高飛込のチェコ選手権で優勝し、オリンピックの代表に選出されたアンドレア・アブソロノバ。しかし、練習中に脊椎を損傷し、スポーツ選手としてのキャリアを強制的に終了させられてしまう。失意のどん底にいたアンドレアだったが、恋人の影響でポルノ業界に入り込む。アンドレアは持ち前の美貌と完璧なボディでリア・デ・メイとして一躍有名なポルノ女優になるが・・・
アルバニアの映画監督ヴァニが撮った新作がヴェネチア国際映画祭に選出され、上映されることになった。俳優出身で、5年前に妻を亡くし、娘はヴェネチアの医大に通っているヴァニは、感慨深げに撮影監督のカシとともにフェリーで、まずはイタリアのバーリへ到着して一泊する。翌朝、車でヴェネチアへ向かおうとする彼らは、修道女の衣装を脱ぎ捨てて、なかなか来ないバスを待つ2人のポルノ女優イリーナ&ローラと出会う。車に乗せてくれたらヴェネチアまで道案内してくれるという彼女らも、ヴェネチアでオーディションがあるのだという。かくしてヴァニたちは2人を同乗させ、ヴェネチアまで800キロの長距離を共にすることになるのだが…。
晴れの王国のベンジャミン王に結婚の時が来た。真夜中王国のカロリーナ王女の像画に心を奪われたベンジャミンは、庭師に変装して王女の城に潜入する。初めは不審者扱いで王女に拒絶されるが、彼女の心を掴もうと秘密の歌を披露する。しかし、王国の相談役マキシマスの悪だくみで、カロリーナ王女は金持ちの国の王子と結婚させられようとしていた。やがて、ベンジャミンの歌で目を覚ましたカロリーナは二人で王国からの脱出を試みる―。
1787年、プラハはオペラ『フィガロの結婚』の話題で持ちきりだった。上流階級の名士たちは、モーツァルトをプラハに招き、新作を作曲させようと決める。その頃、モーツァルトは三男を病で亡くし失意のどん底にあり、陰鬱な記憶に満ちたウィーンを逃れるためにプラハにやってきた。友人ヨゼファ夫人の邸宅に逗留して、『フィガロの結婚』のリハーサルと新作オペラの作曲にいそしむモーツァルト。やがて、彼は、『フィガロの結婚』のケルビーノ役に抜擢された若手オペラ歌手スザンナと出会い、その美貌と才能に大いに魅了される。一方、スザンナもモーツァルトが妻帯者と知りながら、その天才ぶりに引き付けられずにはいられなかった。急速にその距離を縮める二人。しかし、オペラのパトロンであり、猟色家との噂のあるサロカ男爵もまた、スザンナを狙っていた。三人のトライアングルは愛と嫉妬と陰謀の渦に引き込まれてゆく―
純粋無垢な美しい少女・ヴァレリエ。彼女には両親がおらず、祖母に厳しく躾けられ育つ。そんなヴァレリエにも、初潮が訪れる。ある日、村にやってきた旅芸人一座に不気味な化け物を見た彼女は、現実とも空想ともつかない不思議で奇妙な悪夢に悩まされるようになり…それ以来ヴァレリエの周囲で怪奇な出来事が次々と起こりはじめる。
子宝に恵まれない夫婦。偶然見つけた切り株が子供の形に見えたことから、夫は妻のためにそれを持ち帰る。妻はそれを我が子と信じ、求められるがまませっせと食べ物を与え続けた。やがて切り株の子“オチーク”は巨大化し<食べ物>を求めて暴走を始める。巨大化し暴走する切り株の子“オチーク”に為す術もない両親、そんな家族を監視し続ける少女...“オチーク”の前に立ちはだかるのは?そしてラストシーンの先に観客が見るものとは。世界の映画祭でも高く評価された、悪夢のような実写長編映画。チェコのグリムと評される19世紀の作家であり、フォークロア研究家でもある、カレル・ヤロミール・エルベンによる作品の中でも、特に親しまれている“オテサーネク”。本作は物語の舞台を現代に置き換え、実写にアニメーションを交えることでシュヴァンクマイエル風味を存分に効かせた異色ダークファンタジー。
世界が「東」と「西」に分断されていた1980年代前半。共産主義政権下のチェコスロバキアで母親のイレナと二人暮らしを送るアンナは、将来を期待された陸上選手だ。ライバルのマルティナと共に、彼女は国が支援するエリートスポーツセンターでコーチのボフダンから厳しい指導を受ける日々を送っていた。高地合宿のさなか、ロサンゼルスオリンピック出場のため、有能なアスリート向けの新薬のプログラムに参加させられるアンナ。だがそれは、筋肉の成長を助ける、ドーピング薬だった…
母親ダニエラと再婚した義父イゴールとアパートで暮らしている少女ヨラナ。ある日、ダニエラが外出し、家にはヨラナとイゴールが残された。暗いリビングで、イゴールはヨラナの身体を貪り始める。だが、禁断の関係は、これが初めてではなかった。ヨラナは義父を受け入れ、身を委ねるが…。
ドイツと隣接するチェコスロバキアのズデーテン地方で製材所と製粉所を営むドイツ人経営者のアウグスト・ハーバーマン。彼の職場には多くのチェコ人が採用され、チェコ人女性ヤナと結婚。しかし彼女にはユダヤの血が流れていたが、幸せの絶頂にいたアウグストは、チェコ人の親友カレルからその事実を教えてもらうことはなかった。1938年、ドイツがズデーデンを占領。村に来た親衛隊少佐コスロウスキーはチェコ人を虐待するが、それに同調しないアウグストは彼を苛立たせる。一方、アウグストの弟ハンスは、ヒトラーに傾倒、ドイツ国防軍に加わる。コスロウスキーの非道がエスカレートする中、チェコ人の処刑を止めるため、アウグストは家に伝わる宝飾を賄賂としてコスロウスキーに渡すのだが…。
