すべてを失った青年に残っていたのは“記憶”懐かしい匂いに導かれて、自分を取り戻す旅が始まる- 骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大。ある日、看護師をしながら夜学に通っている佳奈と古書店ですれ違い一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思った矢先、広場で警察の取り締まりに遭い、警棒でひどく頭を殴られ意識を失う。その後、大の人生の“何か”が狂っていく―。先輩商人の国男に誘われ山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまうことに。人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪(にょいりん)の女、夜に輝く月も深紅に染まり、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める。
安藤絢子(アン)は学校に馴染めない、ひとりぼっちの中学生。薄暗い立ち入り禁止の階段が唯一の居場所だった。そんなある日、不思議な商店でもらった魔法の万華鏡を覗くと立入禁止の扉が開き、その先の屋上には同じ万華鏡を持った生徒アイナがいた。二人はすぐに仲良くなり夢のような夏休みを送るが、屋上には「昔飛び降り自殺した生徒の幽霊が出る」という噂があった。その幽霊がアイナなのではないかと疑念を抱きながらもお互いにとってかけがえのない存在になっていく…。ひとりぼっちの女の子同士が出会い、初めての友だちと過ごす、“夢のような夏休み”。新学期が憂鬱な彼女たちは、ある行動を起こすのだった。武田かりん監督が自身のコンプレックスであった中学時代の記憶をモチーフに学校という小さな世界で感じる孤独をテーマに描いた物語。