作家のリサは、性と暴力を赤裸々に描いた犯罪小説で世界的な人気を誇っていた。端麗な容姿と挑発的な作風で注目を集めていたが、正体不明の男にレイプされて以降、彼女の人生は一変。原稿も書けず、精神的に不安定な日々を送っていた。精神科医の訪問診察を受けながら自宅に引きこもり、悪夢と幻覚に苦しみ、禁じられた処方薬と酒を併用してさらに症状を悪化させていく。そんなある日、レイプの様子を盗撮した映像が入ったUSBメモリが届く。警察に通報するも、一緒に映像をチェックすると、そこにはレイプ映像が存在せず、侵入の痕跡も見つからなかった。周囲はリサの正気を疑い始め、リサ本人も現実と幻覚の境界が曖昧になるなか、狂気の行動へと突き進んでいく。
ヨルダン川西岸地区のマサーフェル・ヤッタで生まれ育ったパレスチナ人の青年バーセルは、イスラエル軍の占領が進み、村人たちの家々が壊されていく故郷の様子を幼い頃からカメラに記録し、世界に発信していた。そんな彼のもとにイスラエル人ジャーナリスト、ユヴァルが訪れる。非人道的で暴力的な自国政府の行いに心を痛めていた彼は、バーセルの活動に協力しようと、危険を冒してこの村にやってきたのだった。同じ想いで行動を共にし、少しずつ互いの境遇や気持ちを語り合ううちに、同じ年齢である2人の間には思いがけず友情が芽生えていく。しかしその間にも、軍の破壊行為は過激さを増し、彼らがカメラに収める映像にも、徐々に痛ましい犠牲者の姿が増えていくのだった―。
11歳のマリアは、湖に隣接する広大なゴミ集積場の近くで、母親のリリベスと共にゴミ収集をしながら暮らしているリリベスは、街の組織と取引をし、飼い犬を売って生計の足しにしようとするが、不測の事態により取引ができなくなってしまう。トラブル解決のため、リリベスはリサイクル施設にマリアを預け、ひとり街へと出かけていく。「すぐに戻る」という母の言葉を信じて待つマリアだったが、母は何日経っても戻らない。マリアは戸惑い、混乱し、言葉にならない怒りを募らせていく。
ノルウェーの人里離れた渓谷「オルデダーレン」。厳しくも美しい自然に囲まれた場所に、年老いた父母が生きている。成長し、作家となった娘が二人の姿をカメラに留めようとすると、84歳となった父親はこの国で最も美しい渓谷と呼ばれる場所を案内しながら、彼の人生と最愛の妻、そして何世代も自然と共に生きてきた人々の暮らしについて静かに語りはじめるのだった。
人と仲良くするのが苦手な人もいる。特にエッラにとっては難しいことだった。エッラが唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、夢の1週間は悪夢へと変わってしまう!オランダからトミーの恋人スティーブがやってきたのだ。トミーとスティーブは英語で話すため、何を話しているのか全く分からないエッラ。のけ者にされたような気分になり、トミーを取られるのではないかと気が気でない。親友を取り戻したいエッラは、彼女と友達になりたがっている転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を実行するのだが…。
カップルのモナとロビーが破格の値段で手に入れた夢の新居。だが、そこは北欧神話の夢魔“メア”の棲みつく呪われたアパートだった。モナは入居以来、不眠に悩まされ、やがて得体の知れない魔物に襲われる悪夢に苛まれ、夢と現実の境界がわからなくなっていく。そして睡眠障害が重症化する中、モナの妊娠が発覚する。彼女は自分のお腹にいる赤ん坊が悪魔の子ではないかと疑い始めるのだった…。
パリの高台にある一軒家で夫ピエールと娘たちと暮らす優秀な弁護士アン。ある日、ピエールの前妻との間にできた17歳の息子テオが引っ越してくる。家族に馴染もうとしないテオにアンは思いやりを持って接するが、次第にテオと情熱的な関係となり、アンはキャリアと家庭生活を危険にさらすことになる・・・
女子大生のシグリッドはデートアプリで億万長者のイケメン、クリスチャンと出会う。すぐさま惹かれ合うふたりだったが、ひとつだけ問題があった。クリスチャンは、犬の着ぐるみを着て常にクリスチャンの“飼い犬”として振舞っているフランクと暮らしているのだった。人間を”飼い犬“として飼っている以外は完璧な彼氏との交際を始めるシグリッドは、彼の別荘へ招待される。
シグネの人生は行き詰まっていた。長年、競争関係にあった恋人のトーマスがアーティストとして脚光を浴びると、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られたシグネは、自身が注目される「自分らしさ」を手に入れるため、ある違法薬物に手を出す。薬の副作用で入院することとなり、恋人からの関心を勝ち取ったシグネだったが、その欲望はますますエスカレートしていき――。
