古い名画座「中野光座」。オールナイト上映のある晩、フラリと立ち寄ったしがないサラリーマン・多和は、ヤクザのイサオと彼を探すチンピラたちとのいざこざに巻き込まれてしまう。彼は館主の娘・芽以と常連のヘルス嬢・恵梨香に助けを求められ彼らに立ち向かおうとするが、あっさり暴力に屈しプライドを傷つけられる。一方、館内ではイサオの妹で看護婦の幸子が、スケベな医師・酒巻にセクハラを受けていた。そんな妹を助け出すイサオ。末期の胃ガンに体を蝕まれ余命幾ばくもない彼は、妹と母親の為に無謀にも組織からブツを盗み出し、それを現金に換えようとしていたのだ。彼の姿に感動し自らの「夢」を取り戻した多和は、芽以と恵梨香、そして自身の為にチンピラたちに闘いを挑む。果たして、彼は大怪我を負って病院に運ばれるが、後悔はなかった。やがて、イサオとチンピラの兄貴分・黒沢木が決着をつける時がきた。黒沢木がイサオの恋人・ケイを殺害した犯人だと知り、最後の力を振り絞って闘うイサオ。彼は黒沢木を倒すことに成功するも、翌朝、力尽きてこの世を去ってしまう。それから数日後、映画館で恵梨香に再会した多和は、大学時代の夢であった脚本家を目指し、シナリオを書き上げる約束を彼女にするのであった。
1968年メキシコオリンピックで銅メダルを獲得したボクサー・森岡栄治(武田真治)。その後プロに転向したが、1975年網膜剥離によって引退を余儀なくされる。妻・和江(紺野まひる)との間に治子(藤本七海)と和則をもうけていたが、仕事も続かず、和江がスナックで働いて生活を支えていた。ダメな父親の姿しか知らないの治子は、バレエのレッスンを心のよりどころにしていた。栄治は用心棒をした縁で、ヤクザの親分が世話してくれたボクシングジムの会長をつとめることになる。しかし栄治の兄・忠利(山崎邦正)が金の無心に来たり、和江が店の客に送ってもらうのを目にした栄治が相手を殴ったりと、生活は良くならない。そんな日々に嫌気がさした和江は、子供たちを置いて家出してしまう。その数日後、治子が拾ってきた猫のハシゾウが死ぬ。そのとき治子は、初めて栄治の涙を見る。それから栄治の愛人になったホステスの裕子(広末涼子)が、一緒に暮らし始める。借金まみれだった忠利から株券を預かった栄治は、偽造有価証券発行、詐欺未遂の容疑者として逮捕される。証拠不十分で釈放されるが、父や裕子と子供たちの間には、微妙な変化が訪れる。昭和天皇の崩御した日に治子の祖父も他界し、時代は昭和から平成へ移り変わる。栄治は和則と共にジムでボクサーを育て、日本チャンピオンを輩出。治子は子供のころからの夢だったバレエ教室の先生になった。そんなある日、治子の元に、栄治がガンであるという知らせが入る……。
池田徹(TAKAHIRO)は、島で一二を争う凄腕の漁師だったが、12年前に漁をしている最中に嵐と遭遇して、妻を亡くした過去があった。その時、自身も頭を強打し、目覚めた時には全て記憶を失っていた。事故後、徹は一切漁に出ることなく、失った記憶に怯えながら日々を生きていた。過去を振り返ることも、未来へ動き出すこともできないまま葛藤していたのだ。そんな息子の姿を見て、母親の信子(松坂慶子)も苦しい思いを抱えている。一方、島のフェリー乗り場には木村めぐみ(山口まゆ)、福間雄一(板垣瑞生)、横山愛美(柴田杏花)、の高1の留学生が到着する。県立隠岐島前(どうぜん)高校では「島留学」と称し、都会から越境入学で生徒を受け入れているのだ。「島留学」では、単身やってくる生徒に島で親代わりになってくれる世話役を島内から募集して、生徒ごとに「島親」としてあてがい、島で生徒たちが快活に生活できるようサポートしている。池田家もこの取り組みに賛同し、雄一の「島親」になった。徹は漁協の休みに釣りに出かけ、距離を縮めていく。高校では生粋の島生まれの生徒と島留学できた都会育ちの生徒が悩みや葛藤をもちながらも、それぞれ将来への夢や希望に向かい、絆を深めていく。そんな高校生たちとは対照的に、徹は依然、未来への一歩を踏み出せずにいた。船着き場に佇む徹を見つけた信子は心配そうに声をかけるが、徹は「大事なことを忘れてしまっている。いや、その大事なことすら何か分からない……」と苦しい胸の内を吐き出す。ある日、信子は徹の記憶を取り戻そうと、ある計画を実行する。果たして徹の失った時間は戻るのか、また、止まった時間は再び動き出していくのか?
