医薬の名門・栄家の娘である栄澤蘭は、冤罪により非業の死を遂げた母・柳茯苓を失う。父に捨てられ叔母も廃人となる過酷な境遇の中、彼女は母の遺した医術を密かに学び、汚名をそそぐため太医院に入ることを決意する。数々の陰謀を才知で切り抜け、乗り越えた彼女は、やむを得ず禁忌を破った母の真実へと近づいていく。太后や皇帝の信頼を勝ち取り、初の女医官となった栄澤蘭は、十年前の事件の背後に潜む敵国の陰謀を暴き、母の悲願であった医の道を切り拓いていく。
雲城随一の名女優・楊安凝(ようあんぎょう)は、師兄の仇を討つため、軍閥の息子・賀行洲(がこうしゅう)に近づき、密かに復讐の計画を進めていた。権力の中枢へと迫るにつれ、その謀略は着実に動き始める。だが、冷徹と噂される賀行洲の胸の奥には、思いがけない微かな温もりが秘められていた。楊安凝もまた、その変化に気づかぬまま、次第に彼へ惹かれていく。互いに策を巡らせながらも、二人は一歩ずつ情に絡め取られていく。荒風の中でも花を咲かせる海棠のように、運命は静かに二人を同じ道へと導いていく――。