島で生まれた漁師の青年、阿部アキラは、弟のシゲルとふたりで古い一軒家に暮らしている。アキラは素潜りの漁師で石巻の特産である海産物、「ほや」を獲るのが仕事だ。しかしアキラとシゲルは海のものを一切口にせず、カップラーメンばかり食べている。それは12年前の震災で、兄弟の両親が海で行方不明となってから――。そんな折、東京から島にふらりとやってきたブルーの髪をした漫画家、美晴が兄弟の前に現れた。3人のありえない出会い、それはおかしな奇跡の始まりだった――。
大手不動産会社に勤める赤羽昭雄はトップ営業だった過去の栄光を自慢し、パワハラ・セクハラ当たり前の鬱陶しいオヤジ。ある日のこと、赤羽は会社からの辞令で、結婚相談所「とわえもわ」に出向することに。そこは、カリスマ仲人である母の後を継いだ時田結衣が切り盛りしている結婚相談所だった。最初は「物件紹介も結婚相手の紹介も大差ない」と高をくくっていた赤羽だが、“3回目のデートから先に進んだことがない”会社員、30代のうちに結婚したかった女性など、それぞれに事情を抱えた個性的な会員を前に、予想外の苦労の連続。一方の結衣も、真摯に会員と向き合いながらも、自分の手腕に自信を持てずにいた。最初こそ価値観の違いから衝突する2人だが、互いに足りないものを補い合い、小さな奇跡を起こしていく―――。