「へーい、いらっしゃい!いらっしゃい!奥さん、今日は大根が安いよ!!」威勢の良いかけ声が、道行くおかみさん達の足をとめる。小さな町の八百屋「八百×」を一人で切り盛りする、ア太郎少年の声だ。粋でいなせで人情にもろいア太郎少年は、町のみんなの人気者。彼を取り巻く住民たちも、一風変わった魅力あふれる面々ばかりだ。父の×五郎は、事故で死んでしまったけれど、人間界へ戻ってきてしまった幽霊。ア太郎と弟分のデコッ八にしか姿は見えないものの、ぐうたらだけど大切な家族として「八百×」を中心とした町の暮らしを見守ってゆく。笑いあり涙ありの物語の中に描かれる人々の絆。義理と人情の小道をたどれば、懐かしい「八百×」の看板が、きっとあなたにも見えてくる。
下町の八百屋「八百×」を切り盛りするア太郎は、子供ながら評判の働き者。占い好きでグータラな親父の×五郎を養うために、今日も忙しく立ち働いている。その×五郎は、ついうっかり死んでしまって幽霊になるが、住みなれた家に居すわって相も変わらぬグータラ生活。ア太郎の男気に惚れたデコッ八も加わり、八百×はなぜか以前よりも賑やかになる。おかしなのが住みついているのは八百×だけでなく、ご町内は奇人変人のオンパレード。ブタを子分にするブタ松一家や、タヌキの尻尾があるけれどタヌキかどうかよくわからないココロのボス、べらんめえ言葉でしゃべる猫・ニャロメ…騒ぎのタネは尽きず、ア太郎がヒマを持てあます日は当分訪れそうにない。