ユスターシュの妻ジャネット・ドゥロにふりかかった災難(ユスターシュと喧嘩して街へ出たドゥロに、二人組の無骨者がつきまとって彼女を困らせた)に基づいて構想された作品。当時ドゥロが秘書として働いていた、カイエ・デュ・シネマ誌のオフィスにある金庫から盗んだカネを使って撮られたとの伝説がある。主人公はタフガイ気取りで品位を欠く、自堕落な生活を送る若者二人組だ。彼らは街をぶらぶらするうちに知り合った女性を口説こうとするが、なびいてこないので腹いせに彼女の財布を盗む。ヌーヴェル・ヴァーグ映画的な街なかでのゲリラ撮影を活用しながらも、ここでのパリは生きづらい寒々しく退屈な街へと変貌しており、登場人物の「リアルな」描出ともども新世代作家の台頭を印象づける。