおられるように広場に集まり、やがて町中に破壊と暴力が充満していく。※デジタルレストア版となります。
その夜、一人の若者が地下鉄のホームから線路に転落する。運転士のレオは、なんとか電車を急停車させ最悪の事態を回避したかに見えた。しかし、若者は銃で撃たれ重症を負っており間もなく息を引き取る。驚くべきことに、彼は疎遠になっていたレオの息子・ユーゴだった。警察は、ユーゴが凶悪な強盗事件に関与していたとして捜査を始めるが、父親であるレオの経歴は謎に包まれていた。
2555年――地球は終末の危機に瀕していた。人類を救うため、一人のタイムトラベラーが立ち上がる。彼に課せられた使命は2022年に戻り、世界を変えた“ある事件”を阻止し、歴史を変えること。しかし、歴史の改変を阻止すべく、時空警察の追手が迫っていた…。果たして、男は未来を変えることは出来るのか。
製薬会社フィンザーでSNSマーケティングを担当するアリスは、不倫相手の同僚との密会後、夫の元へと深夜に家路を急いでいた。道中人里離れたガソリンスタンドに立ち寄ったが店内に従業員の姿はない。仕方なく店を出ようとしたその時、突然どこからか銃弾が飛んできて腕を負傷、スマートフォンも撃ち壊されてしまう。彼女が戻らないのを心配し、店内に入ってきた不倫相手も背後からの狙撃の餌食となり死亡。唯一の外との通信手段となるトランシーバーで、応答した男に助けを求めだが、その男こそが自分の命を弄ぶスナイパーだと分かり、窮地に追い込まれパニックに陥るアリス。なぜ彼女は狙われるのか……?助けを呼ぶ手段もない、逃げ場もない絶体絶命の状況の中、目的の分からない残虐無比なスナイパーとの悪夢のような一夜が幕を開ける…。
様々な人種が住むフランスの団地。アシタンはある朝目覚めると、窓の外が“闇”で覆われていることに気が付く。その“闇”に物を投げ入れると物体は消滅し、体が触れるとその部分が鋭利な刃物で切られたように消えてなくなってしまう。原因不明の“闇”のせいで、建物の中に足止めされる団地の住民たち。徐々に正気を失っていく彼らの間に争いごとが起こり始める中、彼らが選んだ“生きるため”の方法とは!?
ある夜、警察に止められた一台のトラック。運転席には負傷し、女装をした男。荷台には十数匹の犬。“ドッグマン”と呼ばれるその男は、半生を語り始めた―。犬小屋で育てられ暴力が全てだった少年時代。トラウマを抱えながらも、犬たちに救われ成長していく中で恋をし、世間に馴染もうとするが、人に裏切られ、苦しめられ、深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた男は、犬たちと共に犯罪に手を染めてゆくが…。
フランス人夫婦アントワーヌとオルガはスローライフに夢を抱き、緑豊かな山岳地帯スペイン・ガリシア地方の小さな村に移住する。しかし、ある出来事をきっかけに地元の村人たちと敵対関係が激化していき……。
ある夏の日、フランス北部の荒れた地区を舞台にした映画が企画され、地元の少年少女を集めた公開オーディションが開かれる。選ばれたのは、異性との噂が絶えないリリ、怒りをコントロールできないライアン、心を閉ざしたマイリス、そして出所したばかりのジェシーの4人のティーンエイジャーたち。出来上がったシナリオは、彼ら自身をモデルにした物語だった。主役は問題児ばかり。波乱に満ちた映画撮影がはじまるー。
イ・チャンドン監督作品の本質と真実に迫る、タイムトラベルのような本作は、『ペパーミント・キャンディー』にインスパイアされ、現在から過去へ、作家として過ごした日々、そして幼少期と、イ・チャンドンの芸術的原点へと遡っていく。また、彼の作品に出演した俳優や、共同脚本家のオ・ジョンミとの制作についても描かれる。さらに、各作品のロケ地の現在の姿も映し出される。
生態系が壊れてしまった地球。一部の富裕層のみが城塞都市“シタデル”に暮らし、ほとんどの貧しい人々は危険な外の世界で僅かな資源を奪い合うように生活していた。そんな外の世界に寝たきりの父と二人で暮らす13歳の少女ヴェスパーは、ある日危険な森の中で倒れている女性カメリアを発見する。シタデルの権力者の娘であるという彼女は、共に墜落した飛行艇に乗っていた父親を探してほしいとヴェスパーに頼み込むのだが…。