主人公のタカコは道行く誰もが振り返る美女。WEBデザイナーという仕事にも恵まれ、愚痴を聞いてくれるケイコという親友もいる。しかし、長くつきあってから相手が結婚していることが発覚するという恋愛が3回も続き、気づけば32歳になっていた。不毛な恋愛に疲れ果てたタカコの口から「死にたい……」という言葉がこぼれ出たその夜、タカコは結婚を決意し、婚活サイトに登録する。マッチングサイトで出会った本気で婚活に励む非モテ系の園木とデートを重ねながら、シングルズバーで知り合った結婚願望のないバツイチ・イケメン歯科医の矢田部に惹かれていくタカコ。実は自身の結婚生活に悩んでいたケイコは、タカコが結婚後についてまったく考えていないことに苛立ち始め、2人はとうとう本音を激しくぶつけあう大げんかをしてしまう。
震災で心に傷を負った由美は小さな飲み屋で働くことになる。店主の杉谷には謎めいたところがあった。彼は、記憶をすべて失い、山の中で発見されたのだ。8年が経ち、今では小さな小料理屋を任されるまでになったが、あたたかな人々に囲まれながらも彼の心はいつも怯え、自分が何者なのかわからない孤独を抱え込んでいたのだった。傷ついた魂を持つ杉谷と由美。ふたりはやがて心と体を寄り添い合わせるようになるのだが…。
もう大切な人を失いたくないー。小学生の時に最愛の母を亡くした主人公秋音。母が亡くなる日、父は母を看とらず「獅子神楽」を舞っていた。「母と獅子神楽、どっちが大切なの?」それ以降、秋音と父の関係に深い溝ができてしまった。高校卒業と同時に故郷を離れる秋音。東京での生活も行き詰まっていた。また、父も妻の死による悲しみから抜け出せないでいた。そんなある日、母の13回忌に5年ぶりに実家に戻る秋音。そこには亡くなった最愛の母に似た女性の存在が、、、60年に一度の大例祭が近づく町ではベテランの舞い手、父が最後の神楽獅子の舞を披露することに。しかし父の体に異変が、、、親子の葛藤、そして人間の愛情、さらに伝統芸能の継承を考える感動の作品。
若菜家は、息子2人、父と母の平凡な家族。だがある日、若菜家の母・玲子(原田美枝子)に「脳腫瘍」が見つかる。末期症状で、余命1週間の診断をされる。父(長塚京三)は取り乱し、長男の浩介(妻夫木聡)は言葉を失くし、次男の俊平(池松壮亮)は冷静を装う。やがて、“どこにでもいる家族”に潜んでいた秘密が表面化していく―。どうしたらいいか分からない、でも投げ出すことなんてできない。そして男たちは「悪あがき」を決意する―。
●【ぬいぐるみ】薄汚れたクマのぬいぐるみが志保美の元に送られてきた。捨てても捨てても、何度も戻ってくるぬいぐるみに恐怖を抑えられない志保美は…。●【野外】鬱蒼とした森の中の小道を走るワンボックス。尿意を堪えきれず車を降りる朋美は用をたし、車に戻ろうとすると人の気配を間近に感じ…。●【素振り】ひとり暮らしをしているリサ。深夜「ブン、ブン」という低音が耳障りで目を覚ますと、見知らぬ男が部屋の中で素振りをしていた―。●【廃墟】ほんの遊びのつもりで廃墟を訪れた若い男女3人が、思いがけない恐怖体験をすることにー!●【ホテル】 ホテルの廊下で車いすの男性がうまく部屋に入れず困っている。助けようとその男性に声をかけた由佳は想像を絶する事態に巻き込まれる。
あの衝撃シリーズ『完全なる飼育』が復活!鬼才・深作健太がアキバを舞台に描くピュアで歪なラブストーリー。 メイド喫茶の“苺ちゃん”に想いを寄せるマンガ喫茶の住み込み店長・椛島はある日、気絶した苺を店に連れ帰り、個室に監禁する。はじめは抵抗する苺だったが、椛島の献身的な愛に少しずつ心を許し、やがて奥手な彼をリードするように。しかし密かに続いていくかに見えた二人の暮らしは、ある事件を境に一変する。秋葉原の孤独な空の下、行き場を失った二人は―。