1941年の春、アムステルダムに住む両親の元を離れ、佐賀県唐津に暮らす叔母(常盤貴子)の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)の新学期は、アポロ神のように雄々しい鵜飼(満島真之介)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)ら学友を得て“勇気を試す冒険”に興じる日々。肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)に恋心を抱きながらも、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と“不良”なる青春を謳歌している。しかし、我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。「殺されないぞ、戦争なんかに!」…俊彦はひとり、仲間たちの間を浮き草のように漂いながら、自らの魂に火をつけようとするが…。
男と女の二つの性器を持って生まれた少年。やがて彼は男性器を失い、女性へと変わっていく……。『樹の上の草魚』は、この不思議な運命を背負って生まれてきた少年と、彼に魅かれていく青年の、可笑しくも奇妙で、そして静かな愛の物語である。男と女の二つの性器を持つ少年・比呂司と、性的不能の青年・亘。静かに友情をはぐくむ二人だったが、やがて比呂司の男性器は離脱し、美しい女へと生まれ変わっていく。男の心、女の心の間で、戸惑い、拒絶しながらも、比呂司を受け入れていく亘。二人の友情がゆっくりと〈純愛〉に移り変わってゆく様が、静かな音楽、緑の光溢れる映像で綴られ、見るものを優しく包みこんでいく。
とあるアパートの一室にある「梁山泊プロダクション」。所属するのは、出歯亀評論家、横領評論家、性病評論家、出歯亀評論家、皮膚病評論家、反吐評論家・・・・俗物にして俗悪な面々であるが、ユニークで型破りな評論活動は次第に人気を集め、マスコミに引っ張りだことなる。しかし、文化人や主婦連、PTA等の良識派の面々はそういった評論家達の活動に眉をひそめ憎悪し、両者の対立は徐々に深刻化していく。そして、その日はやってきた。機動隊をも巻き込んでの俗物戦争が遂に開戦された!