モレは優しい夫サンインと幸せな結婚生活を送っていたが、ある日美術館で偶然出会った青年と過ちを犯してしまう。モレがすぐにサンインに打ち明けると、サンインはショックを受けながらも彼女を受け入れる。ところが、フレンチ・レストラン開業の為に夫婦が住み込みで雇った天才シェフ、ドゥレこそが例の青年だった。モレは動揺しつつも、3人の奇妙な同棲生活が始まる。
1974年、フランコ政権末期のスペイン。バルセロナを追われた料理人フェルナンドとアルベルトの兄弟は、友人フランソワの伝手でサルバドール・ダリの住んでいる海辺の街カダケスに辿り着く。彼らを迎えたのは魅力的な海洋生物学者のロラ、そしてその父―ダリを崇拝する、レストラン「シュルレアル」のオーナーであるジュールズだった。「いつかダリに当店でディナーを」をスローガンに、ありとあらゆる無謀な試みに奔走しながら、情熱を謳い続けるジュールズ。やがてそのカオスはフェルナンドの料理に新たな風をもたらし、世界規模の革命的シェフの誕生を呼ぶことになる。
本作は、チョコレートの原料である“カカオ”の歴史、栽培する農家の現状や、カカオの可能性に魅せられて、彼らの労働環境の向上やカカオのビジネスモデル構築に奔走する日本人の活躍を追ったドキュメンタリー映画。監督は多様性について考えるドキュメンタリー「であること」の和田萌。ナレーションを歌手でタレントの堀ちえみが担当している。
日本の国民食「ラーメン」の世界的な熱狂ぶりと、この複雑で繊細な和食麺料理の奥深い魅力とエッセンスを検証しながら、世界のラーメン人気を支えワールドワイドな活躍を見せる中村比呂人(AFURI 代表取締役)と中村栄利(ニューヨーク「NAKAMURA」オーナーシェフ)のカリスマ的な天才兄弟の情熱と熱い生き様に焦点をあてた、ドラマティックでエンターテインメントな、観る者の心と魂を激しく揺さぶる珠玉のドキュメンタリー映画。
隠れた名店を紹介・改装して繁盛店に変えることがコンセプトの人気テレビ番組“アビーのレストラン大改装”。次に手がけるお店はテレビ局の意向で、ミネソタ州ミネアポリス郊外にある”ロッコー食堂”に決まる。都会の高級店を扱っていた番組の突然の方針変更にパーソナリティを務めるアビーは戸惑うが、番組存続のため不満を持ちながらも現場へと車を走らせる。道中、羊の群れに行く手を阻まれるアクシデントがあったものの、無事に現場に辿り着いたアビーだったが、ロッコー食堂のオーナーであるトムは、番組撮影が来ることを知らされていなかった。伯母で接客係のマージと彼の娘クレアたちが、くすぶっているトムを見かねて内緒で番組に申し込みをしていたのだった。
都心でバリバリ働くタムは、上司から2週間後の役員会で自身を売り込むことに成功すれば、役員昇進の可能性があると聞かされる。そこで自身を表現する“3つの単語を探すといい”と助言を受けたタマラは、最高の言葉を考えるため、車で数時間かけてリンゴ農園を経営する実家に帰省。その農園の土地を借りている、かつて互いに意識し合っていた幼馴染のエヴァンとも再会する。両親は帰省を喜んでくれるが、味はよいも見た目の悪い特産品のリンゴが取り扱い業者の閉鎖により、実は伐採の危機にあると知らされる。そこでタムは、実家の果樹園と特産品のリンゴを守るため、かつて地元で愛されていた“メリーのアップルパイ”を再現して販売することを思いつく。
釜石でラーメン屋「小川食堂」を営む父と妹の所に、3年前に家を飛び出して音信不通だった長女・正実(井桁弘恵)が突然帰ってきた。戻って早々厨房に立つ妹・仲良(池田朱那)に「おめえなんかにお母ちゃんの味は出せねえ!」と言う始末。東日本大震災で行方不明になった母・正恵(佐伯日菜子)の代わりに、父・剛志(利重剛)が店を継いでいた。仲良は病気がちな剛志を助けて厨房に立っていたのだ。姉妹の衝突が続いたある日、剛志がついに倒れ、入院することになる。そこで正実は「小川食堂」が町の人たちにとってとても大切な場所になっていたことに気づくのだった。そんな折、人気ユーチューバー・マリリン(木月あかり)が現れ、東北ご当地ラーメンのベストテン企画で「小川食堂」のラーメンを取り上げたいと言う。正実は「よし!おまえらに最高の一杯を食わせてやる!」と挑戦を受けた。こうして、姉妹は父の手を借りずに、二人で母の味に迫るべく、最高の一杯を目指した奮闘が始まる!