フランスからベルリンに移り住んだ27才の小説家エマは、作家としての好奇心と野心から娼婦たちの裏側に惹かれてゆく。そして、大胆にも彼女たちの実情を理解するために、有名な高級娼館“ラ・メゾン”に娼婦として潜入する。危険と隣り合わせの女性たちの日常、そして孤独や恋愛の尽きない悩み…。そこでの日々は、エマにとって新たな発見に溢れていた。そして2週間のつもりが、いつしか2年もの月日が流れてゆく。果たして、エマがその先に見るものとはー。
2018年、イエメン南部に駐在しているUAE軍のアリ、ビラル、ヒンダシの3人は帰国が迫るなか通常の任務に就いていた。彼らが乗った装甲車は戦闘地帯の住民へ支援物資を運びながら、渓谷部をパトロールしていたが、敵に待ち伏せされ、突然襲われる。敵は得意のゲリラ戦に持ち込み、渓谷に隠れながらRPG(ロケット弾)や地雷での攻撃、遠距離狙撃により、最新兵器で武装したUAE軍の装甲車でさえも次第に追いつめていく。
アリスは有名な舞台女優で、ルイは詩人。アリスは演出家の夫との間に一人息子がいて、ルイは人里離れた山中で妻と暮らしている。二人はもうずっと憎みあい、顔も合わせていない。そんな二人が両親の事故によって再会するのだが……。果たして、彼らが憎しみから解放されるすべはあるのだろうか?
ウクライナ戦禍の惨状とそこに生きる人々の日常をありのままに見つめ、流れていく時間を追体験するドキュメンタリー
舞台は、フランス南西部にある平穏なリゾート地ラ・ポワント。ある日、この小さな村の美しい海で正体不明の怪物に襲われた男性が発見され、観光客で賑わうビーチは大パニックになってしまう。海上警察官の一員マジャは、通報を受け海へ。調査に立ち会った検視官とマジャは、遺体や現場に残されていた激しい損傷、痕跡などから、サメの仕業であると推測する。当初、地元の漁師らは「サメなど見たことない!」「危険があるとしたら都会から来る若者だ!」と信じようとしなかったが、気候変動と温暖化により可能性は大いにあり、さらなる調査のためにビーチは閉鎖に追い込まれる。マジャは市民らの日常を取り戻すため、数日後に控えていた早期退職日を延期してまで、最後の任務としてサメ退治に挑むことを決意するのだった。一方、マジャの夫ティエリーは、彼女の引退後のプランを前々から考えており、退職後は二人で静かに余暇を過ごせるようトレーラーハウスでキャンプを準備していた。その後、勇敢な彼女はサメの捕獲に成功。地元の市民らも祝福し、マジャはめでたく引退を迎え、一件落着。サメは環境保護の観点から殺さずインド洋に放たれることになる。しかし後日、新たな遺体の一部が発見され、海岸地帯は再び警戒態勢に!捕まえたサメが、ゲージを破って逃げ出したのだ。市民は恐怖に慄き、「人食いザメは捕獲ではなく殺すべきだ!」「手を抜いてサメを生かしたから犠牲者が出た!」と、マジャを非難。車には“人殺し”の落書き、SNSには酷い誹謗中傷が出回るなど立場が一転。マジャが危険に晒されるようになってしまう。そして、責任感の強い彼女は、ティエリーや周囲の反対も聞かず、再び“サメ退治”に向かう――
2018年、東京。シャルロット・ゲンズブールは、母であるジェーン・バーキンを見つめる撮影を開始した。これまで他者を前にしたときに付き纏う遠慮の様な感情が、母と娘の関係を歪なものにしてきた。自分たちの意思とは関係ないところで、距離を感じていた母娘。ジェーンがセルジュの元を離れ家を出て行った後、父の元で成長したシャルロットには、ジェーンに聞いておきたいことがあったのだ。3人の異父姉妹のこと、次女である自分より長女ケイトを愛していたのではという疑念、公人であり母であり女である彼女の半生とは一体どんなものだったのか。シャルロットはカメラのレンズを通して、初めて母親の真実と向き合うことになる。
