ココ・シャネルの生涯を描いた2019年制作ドキュメンタリー。評伝や映画などで語られた虚実ないまぜの物語や、70歳にして劇的な復活を遂げるまでの空白期間についてシャネル本人、コクトーやサガン、シャネルの下で働いた職人などのインタビューをはじめ、公文書や当時の貴重なニュース映像から、シャネルの生涯と実像に迫る。没後50年、そしてNo.5誕生100年記念作品。ナレーションは俳優ランベール・ウィルソン。
1942年、第二次大戦中の中立国スイスの首都ベルン。フランス大使館主催の豪華絢爛なパーティーで、ひとり遠くを見つめる外交官ジュリアン・ロシェル。シャンパンの泡沫に誘われて、ある女のことを思い出す。かつて、狂ったように愛した女のことを──。ダニエル・シュミット監督作の日本での初劇場公開作として脚光を浴び、その後の『ラ・パロマ』(74)公開等に連なる熱狂的なシュミット・ブームの口火を切ったのが、この『ヘカテ』です。ひとたびその優美な肌触りに触れたら、独占したくなるシュミットの世界。その秘密の扉を開いた名作が完全修復され、流麗な姿でスクリーンに伻ります。外交官であり、亡命先のスイスでココ・シャネルの伝記も執筆した、戦間期の文壇の寵児ポール・モランの小説「ヘカテの犬たち」を下敷きに、ギリシャ神話の異形の女神ヘカテの物語を翻案、「恋」という人類最大の病にして謎(ミステリー)の極限を軽やかに描き切り、永遠のきらめきを放つ至高のメロドラマに仕立てあげました。