休暇を利用して雪山へやってきた医学生のマーティンたちだったが、山小屋に隠されたナチスの財宝を発見する。財宝を頂こうとしたが、冷凍されていたナチス兵のゾンビたちが蘇り襲い掛かってきたのだった。残された医学生たちは武器を手に取り反撃へと乗り出す。
ロック大好きドラム少年のグリムは、親友でギター兼ボーカルのアクセルとともに、小さいころからの夢だったノルウェーのロック大会出場を目指して練習に励む毎日。ギターの腕は超一流のアクセルだったが、歌はとんでもない音痴で、困ったことに本人にはまるで自覚がない。グリムがこっそり音程補正ソフトで修正したデモ音源を、アクセルがロック大会に送ったら、念願の決勝大会出場のチケットが。夢がかなったと有頂天のアクセルだが、開催地は遥か北の果ての町・トロムソだし、何よりもバンドメンバーは2人しかいない。急遽ベースのオーディションを開いたものの、やってきたのは9歳のチェロ少女、ティルダだけだった。「本物のバンドは車だぜ」とのアクセルの主張で、近所に住む自動車工場の跡継ぎ、マッティンをドライバーに誘い、4人でノルウェー縦断のドライブに出かけるが……。果たして4人は無事にトロムソにたどり着いて、ノルウェー・ロック大会で演奏することができるのか。
1970年代初頭のスコットランド。キリスト教戒律の厳しいカルヴィン主義が支配する小さな村の教会で、信仰の厚い無垢な女性ベスは、よそ者であるヤンと結婚する。ベスは村から離れて石油採掘の仕事に就いているヤンが早く戻ることを神に願う。しかし、油田で発生した事故でヤンは重症を負い、一命は取り留めたものの全身麻痺となってしまう。ヤンはある日、「もうお前を抱くことはできない。別のセックスの相手を見つけ、その様子を話してくれ。」とベスに切り出す…。
わずか23人の住人しかいない、廃れた鉱山町ドッグヴィル。偉大な作家になることを夢見るトムは、ギャングに追われる美しい女性グレースを助ける。翌日、トムは村人たちに彼女をかくまうことを提案し、「2週間で彼女が村人全員に気に入られること」という条件つきの同意を得る。グレースは村人たちに認めてもらうため、肉体労働を始める。閉鎖的な村人たちは、熱心に足を運ぶ彼女に対して徐々に心を開いていく。しかし、住人の態度は次第に身勝手なエゴへと変貌してゆき…。
1960年代、アメリカの片田舎。セルマと息子のジーンは、温かい隣人たちに囲まれ、つつましくも幸せな日々を送っていた。そんなセルマには悲しい秘密があった。遺伝性の病のため、彼女は視力を失いつつあり、息子ジーンも手術を受けない限り同じ運命を辿ることになるのだった。ある時、セルマは、無理な労働による疲労と視力の悪化により仕事場でのミスが増え、遂に工場を解雇されてしまう。さらに家に帰ると、ジーンの手術代として貯めていたお金がなくなっており…。
1860年代のノルウェー北部の氷河に覆われた村で、裕福な家に生まれた少女ディナ。ある日、誤って母親に洗濯用の熱湯を浴びせ殺してしまったディナは、父から疎まれ、使用人に育てられる。多感で誰の指示にも従わず、野性化していく中、父の友人ジェイコブが推薦した家庭教師のロックによりチェロを学び、理性を取り戻していく。やがて彼女は自由奔放な気性の激しい女性に成長。だが友人は幼馴染の使用人のトーマスだけ。愛する母の喪失感とその亡霊に苦しみ、死への興味との挾間で生きていた。さらには心を通わせていたロックが父に解雇され、さらなる喪失感に苦しむディナは、彼女の美しい外見に惹かれた父親ほど年上の裕福なジェイコブとの結婚を強いられる。
ノルウェーの片田舎に暮らす農夫が、欲望むき出しで神に祈った。より良い人生を生きたいと。でもその神、かなり悪魔寄りの神だった!ヴィダルは、西ノルウェーの郊外にある母親の農場で、単調で過酷な生活を送る33歳のキリスト教徒の独身農夫。自分の存在と、恐ろしく要求の多い母親との生活に嫌気がさしている彼は、マンネリ生活から抜け出したい一心でイエスに祈りを捧げる。その夜、彼の祈りに応えた悪魔的なイエスは、彼を吸血鬼に変えることによって、享楽的な人生を送りたいというヴィダールの願いを叶えるのだった。
美しい森の中で偶然王子と出会ったシンデレラ。二人はすぐに惹かれあいますが、シンデレラは名前も告げぬまま別れてしまいます。王子にもう一度会いたいと願うシンデレラですが、まま母からは外出を禁止されてしまいます。王子の花嫁を見つけるために開かれる、舞踏会の日が近づいてきます。困っていたシンデレラは、ある日願い事を叶えてくれるという不思議な3つの木の実を手に入れました。シンデレラは願いを叶えることができるのでしょうか?