1974年パリ、カトリック人口が多数を占め更に男性議員ばかりのフランス国会。シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)はレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、「女性の権利委員会」の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家。その信念を貫く不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった-。
世界で名だたる野生動物写真家のヴァンサン・ミュニエと、フランスを代表する作家で地理学者のシルヴァン・テッソンが、地球上で最も手つかずの野生動物保護区であるチベット高原を横断する旅程を綴ったドキュメンタリー。幻と言われるユキヒョウを探す二人の前には数々の希少動物たちが現れ、過酷な環境の中で生きる日常の姿を見せてくれる。あらゆる種の生命を包括して育む地球、自然と共存する動物たち。その中で私たち人間の役割とは。シルヴァンが綴る胸打つ言葉の数々を、ヴァンサンが撮る動物たちの愛らしくも逞しい表情と雄大で美しい自然風景で彩った感動作。
ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベート。1877年のクリスマス・イヴに40歳の誕生日を迎えた彼女は、コルセットをきつく締め、世間のイメージを維持するために奮闘するも、厳格で形式的な公務にますます窮屈さを覚えていく。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために思いついたある計画とは――――。
韓国で生まれ、フランス人の両親の養子となった25歳のフレディは、東京行きの飛行機が欠航となり、偶然ソウルに到着する。彼女はゲストハウスのフロント係でフランス語が堪能なテナと意気投合し、レストランで彼女の友人たちと食事する。そこでフレディは、ハモンド養子縁組センターを通じて、実の親と連絡が取れるかもしれないと知る。フレディは両親を探すために韓国に来たわけではなかったが、テナからの勧めもあり、ハモンドを通して両親に電報を送る。数日後、実父からの返事を受け、テナが通訳を務める中、フレディは実父が住む群山へ向かう。フレディは再婚した実父の現在の家族と、居心地の悪い時間を過ごす。実父はフレディを養子に出したことを後悔しており、韓国での新しい生活を支援すると伝える。フレディはソウルに戻った後も続く彼の執拗なメールにうんざりし、返事をしなくなる。彼女はテナと、ソウルでの最初の夜に寝た男とバーに行くが、彼のフレディへの愛の告白を冷酷に馬鹿にし、テナを不快にさせる。別れ際、彼女はテナにキスをしようとするが、テナは彼女を拒絶し、フレディに「かわいそうな人」と言う。フレディはバーのDJとゲストハウスに戻ろうとするが、突然酔っぱらった実父が目の前にあらわれる。彼はメールを無視した彼女を叱りつけ、DJを追い払う。さらに勢い余って彼女の腕をつかんだので、フレディは「触らないで!」と叫んでその場を立ち去る。2年後、フレディはソウルに住んでいた。彼女は武器商人のアンドレとデートをする。アンドレはフレディに、彼女は彼の業界で通用すると言う。フレディは彼に、今日は自分の誕生日であり、毎年誕生日には母親が自分のことを思ってくれているのかと考えるのだと話す。彼女のために開かれたサプライズ誕生日パーティーで、彼女は同僚に、実母から「会う気はない」とハモンドを通して返事がきたことを明かす。実父からはしつこくメールが送られてくるが、彼女はほとんど無視している。5年後、フレディは片言の韓国語を話し、アンドレとともにミサイルを売る仕事をしていた。韓国出張の際、彼女は新たなフランス人のボーイフレンド、マキシムとともに実父に会いに行く。実父は作詞作曲したピアノ曲をフレディに聴かせ、その響きにフレディは感動する。夕食後、マキシムと別れて歓楽街に向かった彼女は、翌朝路地で一人目覚める。街行く人々を眺めていると、ハモンドから彼女に連絡が入る。一度はフレディとの再会を断った実母が、ハモンドからの電報に前向きな返事をしたという。フレディは母親とハモンドの施設で会い、フレディは母親に抱かれて泣く。母親はフレディにメールアドレスを教え、連絡を取り合えるようにする。1年後の誕生日、フレディは山を登って、ホテルに到着する。フレディは一度もメールを送っていなかった母親に「幸せに生きてるよ」とメールをする。しかし、母親のメールアドレスは無効になっていたため、メールは届かなかった。フレディはホテルのロビーに行き、楽譜が置かれたピアノに気づく。彼女は座り、ためらいがちにメロディーを奏ではじめる。
