時が止まったような父の残した写真館で、レタッチ(写真の加工修正)を行う女性恐怖症の男・械(50)は、ある日、体に傷がある女・今日子と出会う。械は今日子に頼まれ、画像処理によって傷のない美しい姿を生み出す。その姿に魅了される今日子であったが、心の奥底で、自分の存在が揺らぎ始める。理想の自分と現実の自分、二つの自分の溝に落ちた今日子は、精神的混乱に陥ってゆく。やがて、完全に自分を喪失するキョウコ。もはや、自分だけが今日子を救うことができると感じた械は、死を覚悟して、女を愛する決意をする。
結婚間近だった恋人と破局した不眠症の間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺してしまう。うろたえて山中に埋めようとするも、気がつけば死体は消えていた。間宮はARアプリ「王様の耳はロバの耳(通称ミミ)」(※注釈)の中で、死んだ女子高生と瓜二つの少女“明日香”を発見する。“明日香”は「ミミ」を通じて再生できる動画を街中で投稿し、動画目当てのファンたちが街を徘徊するカリスマ的存在だった。“明日香”の痕跡を追いかけるうちに、現実と幻想の境界が曖昧になっていく間宮。いったい“明日香”とは何者か? 彼女は死んだ少女と同一人物なのか? そして本当に存在するのだろうか?※アプリ「ミミ」とは 劇中に登場する、位置情報を元としてスマホカメラ画面で撮影した自分の動画を撮影場所に残せるサービス。また、ミミを起動することで、その場所に残された動画を再生することができる。名前の由来となったあのお伽話のように、秘密や愚痴を垂れ流し、それで街を埋め尽くそうという悪意のコンセプトで作られたジャンクアプリ。