暗殺のミッションに失敗した、若きアメリカ兵士・マイク。逃れた先が、3000万以上の地雷が埋まる地雷原だと気づいたその時、目の前で仲間の兵士が爆死。さらにその瞬間、“カチッ!”…。自らも地雷を踏み、一歩足りとも動けない絶体絶命の窮地に立たされる。援軍と連絡も途絶え、救出まで52時間。その間、容赦なく次々に押し寄せる自然の脅威と、心に封印してきた過去のトラウマからくる激しいフラッシュバックに襲われ続ける。現実と幻覚の間を彷徨い、己との孤独で壮絶な戦いを強いられた男の運命はー。
大都会・ソウルの片隅で生きる男女4人の殺伐たる生き様を抑制のきいたタッチで描いたシリアス・ドラマ。売れない三文小説家の危うい均衡に成り立つ生活ぶりと、彼と関係する二人の女性やその夫を抑制の利いた画面構成と洗練されたモンタージュを通して描く。ソン・ガンホの映画デビュー作品。
車椅子から降りたCP者・横田弘が、自室を出て団地の外廊下をイザッて歩き始めた。団地から外に出ると、低い位置で進む横田の目を、まばゆい陽光が射抜く。大通りの横断歩道を四つん這いで渡ってゆく横田。不随意運動する首、四肢を使って、その姿はまるで喘いでいるようだ。信号が赤に変わり、横田の後ろを何台もの車が走りぬけてゆく。「怖かったよ」と告白する横田。その傍らで同じCP者である横塚晃一は、横田の冒険の始まりを撮影していた。カメラを持つその手は不自然に、くねるように曲がっている……。他者の視線のない場所から健全者たちの街頭へ、二人は飛び出した。横田・横塚が所属する「青い芝の会神奈川県連合会」メンバーたちは駅前でマイクを手に、脳性マヒ者の権利を主張する。その活動を支援する募金を投じる主婦・サラリーマン・あどけない子どもたち……。「なぜ募金をしたのですか?」原のインタビューに人々は答える。「私たちは五体満足だから、気の毒だなと思って」「先祖のお墓参りに行ってきた帰りだから」横田の自宅で酒を交わしながら、メンバーたちの赤裸々な性体験が語られる。「一回目は上手くいかなかった」「吉原に行って」「レイプみたいなもんだよね」。横田の乗った電車が駅に到着する。下車しようと戸口に向かい懸命に膝でイザる横田は、ホームへと転落してしまう。横田の自宅。青い芝の会メンバーたちの間で、議論が白熱している。これ以上の撮影は拒否するという横田を、メンバーたちは攻め立てる。そもそもこの映画の撮影自体に反対していた横田の妻の怒りが爆発する。彼女はカメラの向こうの原を罵倒する。新宿西口・地下構内。四肢と首を溺れるように、踊るように揺らしながら、横田はイザってゆく。メガネが落ちる、拾う、イザる。メガネが落ちる、拾う…… 週末で賑わう新宿の歩行者天国。チョークを手にした横田は、健全者の人垣にぐるりを囲まれている。横田は不自由な手でアスファルトに文字を、障害者である自身の“肉体の表現”を、刻み付けるのだった。
物語の舞台となるのは、小さな映画館。この日、上映されるのは何の変哲もないコメディ映画。観客の中には運送会社の社長夫婦、浪人生、読者モデル、売れない役者の5人。たまたま居合わせたのかと思いきや・・・実はこれら5人の観客は、ある一人の女によってこの映画館に集められていた。女の目的は・・・死んでしまったフィアンセの復讐。「あなた達が私の彼を殺したんです」復讐の念を持つ一人の女と集められた観客、そして、上映されている映画との因果関係は・・・?
東京で写真家として成功した猛は母の一周忌で久しぶりに帰郷し、実家に残り父親と暮らしている兄の稔、幼なじみの智恵子との3人で近くの渓谷に足をのばすことにする。懐かしい場所にはしゃぐ稔。稔のいない所で、猛と一緒に東京へ行くと言い出す智恵子。だが渓谷にかかった吊り橋から流れの激しい渓流へ、智恵子が落下してしまう。その時そばにいたのは、稔ひとりだった。事故だったのか、事件なのか。裁判が始められるが、次第にこれまでとは違う一面を見せるようになる兄を前にして猛の心はゆれていく。やがて猛が選択した行為は、誰もが思いもよらないことだった──。