母子家庭育ちのヴィルデは日本のサブカルチャーに憧れる15歳の少女。クリスマスイブの日、母親とツリーを飾ったあと、セントラル駅に出かけ、いつもの仲間たちと他愛もない時間を過ごす。そこへ二人の児童福祉局員が現れ、引き立てるようにヴィルデを病院へ連れていく。訪れた病院で、母親が自殺で亡くなったことを聞かされたヴィルデは、局員たちから勧められた施設に行くことを拒み、幼少期に離ればなれになった父親に電話をかけるが…
北極海に浮かぶ島々スヴァールバルに、20年間も通い続ける野生動物カメラマンのアスゲイル。彼は数年前、ホッキョクグマの母グマと、2匹の小さな子グマに出会った。ただでさえ厳しい環境にあるスヴァールバルは、気候変動の影響をもろに受け、氷河は恐ろしいスピードで減少。生態系に劇的な変化をもたらし、現在この地に生息するホッキョクグマは1000頭未満。そんな変化を危惧しながら、動物たちをカメラに記録していくアスゲイルは、“フロスト”と名づけた母グマのことが忘れられず、再び親子を探しに出かける。そして3週間後、親子と運命的な再会を果たすことに。遊び好きな親子の戯れる姿に心を奪われた彼は、子グマたちを「希望」を表す“ライト”と“ラッキー”と名づけ、今まで見たことのない彼らの生活を目の当たりにする。
アフガニスタンで生まれ育ったアミンは、幼い頃、父が当局に連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める…。
これはとある小さな村の魔法のお話。1年で最も心が温まる喜びに満ちた季節。世界中でどの町や村も人々はクリスマスの飾りつけに大忙し。しかし、ある小さな村だけは違った。この村の人々はみんなすぐに物事を忘れてしまう。誰かが忘れるとほかの人も同じことを忘れてしまう。寝る場所を忘れてしまい納戸で目覚めたり、学校が休みだったことを忘れて登校してしまったり、バルコニーがないことを忘れて毎朝窓から何度も落ちたり…。この村に住むのは大変なことだった。明日は12月24日クリスマス・イブ、この喜びに満ちた素敵な日を誰も覚えていなかった。しかし、幼い少女エリーサだけは違った。朝、目を覚ますと不思議な感覚に陥る。彼女は家族や友人に、この日は他の日とは違うことを説明しようとするが誰も覚えていない。エリーサは手遅れになる前に、村人たちにクリスマスを伝えることができるのか…。
ワケあって警察に追われる少女サラは身を隠すため旅行で不在になっている家に潜むことに。その夜、窓ガラスが割れた音がして様子を見に行くと、そこには何と傷ついたドラゴンが!ドラゴンの傷を治してあげようと薬を探している最中、この家の金魚の世話に来た小学生のモーティマーに見つかってしまう!ドラゴンを見て驚くモーティマーだったが、ふたりで協力しドラゴンを元の世界に戻すことに。しかし、誤ってSNSにドラゴンの映像がアップされてしまったことで、特殊部隊やメディアが集まり街は大騒動に。ふたりはドラゴンを守るために大きな決断をする…
19歳のギタリストのユーロニモスは、デッドたちとともに「真のブラック・メタル」を追求するバンド「メイヘム」の活動に熱中していた。しかしある日、デッドはショットガンで頭をブチ抜き、自殺…。発見者のユーロニモスは、親友の脳漿が飛び散る遺体の写真を撮り、喧伝することでカリスマ化。“誰が一番邪悪か”を競うサークルを作り、王として君臨。しかし、メンバーのヴァーグが起こした事件を契機に、主導権争いは熾烈化。歯止めが効かなくなった果て、狂乱が待ち受けていた。
ナチス占領下のノルウェーで、女優として活躍していたソニア・ヴィーゲットは、スウェーデンの諜報部から、スパイとしてナチスに潜入することを要請される。一度は要請を拒否したが、逮捕された父親を解放させるため、ナチスの国家弁務官テアボーフェンに接近して彼の邸宅に潜入することに成功。次第に信頼も得るようになったソニアは、ある日、彼からナチスのスパイとして北欧諸国の情報を収集することを依頼される。