ファッション界でカメラマンとして働くカレンは、世界中からオファーが来るほどの超売れっ子。仕事で忙しい彼女を支える献身的な夫、まだ幼い可愛い一人娘――自分でもこれ以上完璧な人生はない、と思っていたカレン。ある夜から、彼女は同じ夢を何度も見るようになる。それは、ホテルの一室で、ベッドに腰をかける裸の男の夢。そしてカレンは仕事先のフランスで、夢で見た男と全く同じ男マチェックに遭遇する。最初はカレンを不審に思っていたマチェックだが、彼女の夢の話を聞き、彼女に興味を示すように。やがて互いに家庭を持つ身でありながら、一線を越えた関係になった二人。しかし、浮気と割り切るマチェックに対して、カレンはどんどん彼との関係にのめり込んでいく。家庭もキャリアも捨てマチェックの仕事部屋に住み着くカレン。そんなカレンとは対照的に、家庭や仕事を優先するマチェック。帰る場所を失ったカレンは、執拗にマチェックを求め、その行動は次第に異常な愛へと変化していく――。
父親の介護で通院する日々を送るローラは、人に触れられることに拒否反応をおこす精神的な障がいを抱えていた。ある日、ローラは病院で患者同士がカウンセリングする不思議な療養を目撃する。ローラは彼らを興味深く観察する中で、自分と同じような孤独感を持つトーマスに惹かれる。街でトーマスに導かれるように秘密のナイトクラブへ入ったローラは、そこで欲望のままに癒し合う群衆を目の当たりにするのだった。
エマは、田舎町のスーパーマーケットで働く25歳の明るい女性。ある夜、近くの村に住む30歳の職人トマシュとバーで出会い、身体の関係をもつ。二人とも期待していなかった一夜が、その後、身体を重ねる回数が増え、同棲へと急速に発展していく。居心地の良さを感じたエマは、自分の過去の出来事を打ち明けようとするが、今を生きることが大事だと考えるトマシュは気にしなかった。ポルノサイトに出演していたエマの動画を見つけるまでは・・・。噂話だけでなく、動画は小さな町にあっという間に広がり、エマへの視線や接し方が一変。過去とは違う今を生きようとするエマと、動画の中の変わらないエマの存在。ネット上から消えない過ちに、ふたりは振り回されていく・・・
地球温暖化による飢饉が人類を襲い、科学者たちは居住可能な新たな惑星を探した。そして2063年。可能性を秘めた惑星を発見し、探査隊を派遣することになる。航行にかかる期間は86年。乗員は訓練を受けた30人の子供たちと、彼らの教官であるリチャードが同乗した。子供たちは船内で成長して子孫を残し、惑星に到達するのは彼らの孫の世代だ。子供たちはリチャードに従順に従い、航行は順調かにみえた。そして10年後。クリストファーとザックは、彼らが毎日飲む薬によって人間としての欲望が抑制されていることを知る。そして、反発した乗員たちは本能の赴くままに行動するようになり、ある事件をきっかけに船内の統制が崩壊していく―。
東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける―。
大好きなおじいちゃんがエイリアンにさらわれた!?学校に居場所がないウーナの心のよりどころは、発明家で、少し変わり物のおじいちゃん。いつもと同じような日のはずだった誕生日の前日、おじいちゃんが何者かに空の上に連れ去られるのを目撃してしまう。未知の出来事にうろたえながらも、解決の糸口を探るべく、おじいちゃんの部屋に向かったウーナ。そこには見たこともないような発明の数々、そして人間の言葉をしゃべるロボットが。おじいちゃんのことを知る彼を「ドードー」と名付け、ともにいざ、おじいちゃん奪還の冒険の旅へ!いじわるな同級生、邪魔をしてくる大人に共に立ち向かい、少しずつ絆を深めていくウーナとドードー。そして旅を進めるうちに、ウナは想像もしなかった家族と宇宙の繋がり、そして秘密と向き合うことになる。果たしてウーナとドードーは、家族を、そして地球を守れるのだろうか!?
1966年、航空警備で通信士をしていたアダム。その働きを見た防諜部のトラベッツ中尉は、彼を秘密警察の隊員にしようと画策。恋人のエヴァが移民の娘であることをつかむと、それをネタに脅迫し、アダムはなす術もなく秘密警察の一員となった。彼の任務は革命分子と言われる者たちの盗聴。間もなくエヴァと結婚したアダムは、新しいアパートで新婚生活を開始。幸せな生活を送っていたが、やがて自分の生活も監視され、盗聴されていることに気づく。
1939年、ポーランド・ワルシャワ。ヤンとアントニーナ夫妻は、ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいた。ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。ヤンがゲットー(ユダヤ人の強制居住区域)に忍び込みユダヤ人たちを次々と救出し、動物園の檻に忍び込ませる。この“救出活動”がドイツ兵に見つかったら自分たちだけでなく我が子の命すら狙われてしまう。彼らはいかにして300もの命を救ったのか―。