空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーの内気な青年フリアンは、同僚の誕生日パーティで美術史を学ぶ女性ディアナと出会い、聡明でミステリアスな彼女にひかれていく。その一方で、フリアンは隣人の少年を火事から救ったことをきっかけに、謎のパニック発作に悩まされるように。やがてフリアンが抱えるある秘密が、思わぬ怪物を生み出してしまう。
時代に翻弄されたふたりの、心震える愛の物語。1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。
モスクワから世界最北端駅ムルマンスクにあるペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定だったラウラ(セイディ・ハーラ)は、大学教授の恋人イリーナ(ディナーラ・ドルカーロワ)にドタキャンされ、ひとりで旅立つことに。恋人がもう自分に興味がないことを薄々感じる失意の中、出発した寝台列車の同じ6号客室に乗り合わせたのは炭鉱労働者の男リョーハ(ユーリー・ボリソフ)。リョーハは出発早々に酒に酔いタバコをふかす粗野な振る舞いで、傷心のラウラにとって最悪な旅のはじまりとなる。しかし、旅を共にするうちに、お互いの不器用な優しさや魅力に気付いていく・・・
ヘレン・シャルフベックは、かつて絵画の才能を認められパリへ留学を果たすが、今は田舎で老母と暮らしながら絵を描き続けていた。そんな彼女のもとへ画商のヨースタが訪ねてきて、その圧倒的な才能に驚嘆し大規模な個展を企画する。そして19歳年下の青年エイナルとの出会いはヘレンにときめきをもたらす。画家として歩み始めたヘレンだが、男尊女卑の価値観を持つ母と兄との間に軋轢を生む。
戦時中にドイツ軍にいたことから秘密警察に追われる身となったエンデルは、身を隠すためにこの町へ来たのだった。校長から運動クラブを開くように言われて、途方に暮れるエンデル。体育用具も軍に寄贈されてほとんど残っていない。レニングラードでは有名なフェンシングの選手だったエンデルが一人で剣を振っていると、マルタ(リーサ・コッペル)が「教えてください」と目を輝かせる。エンデルはフェンシング・クラブを開くことにするが・・・。