ノルウェー西部の荒野で隠れるように野宿をするエリックは、ある日不可解な力で誤って青年を殺害し、逮捕されてしまう。拘留中、エリックは何が起こったかを解明しようとする若き心理学者クリスティーヌと出会う。エリックは親身に話を聞こうとするクリスティーヌに少しずつ心を開き、彼女もまたエリックと話すうちに彼に同情するようになる。やがてアメリカ大使館が現れ、エリックを本国アメリカに移送しようと試みるが、彼は再び不可解な力を使い、クリスティーヌと逃げ出す。ノルウェー、アメリカの2か国に追われる中、クリスティーヌと共に力の解明を進め、エリックはついに自分の中にある力の根源を探し出す。
クリスチャンは風変わりな気象学者で、フランス・カマルグで雁の研究をしている。超軽量飛行機を使い、渡り鳥に安全なルートを教えるという、誰もが無茶だと呆れるプロジェクトに夢中だ。そんな変わり者の父親と大自然の中で過ごすバカンスなど、オンラインゲームに夢中な息子トマにとっては悪夢でしかない。Wi-Fiも繋がらない田舎で暇を持て余したトマは、ある出来事をきっかけにその無謀なプロジェクトに協力することに…。
大好きなおじいちゃんがエイリアンにさらわれた!?学校に居場所がないウーナの心のよりどころは、発明家で、少し変わり物のおじいちゃん。いつもと同じような日のはずだった誕生日の前日、おじいちゃんが何者かに空の上に連れ去られるのを目撃してしまう。未知の出来事にうろたえながらも、解決の糸口を探るべく、おじいちゃんの部屋に向かったウーナ。そこには見たこともないような発明の数々、そして人間の言葉をしゃべるロボットが。おじいちゃんのことを知る彼を「ドードー」と名付け、ともにいざ、おじいちゃん奪還の冒険の旅へ!いじわるな同級生、邪魔をしてくる大人に共に立ち向かい、少しずつ絆を深めていくウーナとドードー。そして旅を進めるうちに、ウナは想像もしなかった家族と宇宙の繋がり、そして秘密と向き合うことになる。果たしてウーナとドードーは、家族を、そして地球を守れるのだろうか!?
仲間や恋人、さらには自身の腕を失いながらもナチスゾンビ達から逃げ出したマーティンだったが、途中で自動車事故を起こしてしまう。なんとか一命を取り留めた病院で目を覚ました彼が見たものは、医者の手違いによりゾンビ司令官ヘルツォークの腕を付けられた自分の姿だった。ヘルツォークの腕の秘められた力により、特殊能力に目覚めたマーティンがナチスゾンビ軍団との戦いに挑む…。
1961年9月。国連事務総長ダグ・ハマーショルドを乗せた専用機が謎の墜落し、乗員全員が死亡。長らく未解決になっていた未解決事件がマッツ・ブリュガー監督と調査員ヨーラン・ビョークダールという2人の男の調査で急展開。事件の裏に隠された巨大な陰謀とは?暗殺部隊、ウィルス兵器、人体実験・・・。必見の殺人ミステリー
1942年冬、ナチス占領下のノルウェー。14歳のエスターが住む小さな町トロンデンハイムにもついにナチスの手が及び、愛する家族たちは次々と逮捕、殺害されてしまう。ナチスの目をかいくぐり、なんとか一人だけ生き残ったエスターは、真っ白な雪が積もる森の中にある農場にたどり着く。人手が足りないその農場で何とか居場所を見つけたエスターだったが、その家はナチスに協力する一家であった。エスターにとって、そこで働くことは自分の家族を殺したナチスに加担することを意味する。恐怖感に怯えながら、何とか脱出の機会をつかもうとするが…。
