妊娠中の妻と貧しいながら幸せに暮らしていた郵便屋のリンゴ―は、配達中に車同士の衝突事故に出くわす。事故を起こした車を運転していたのは、息をのむほど美しい女性。事故相手から絡まれた彼女を、リンゴーは思わず助けるのだが、二人は一瞬見つめ合うだけで、言葉も交わさず、それきりになる。その後、リンゴ―が偶然に彼女の家に郵便物を配達したことで二人は再会、リンゴ―はサマラと名乗るその女性が、有力な新興団体の若き教祖の愛人であることを知る。ギャンブル好きの母親を助けるため、愛人になったというサマラの寂し気な様子に次第に惹かれてゆくリンゴ―。一方、権力という鎖で繋がれ、長い間教祖の愛人として囲われていたサマラも、ピュアで親切なリンゴ―に惹かれてゆく。そんな中、サマラの家に出入りするリンゴ―の存在に気が付いた教祖は、浮気を疑い怒りのあまりにサマラを滅多打ちにする。心も体も傷ついたサマラを優しく介抱するリンゴ―、、やがて二人は激しく求め合い、結ばれるのだが、、。決して許されない愛で結ばれた二人の元に、教団の魔の手が忍び寄り、、物語は思わぬ結末へ疾走する。立場を超えた<禁断の愛と官能>を描いたサスペンスドラマ。
過去のトラブルから逃れるようにマニラへと戻ったJCは、内縁の妻マリテスと共に実家へ。母親たちとの共同生活が始まった。兄のパウは、マッチョダンサーとして夜の街で働きながら家族を養っていた。その妻ジョシーは、家計のやりくりに苦労しながらも、献身的にパウと家族を支える。家にはもう一人、虐待を受けた過去のある養女のクイニーも同居していた。一つ屋根の下に暮らす家族のため、JCは兄の誘いでマッチョダンサーの職を得る。そのクールなビジュアルから、すぐに彼目当ての客がつくようになったが、マリテスへの愛から、彼は頑なに身体の関係を拒む。一方、パウは強力なパトロンであるアランの誘いを受け、密かにアメリカ行きを決めていた。そんな折、母セリンとクイニーは、家計を助けるために食堂を始める。店は常連客もつき、順調に軌道に乗っていたが、ある晩、閉店間際に二人の暴漢が店に押し入り、クイニーに暴行を加えるのだった……。
結婚7年目を迎えた海洋学者のジェイソンと、その美しい妻アビー。不治の病を患っているアビーだったが、幸い症状は安定し、2人は互いを大切な存在として愛し合っていた。ある日、ジェイソンの仕事で遠方のポラ市に長期滞在することになった二人。魚類保護プロジェクトで、海洋調査を始めたジェイソンは、そこでダイバーのデニスと出会い意気投合する。デニスとのダイビングを繰り返すうち、ジェイソンには誰にも言えない欲望が溢れ出す。一方デニスは、知的なジェイソンに憧れを抱きつつ、恋人のターニャとの関係も続いていた。そんなある日、ターニャに予期せぬ妊娠が発覚し、混乱したデニスはジェイソンの元へと向かうのだが、、。
警備員の仕事をしながら学校へ通うブギーは、ある日ガールフレンドのモニカの浮気現場を目撃してしまう...。激高したブギーは、浮気相手ラジーの頭部を石で殴打し、その場から逃走、警察官の叔父マーロンに助けを求め、事態が落ち着くまで身を隠す事に。一方ラジーは意識不明の重体となり、モニカは警察の取り調べで、事件の犯人がブギーだと証言する。モニカに証言を撤回させるべく説得するブギーだったが、彼女から思わぬ告白を受ける。そんな中、ラジーの兄弟は復讐の為、血眼でブギーを探し、マーロンは証言を撤回しないモニカの殺害を企てる...。一つの事件を皮切りに、血が血を招く暴力の連鎖へと発展していくフィリピンノワールの傑作。「ローサは密告された」など国際的に高く評価されているフィリピン映画界の鬼才・ブリランテ・メンドーサ製作、フィリピン映画界注目の女優AJ・ラヴァルが体当たりの演技を魅せる。
カメラマンのフランシスは、市長の依頼で世界最大の花、ラフレシアの撮影をすることに。地元民のロジャーがガイド役として同行し、二人はラフレシアが生息するとされる森林に入るのだが、捜索の途中、違法な森林伐採の現場を目撃してしまう。見て見ぬフリをするロジャーに不信感を抱くフランシスだったが、森を知る彼の後について歩くことしかできない。そんな時、売春宿から逃げ出してきたアンジェラに遭遇する。彼女はロジャーに騙され、違法伐採者の為の売春宿で働かされていたのだった。アンジェラと共に売春宿に軟禁されてしまったフランシスだが、彼女を助けるために売春宿からの逃走を試みる、、。2009年カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した映画界の鬼才・ブリランテ・メンドーサが、フィリピンが抱える社会問題と、人間の激しい欲望を描いた官能サスペンス。