激動の1930年代、満州に渡った天皇の料理番・山形直太朗が考案した究極の美味112品による[大日本帝国食菜全席]。歴史の闇に消えたレシピの謎を追い、メニューの完全再現に挑むのは、絶対味覚=“麒麟の舌”を持つ料理人・佐々木充。彼はこれまで、愛を知らずに生きてきた。もう一人の“麒麟の舌”を持つ男の生涯を知るまでは…。かつて世界を料理で変えようとした料理人が、自らの命をかけてレシピに隠した秘密とは?
遠山雄大(片岡千之助)は、地味で友達も少なく、学校生活もパッとしない高1男子。ある日、学校をサボっていたところ、酔っ払った洋食店の主人・桑原猛(的場浩司)にぶつかり、足を怪我させてしまう。雄大は買い出しなどを手伝うため洋食店に通いだし、隣人の千鶴(筒井真理子)は二人の様子に興味津々。やがて高校の「うどん部」が現れるが、彼らはやたらと一生懸命で…。ちょっぴりメンドウな人々が、うどんをこねたり、理屈をこねたり。荘厳な富士山の麓で繰り広げられる、アツくてメンドウな青春物語です。
一年で最も賑わうクリスマス前の金曜日、ロンドンの人気高級レストラン。その日、オーナーシェフのアンディは妻子と別居し疲れきっていた。運悪く衛生管理検査があり評価を下げられ、次々とトラブルに見舞われるアンディ。気を取り直して開店するが、予約過多でスタッフたちは一触即発状態。そんな中、アンディのライバルシェフが有名なグルメ評論家を連れてサプライズ来店する。さらに、脅迫まがいの取引を持ちかけてきて…。
女手ひとつ、三十年も続く惣菜店と二人の子供を懸命に守ってきた母・エラン。ここの惣菜は「薬のような料理」と近所でも有名で、ガン患者やアトピー患者もわざわざ買いに出掛けてくるほどだ。「この頃わたしも忘れっぽくなっちゃって」と言いながらも、テキパキと店を仕切る姿が頼もしい。しかし息子のギュヒョンはというと、万年非常勤講師で生活能力もなく、二人の子供を持ちながらも妻に頼りきりの生活だ。この日も大学仲間と酒を酌み交わし、教授の席の斡旋話しを聞いてご機嫌に。母の絶品トンチミククスを振る舞うと、深夜に仲間を連れ突然実家に転がり込んでしまう。他人の為なら苦労は厭わない母は、嫌な顔ひとつせず料理を振る舞うも、妻子の待つ家にも帰らず実家で眠りこけてしまうダメ息子の顔を見ては「何をしているんだか…」と呆れてものが言えない。亡くなった自分勝手な旦那の影を息子に見て、つい小言ばかり言ってしまう毎日。翌朝、やっと家に帰ったギュヒョンは二日酔いで伏せたまま。仕事で家を出なくてはならない妻は、子供の面倒を夫に任せることが出来ず、仕方なくお義母さんの惣菜店に子供を連れて出て行った。とはいえ、エランも店での仕事があるのだが…。「全ては生活能力のないギュヒョンのせい」と捨て台詞を吐いて出ていってしまう義理の娘。かたやギュヒョンは「教授の座に就くには五千万ウォンが必要」と大学側から告げられ、世間知らず故にあっけにとられてしまう。五千万ウォン、そんなお金がどこに…。仕事をしながら孫の面倒を見ていたエランはというと、家の中で躓いて足を痛めてしまった。「どうしても週末にチュンチョンに行きたいから車を出してほしい」。ギュヒョンに頼む母だが、一体なぜチュンチョンに行くのか、それに怪我をしている今なぜ?問うても答えぬ母の頑なな態度がどうにもわからない。母には秘密があるのだ。そんな中、調味料の分量を忘れたり、仕入れ業者と支払いについて揉めたり、靴の万引きで警察に突き出されたりと、エランに予想もしなかった認知症の症状が現れはじめ、子供たちの荷物にだけはなりたくないと薄れていく記憶の端を掴もうとするのだが…。心配になったギュヒョンは、母を認知症検査に連れていくのだったが「あなたたちの荷物にはならないし、もし病気にでもなったら勝手に施設でも行くから、わたしには何も望まないでほしい」と激しい口論に。病院では「加齢によるただの物忘れ」と言ってもらった母だったが、実際は既に大きく進行している認知症なのだった…。その後も突然家を飛び出し、またも警察のお世話に。しかし、よくわからないのが「スンヒョン!水に近づいちゃダメ!」と見知らぬ子に抱き着き取り乱していたというのだ。家族の誰もが聞いたことのない名前だ。ついに自分が認知症であることを理解したエランは、自ら施設に入る決心をする。ギュヒョンは実家でもある店舗を売りに出し、その金で斡旋手数料の五千万ウォンの支払いや、母の施設入所金に充てる算段だったが…。家の片付けをしていると一冊のノートが。そこには息子や孫に宛てた自家製レシピと、家族への想いが切々と綴られているのだった…。
