恋愛に奥手で独身の売れない漫画原作者マサ(川口高志)は、長年疎遠だった父が危篤であることを知る。自分が充実している姿を見せることで、少しでも父を元気づけようと考えたのが、レンタルファミリーの女優を雇い「偽装妻」を仕込むことだった。一方、マサに「妻」として雇われたレンタルファミリーの女優カナコ(森川由樹)は、さまざまな偽りのキャラクターを演じる日々を過ごしている。ダンサーになる夢を抱えながらも、理想と現実のはざまで思い悩んでいた。こうして「ニセの夫婦」としてマッチングした2人はマサの父の見舞いに向かうが、ひょんなことから「妊娠」という嘘まで重ねることになってしまう。マサの父や親族の前では、“もうすぐ子供が生まれる夫婦”としてその場限りで振る舞い続ける2人だったが、思いがけずマサの父の容態が回復し、2人の偽りの関係にほころびが生じ始める・・・。
中学三年生の冬に両親が他界し、地元の大地主に養子として引き取られた雪那(ゆきな)は、高校生活が始まると同時に学校を休みがちになる。雪那の異変に気付いた幼馴染の同級生・馨(かおる)は、雪那を取り巻く現実を知り自分の無力さに苛まれていた。16歳の夏。田舎町を少し外れた夕暮れの道路で、雪那は交通事故に遭ってしまう。彼女が目を覚ましたと聞き病院に駆けつけた馨が目にしたのは、記憶を失った幼馴染の姿。他愛ない会話が弾む休み時間。いつもと同じメンバーで過ごす放課後。当たり前に続くはずだった時間が二人に訪れることはなかった。10年の歳月が経った冬の東京。喪失感と後悔を胸に秘めたまま、一人暮らしていた馨は、偶然雪那と再会する。「私と一緒に、嘘をついてくれませんか?」全てを抱えたまま生きてきた青年が、全てを忘れてしまった幼馴染と再び故郷へ帰る。ひとつの嘘と共に―