検査を終えた医師から乳がんの可能性が高いと告げられた大学教授ジュヒ。小さな劇場で芝居の稽古が行われている。演出家のホジンはジュヒの元夫だ。現在のジュヒと演劇を並行して描くことで生まれる“時間”と“物語”。ジュヒの周りに散りばめられた数々の言葉が、彼女という人物を徐々に浮かび上がらせていく。『ケナは韓国が嫌いで』のチャン・ゴンジェ監督が、アニエス・ヴァルダの名作『5時から7時までのクレオ』へオマージュを捧げた作品。
【第1章 初恋、よしこ】奈良県五條市にある古びた喫茶店で言葉を交わし合う地元の人々の姿を見ながらメモをしている映画監督テフン。彼はこの街で映画を撮るためにシナリオ・ハンティングにやってきたのだった。日本語が堪能な助手のミジョンとともに観光課の職員・武田と会ったテフンは彼の案内で街を歩く。【第2章 桜井戸】奈良県五條市に旅行でやってきたヘジョン。駅の案内所に立ち寄った彼女は地元の男性・友助から声をかけられる。やや強引に彼女の道案内を始めた友助は桜井戸の伝説を彼女に語る。
高校2年生の冬休みを迎えたテフンとミジョン。付き合って100日目を記念して家族にも黙って海辺の街へ旅行に出かけたふたりは楽しいときを過ごすが、帰宅直後、テフンは両親とともにミジョンの家へと呼び出される。旅行先での出来事を問いただしているうちに逆上するミジョンの父。翌日、再びミジョンの家を訪れたテフンは、大学に入るまでミジョンとは会わないという誓約書を書かされる。しかし、ふたりきりになるとミジョンは、決して別れることはないと彼に告げる―。『ケナは韓国が嫌いで』のチャン・ゴンジェ監督の長編デビュー作。自身をモデルとした“自分の物語”を普遍的なものへと開いていく。
結婚から2年が過ぎたものの、いまだに恋人同士のように親密に毎日を過ごしているヒョンスとジュヒ。ヒョンスはいりこの加工工場に勤め、ジュヒはヨガ講師として働いている。目下の悩みはヒョンスの休日出勤で、短時間労働ながらも片道1時間半もかかる職場に行かなければならないことを心配したジュヒは、社長に掛け合って正当な手当てをもらわなければならないとヒョンスに念を押す。もちろん、そんな夜でもふたりは堅く抱き合い、キスを交わしながら眠りにつくのだった。ある休日、アイスキャンディーを片手に公園で遊ぶ家族連れを見ながら子育てについて話し合うヒョンスとジュヒ。父親と母親が交わす視線には恋愛時代のような特別な感情が見えないと言うヒョンスに、ジュヒはそんなことはないと言い返す―。新婚気分が残る夫婦の日常を至近距離から見守る、生活感あふれるラブストーリー。
ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、毎日片道2時間かけてソウル市内の会社に通勤している。仕事には関心がなく、上層部の顔色を伺う上司に辟易する日々。大学時代から長く付き合っている恋人のジミョン(キム・ウギョム)は、外国に行きたいと口にするケナに「自分が就職したら支える」と告げるが、ピントのずれた話をしがちなジミョンにケナは苛立つ。ケナは、ジミョンの家族との関係にも居心地の悪さを感じていた。だが、ケナの母は裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望み、折に触れて急かす。そればかりか、新しい部屋を購入するための費用もケナに出すように迫る。ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていた。地獄のような通勤、興味のない仕事、恋人との不透明な未来、古い価値観を押しつけてくる家族との息の詰まる日々ーー。「自分には落ち度がないのに、ここでは幸せになれない」。ケナは、韓国を抜け出すことを決意する。