マンハッタンで創業100年を超える老舗ロシア料理店〈ウィンター・パレス〉。かつては栄華を誇ったお店も、今や古びて料理もひどい有様。店を立て直すために雇われたマネージャーのマークは刑務所を出たばかりの謎だらけの人物。常連の看護師アリスも、仕事ばかりで他人のためだけに生きる変わり者。そんなロシア料理店に、二人の子供たちを連れて、事情を抱えて夫から逃げてきたクララが飛び込んでくるが…。
オリーブ生産高世界一を誇るスペイン、アンダルシア州ハエン県のオリーブオイルの若き生産者たちを捉えたドキュメンタリー。ローマ皇帝にオリーブを献上する農地として、世界最大のオリーブ生産高を誇る地域へと発展したハエン県。しかし大量生産ばかりを追い求めてきた結果、エキストラ・バージン・オリーブオイルが持つ最高の「質」は置き去りにされ、近年になってようやく、若き起業家たちが最高のオリーブと称される「ピクアル種」を使用した究極のオリーブオイルを作り出すことに成功した。若い世代に代替わりした生産者たちの先鋭的な挑戦を生き生きと描き出すとともに、オリーブオイル革命を見守るシェフたちと革命に敏感に反応する起業家、そして消費者の視点から、オリーブオイルが秘めた大きな可能性を伝える。監督はスペインのベテランドキュメンタリー作家ホセ・ルイス・ロペス=リナーレがメガホン。
今日も食卓に、明るい声が響く。ここは道南・せたな町。海が見える牧場で酪農を営む亘理は、妻のこと絵、一人娘の潮莉とのしあわせな家族3人暮らし。自然に寄り添った食を追求する仲間たちに囲まれ、厳しくも美しい大地で楽しい日々を送っている。亘理の夢は、自分の牧場の牛乳で、この地でしか食べられないチーズを作ること。でも師匠のチーズ職人・大谷にはまだ追いつけず、落ち込んだり奮起したりの繰り返しだ。ある時、札幌から訪れた有名シェフ・朝田に自分たちの食材を激賞され、亘理は一つのアイデアを思いつく。それは、せたなの おいしいもの を広く届けるため、一日限定のレストランを開くことだった。だが、納得ゆくチーズが完成せず思い悩んでいたある日、突然大谷が倒れ……。
創業74年を誇る浅草の老舗パン屋、ペリカン。売っているパンの種類は食パンとロールパンのたった2つ。それでも毎日行列ができ、地元に愛され続けてきた。本作は、老舗の伝統を守り続けるペリカンのパン作りの現場に潜入し、その魅力の真髄に迫るドキュメンタリー。
「ラーメンほど熱狂的な信者のいる食べものはない。そのラーメンバカたちを魅了するには、作り手もそれ以上のラーメンバカ(=ヘッズ)じゃないといけない」と語るのが、業界最高権威TRY大賞4連覇のキング・オブ・ラーメン富田治だ。 ラーメン日本一の秘密を探るべく撮影を始めると、富田は惜しげもなくラーメン作りの詳細を見せてくれた。揺るぎない自信を伴う異常なまでのスープと麺へのこだわり、そして具材へのきめ細やかな配慮が一つ一つ具体的に明らかになる。 そんな富田が、店の10周年を迎えるにあたって特別なイベントを企画した。 神奈川ナンバー1の呼び声高い「らぁ麺屋 飯田商店」の飯田将太と、ミシュランガイドでラーメン屋として初めて星を獲得した「Japanese Soba Noodles 蔦」の大西祐貴とのコラボ。 まさに、ラーメン界の“ビッグ3”の揃い踏みだ。1日限定200杯の夢のラーメン。 3人はそれぞれが個性をぶつけ、一杯のラーメンを試行錯誤しながら作っていく。