春の訪れを祝う新年の日、7歳の少女ラジエーは店で見た、白くぽっちゃりとした、ヒレが花嫁さんみたいにきれいな金魚が欲しくてたまらない。母親にねだってどうにかお金をもらい、初めて街中を一人で駆け抜ける。でもあちこちで寄り道をして、やっとのことで店に着いた時、お金は手もとからなくなっていた。ラジエーは途方にくれながら、どこに落としたのかと思い悩み、金魚が売れてしまわないうちに、お金を見つけようと奮闘する…。
トルコの街中で映画の撮影をしている場面から始まる。国外逃亡しようとしているカップル、ザラとバクティアールの姿をドキュメンタリードラマ映画としてカメラは追っているのだ。監督役はパナヒ自身。実際の彼同様に出国を禁止され、イランの小さな村からリモート監督として助監督に指示を与えているという設定だ。監督はその滞在先の村で問題となっているカップル、ゴザルとソルデューズの事件に巻き込まれていく。パナヒを軸に、迷信や圧力、社会的な力関係によって妨げられる2組のカップルに起きる想像を絶する運命とは……。見事な構成で描かれるこの2つの物語から浮かび上がるのは、女性蔑視や宗教的な原理主義など、イランを襲っている暴動の現状。