数百人の学生がウトヤ島のサマーキャンプに参加し、活発に国の未来について語り合っている中、突然の銃声があたりをつんざく。何が起こっているのかわからないまま、仲間たちと森へ逃げ込んだ少女カヤ(アンドレア・バーンツェン)。銃声は止むことなく、学生たちは島中を逃げ回る。カヤは恐怖のまっただ中でありったけの勇気を奮い起こし、はぐれた妹エミリアを捜し始めるのだが…。少年少女たちが無差別に銃撃された72分という時間が、リアルタイムで描かれる。
2人の幼子を抱えるアレハンドラは、夫との冷え切った関係に悩んでいた。一方、夫のアンヘルは密かにアレハンドラの弟で看護師のファビアンと肉体関係を結んでいたのだった。ある日、ファビアンの勤務する病院に、ヴェロニカという不思議な美女が、鋭い牙で噛まれたような傷を治療にやってきた。2人はすぐに意気投合し、やがて互いの性の悩みを打ち明け合うほどの親友になった。そしてヴェロニカは、ファビアンをある秘密の場所へと案内する。「宇宙で一番美しいものを見せてあげる。あなたも気に入られるはずよ」森の奥に佇む薄暗い屋敷。そこにはなんと、巨大な触手で人間の性欲を貪りながら生きる謎の生命体が、新しい客人を待ち受けていた…。
未解決事件を扱う特捜部Qに、また新たな捜査の依頼がやってきた。海辺を散歩していた町人がボトルの中に「助けて」と書かれた手紙を見つけ、Qに送ってきたのだ。手紙はどうやら7~8年前に書かれたもので、インクが滲み殆ど読めない。唯一の手がかりは差出人の頭文字“P”。Qのチーム達は手紙を解読しながら該当する行方不明者を割り出していくが、そこには驚愕の事件が隠されていた・・・。
ノルウェー・オスロに住むシャルロッテは、一見充実した日々を送っていたが、自分に無関心な母親とアルコール依存症の父親との冷め切った家族関係に心を痛めていた。そんな時、シャルロッテは会ったことのない異父兄がオスロに引っ越してきたことを知り、家族への愛情を取り戻すために偶然を装い彼の家を訪ねる。しかし、再会を祝い交流を重ねるうち、普通の家族を知らない2人は徐々に引かれ合い体を重ねていってしまう……。
虐殺で兄が殺害された後、その弟として誕生した青年アディ。彼の母は、加害者たちが今も権力者として同じ村に暮らしているため、アディに多くを語らずにいた。アディはジョシュア・オッペンハイマー監督が撮影した、加害者たちへのインタビュー映像を目にし、彼らが兄を殺した様子を誇らしげに語るさまに、強い衝撃を受ける。「殺された兄や、今も怯えながら暮らす母のため、彼らに罪を認めさせたい―――」アディは監督に、自ら加害者のもとを訪れることを提案。しかし、今も権力者である加害者たちに、被害者家族が正面から対峙することはあまりに危険だ。眼鏡技師として働くアディは、加害者たちに「無料の視力検査」を行いながら、徐々にその罪に迫ってゆく。
独身男コルベインは子持ちの未亡人ソルヴェーイグに惹かれ、彼女も彼に惹かれている。しかし、村中がこの恋の発展を興味津々で見守るなか、なんと、馬同士の愛が先を越してしまう。果たして、彼らの複雑化してしまった四角関係のゆくえは・・・・!?アイスランドの美しくも過酷な大自然を舞台に繰り広げられる、人間と馬との予測のつかないストーリー。交差する悲劇と喜劇。そしてその結末は・・・・。
これが“悪の正体”なのだろうか―――。60年代のインドネシアで密かに行われた100万人規模の大虐殺。その実行者は軍ではなく、“プレマン”と呼ばれる民間のやくざ・民兵たちであり、驚くべきことに、いまも“国民的英雄”として楽しげに暮らしている。映画作家ジョシュア・オッペンハイマーは人権団体の依頼で虐殺の被害者を取材していたが、当局から被害者への接触を禁止され、対象を加害者に変更。彼らが嬉々として過去の行為を再現して見せたのをきっかけに、「では、あなたたち自身で、カメラの前で演じてみませんか」と持ちかけてみた。まるで映画スター気取りで、身振り手振りで殺人の様子を詳細に演じてみせる男たち。しかし、その再演は、彼らにある変化をもたらしていく…。