富田は絶対王者らしく、2人の良いところを取り入れながら、至高のラーメンを仕上げた。 当日朝7時に配られる整理券を獲得するために並ぶ人、人、人…。翌朝、松戸の小さな店の厨房に3人のカリスマが並んだ。 果たしてどんなラーメンが出来上がるのか…。日本一のラーメン屋と称される「中華蕎麦 とみ田」と店に集まる熱狂的なお客さんたちの姿を、1年3か月にわたり長期取材。 日本ラーメン界の象徴ともいえる7人の個性的なラーメン店主たちの活動も交え、知られざるラーメンの進化の歴史をひもときながら、作り手も客もヘッズすぎる現代日本のラーメン文化を鮮烈に描き出す。
セシリアは、ショコラティエを目指す、ちょっぴり勝気な女の子。念願かなって、憧れのショコラティエからレッスンを受けることになり胸を膨らませる。でも許せないのは、クラスメートのマッティアのこと!遅刻するわ、勉強しないわ・・・。そんなある日、セシリアは問題児マッティアの家庭教師に任命される・・・。甘さたっぷりの柔らかショコラづくりを通して、彼女の仕事と恋は、ゆっくり固まってゆく。
伝統と格式を持つ高級料亭「花川戸」。その跡取り娘の桜は父の亡き後、自ら板場に立ち、店を仕切っていた。いつものように包丁を揮っていた桜の元に知らせが届く。3年前から出奔していた、父の一番弟子で花川戸の花板だった修二が見つかったのだ!二人は言葉には出さないが、相思相愛の仲だった。桜は店を現在の花板である卓に任せて、修二のもとを尋ねる。3年ぶりに再会した二人は、少しずつ愛を育んでいく。しかし、桜は修二には決して言えない過去を握っていた。父の臨終際に託された1本の包丁「清麿」―その刃に顔を映すことができた者にしか扱いきれない伝説の包丁。その1本の包丁に纏わる宿命に、桜と修二の運命は翻弄されてしまう!!
銀座の名店で板前の勝負に敗れた尚美は、とある漁港で“江戸前がってん寿司”の新店舗開発の新人教育担当になる。しかし、数年前の都市開発で一度失敗している為、皆協力はしてくれない。何度となく困難に直面するが、昔のライバル琢磨の支えもあり、立ち上がっていく尚美。暴走族あがりの真琴とスナックママのマリ子に江戸前直伝の握りを厳しくも人情深く教えていく。そして、都市開発に反対する漁師たちとの勝負に挑むのだった!!
本作は、世界のコーヒーカルチャーを牽引する都市を舞台に、今、最も重要なコーヒーのプロフェッショナルたちの熱き仕事ぶりと哲学を追う。すべての生産過程が味を左右するコーヒーの世界で、日々、究極のコーヒーを追い求める人々の姿はまるで求道者のようだ。従来の“質より量”のコーヒー業界のカウンターとして登場した「スペシャルティコーヒー」の担い手たちは、新たな経済の仕組みを息吹かせ始めている。
恋人との普通の幸せを夢見ていた千恵はある日、乳がんを宣告される。見えない不安に怯える千恵に信吾は優しく寄り添いプロポーズ。2人は晴れて夫婦となった。抗がん剤治療を続けるため子どもをあきらめていた千恵だったが、ある時妊娠していることが分かる。産むか産まないか――産むということはがんの再発リスクが高まるということだった。千恵は周りの支えで産むことを決意し、無事出産。「花のようにみんなに愛されますように」と名付けられた『はな』はすくすくと元気に育つ。しかし、家族3人、幸せな日々は長くは続かず、千恵を再び病魔が襲う。健康の基本は食生活から、と今までの食事を見直す千恵。一度は快方へ向かうが全身転移が判明、千恵は余命がわずかであることを覚悟する。4歳になったはなに千恵は、自分がいなくなってもはなが暮らしていけるようにと、毎日みそ汁を作ることを約束させ、料理を教えはじめる。はな5歳の誕生日、千恵は夢であったクラシックコンサートに出演し、娘、夫、家族や友人への感謝の気持ちをこめて歌う。千恵が天国に召された現在、「ちゃんと作る、ちゃんと食べる」という千恵の想いを胸に、今日もまたはなと信吾はみそ汁ののった食卓でご飯を共にするのだった。