シグネの人生は行き詰まっていた。長年、競争関係にあった恋人のトーマスがアーティストとして脚光を浴びると、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られたシグネは、自身が注目される「自分らしさ」を手に入れるため、ある違法薬物に手を出す。薬の副作用で入院することとなり、恋人からの関心を勝ち取ったシグネだったが、その欲望はますますエスカレートしていき――。
イラストレーターのサンペと作家のゴシニが生み出したいたずら好きの男の子のキャラクターの“ニコラ”の物語は、パリの小さなアトリエから生まれた。ニコラを描きながら、望んでも得られなかった幸せな子供時代を追体験していくサンペ。また、ある悲劇を胸に秘めるゴシニは、物語に最高の楽しさを与えていった。世界30カ国で翻訳されている児童書「プチ・ニコラ」の心躍らせる世界を創造しながら、激動の人生を思う二人。ニコラの存在は、そんな彼らの友情を永遠のものにしていく・・・。
サンドラ(レア・セドゥ)は、夫を亡くした後、通訳の仕事に就きながら8歳の娘リン(カミーユ・ルバン・マルタン)を育てるシングルマザー。仕事の合間を縫って、病を患う年老いた父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)の見舞いも欠かさない。しかし、かつて教師だった父の記憶は無情にも徐々に失われ、自分のことさえも分からなくなっていく。彼女と家族は、父の世話に日々奮闘するが、愛する父の変わりゆく姿を目の当たりにし、サンドラは無力感を覚えていくのだった。そんな中、偶然、かつて友人だったクレマン(メルヴィル・プポー)と再会。知的で優しいクレマンと過ごすうち、二人は自然と恋に落ちていくが……。
パリ・オペラ座バレエ団で、エトワールをめざす主人公のエリーズ。幼少期からバレエ一筋の日々を送ってきた彼女だったが、夢の実現を目前に恋人の裏切りから心乱れ、本番中に足首を負傷。医師から踊れなくなる可能性を告げられる。踊ることを半ば諦め、新しい生き方を模索する失意のエリーズだったが、そんななか料理のアシスタント係の仕事で訪れたブルターニュで、今を時めく注目のダンスカンパニーと出会う。これまでのバレエとは違う、独創的なコンテンポラリーダンスが生み出される過程を目撃し、やがて誘われるまま練習に参加したエリーズは、未知なるダンスを踊る喜びと新たな自分を発見していくのだった。
冬の寒い日、フランス片田舎の畑の側溝で、凍死体が発見される。遺体は、モナ(サンドリーヌ・ボネール)という18歳の若い女だった。モナは、寝袋とリュックだけを背負いヒッチハイクで流浪する日々を送っていて、道中では、同じく放浪中の青年やお屋敷の女中、牧場を営む元学生運動のリーダー、そしてプラタナスの樹を研究する教授などに出会っていた。警察は、モナのことを誤って転落した自然死として身元不明のまま葬ってしまうが、カメラは、モナが死に至るまでの数週間の足取りを、この彼女が路上で出会った人々の語りから辿っていく。人々はモナの死を知らぬまま、思い思いに彼女について語りだす。
花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。13歳になる2人は同じ中学校に入学する。入学初日、ぴったりとくっついて座る2人をみた同級生は「付き合ってるの?」と質問を投げかける。「親友だから当然だ」とむきになるレオ。その後もいじられるレオは、レミから距離を置くようになるのだが…。