東京で舞台美術の仕事をしていたまりは、ふるさとの西伊豆の小さな町で、かき氷屋で生きていくことを宣言する。ある日の朝、突然母から、大学時代の友人の娘であるはじめちゃんが、しばらくうちに滞在することになったから面倒を見てくれ、と頼まれる。はじめちゃんは顔に火傷の痕が残り、また一緒に暮らしていたおばあさんを亡くしたばかりで、心に傷を抱えていた。
地中海に面したバルセロナの小さな港町。ケネディ暗殺の日に生まれたソフィア(オリビア・モリーナ)は、海岸近くの食堂を営む両親のもとで、子供のころから店を手伝う。彼女の夢はただ1つ。いつか一流のシェフになること!「普通の仕事につけ」と言う母に反発し、破天荒な行動にでる彼女のそばには、いつも2人の幼なじみー散髪屋の息子で堅実なトニ(パコ・レオン)と孤独で奔放なフランク(アルフォンソ・バッサベ)がいた。トニはソフィアにプロポーズし、フランクはシェフの修行に出ようとソフィアを誘う。トニと婚約しつつ、夢があきらめられないソフィアは、町を出てシェフ修行に入る決意をするのだが…。ソフィアとともに彼女に翻弄されながらも、幸せをつかもうとするトニとフランク、3人で作り上げる人生のレシピとは?
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァ、そして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?
台湾では、お祝いごとがあると屋外で宴が開かれ、そこで腕を振るう、総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる宴席料理人がいる―その中でも、“神”と称された伝説の料理人を父に持つシャオワンは、料理を嫌い、モデルを夢見て家を飛び出していたが、夢破れ帰省。亡き父がレシピノートに残した“料理に込めた想い“に心を動かされたシャオワンは、宴席料理の返り咲きをかけ、全国宴席料理大会への出場を決意する。
東京・銀座の地下にあるたった10席ほどの鮨店・すきやばし次郎の店主・小野二郎。彼の握る鮨は「ミシュランガイド東京」で5年連続、最高の三つ星の評価を受け、フランス料理最高シェフのジョエル・ロブションや、ヒュー・ジャックマン、ケイティー・ペリーといったハリウッドセレブなど、世界中の食通たちをうならせてきた。あのメトロポリタンオペラの総帥、ピーター・ゲルブ氏の息子でもあるデヴィッド・ゲルブ監督は、87歳の今でも現役で板場に立ち、現役で己の技を磨き続ける二郎の職人としての生き様に魅了され、その人生と哲学を題材に映画制作をすることを決意した。そして、約3ヵ月にわたり東京、静岡と密着取材を敢行した。ゲルブ監督のファインダーが映し出すのは日本人の私たちが忘れかけた、二郎の仕事に対する誠実な姿勢。親子であり師弟でもある二人の息子を通じて描かれる、偉大なる父への敬意、そして葛藤・・・。世界が認める名店を支える者たちのプライドと仕事にかける情熱を、温かくもモダンな映像とクラシック音楽の旋律とともに美しく浮かび上がらせてゆく。
アナタの心を満腹にしてくれる<とってもオリジナルな幸せ>世の中で唯一の名字“ペンギン”夫婦が生まれたとっておきの物語。フリーライターとして東京で働いていた歩美(小池栄子)は、中国で出会ったカメラマン(ワン・チュアンイー)と国際結婚。しかしその後、夫の会社が倒産し職を失ってしまう・・・。歩美は落ち込む夫を気晴らしに石垣島へ連れて行く。そこで出会った大自然、温かい心、そして美味しい食材にすっかり二人は魅了され、移住する事に!職のアテも無い二人は共通の趣味である”食”を活かし、石垣島の食材を使った全く新しいラー油を作ろうと思い立つ。苦労しながらも気持ちを込めて作ったラー油。しかし一つも売れない。それでも前向きな二人に新たなチャンスが舞い込んだ。国際結婚、離島への移住、帰化申請。これは食べるラー油誕生の裏に隠されたとってもあったかい絆の物語。