生まれは大阪。名は哲矢(森田哲矢)。職業お笑い芸人。大阪での単独ライブの合間に立ち寄った店は古着好き、アメカジ好きにとって夢のような場所だった。物欲で悶絶する哲矢。ふと手にした極上レアなスウェットをきっかけに店員のナナ(花梨)と急接近!?そこにナナの叔父である六(ロク:光石研)がやってきて哲矢と古着を奪い合い、果てはナナを挟んで珍妙なつばぜり合いまで!古着と恋、そしてお笑い。芸人・哲矢はそれぞれにどんな恋文を送ったのだろうか。
御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生の娘・ひかり(中田乃愛)と2人暮らし。最愛の妻・江津子(奈緒)は8年前に他界。一男は小さな教会の牧師をしながら、ガソリンスタンドでアルバイトに励みつつ、ひかりを男手ひとつで育てている。思春期に突入したひかりはちょっぴり反抗的な時もあるが、優しくて面白いお父さんのことが大好き。牧師として多くの人に慕われ、たまに娘と些細な喧嘩をしながらも、2人の穏やかで幸せな日々は続いていく…と思っていた、ある日、突然ひかりが倒れてしまう。病院で下された診断は“白血病”。混乱し事実が受け入れられない一男だったが、担当医師からある衝撃的な事実を告げられる。なんと、愛する娘は、自分の実の子ではなかった。ひかりに適合するドナーは「数百万人に一人」という残酷な現実が一男をうちのめすが、「血縁者は適合率が上がる」という事実に気付いた一男は、ある思い切った行動に出る…
ツチダは同棲中の恋人・せいいちのミュージシャンになる夢を叶えるため、内緒でキャバクラで働いていた。一方せいいちは毎日仕事もせずにダラダラと過ごす日々。しかし、ツチダがキャバクラの客と愛人関係になり生活費を稼いでいることを知ったせいいちは、心を入れ替え働き始める。そんな矢先、ツチダは昔の恋人・ハギオと偶然の再会を果たす。過去の思い出にしがみつくように、ハギオにのめり込んでいくツチダだったが・・・。
夏希は突然現れた青年に父のことを知らされる。父はかつて、母と自分を捨てた憎むべき存在だった。不意に思い出された父の存在が夏希の中で拡がっていき、遂に会いに行くことを決意する。一方、夏生は借金の取り立てを生業として暮らしていた。不意に胸の内によみがえった妹の存在に引っ張られるように夏生は妹の元を訪ねる。家を捨て無責任に生きてきた夏生に妹は激しく反発するが、期せずして二人の生活は始まるのだった…
タカシは売れない映画監督。現在は妻子と別居中。ガンで入院していた兄マサルの看病という口実のもと実家に舞い戻っていた。日課はこれまた売れないシナリオライターで地元の悪友・藤村の焼きまんじゅう屋で起死回生のシナリオ作り。新作映画の企画が成立すれば、妻とヨリが戻せると信じているのだ。だが藤村にはどうにも本気感が見られない。どうやら新しく出来た彼女に夢中らしい。ある日、藤村がタカシに女の人を紹介したいと言ってくる。紹介された涼子はなかなかの美人で性格も良さそうだ。涼子のような女性と兄が付き合ってくれたらどんなに安心かと考えたタカシは、頻繁に会うようになる。ところが涼子はタカシに対し本気になっている様子。そんなとき、別居中の妻から離婚したいとの申し出を受ける…
三島有紀子監督『オヤジファイト』、榊英雄監督『父と息子』、長澤雅彦監督『この柔らかい世界』、橋本一監督『熱海少年探偵団』、青山真治監督『ヤキマ・カナットによろしく』の5編の作品は、人間ドラマ、サスペンス、アクションなど、それぞれの監督が独自の視点で、多種多様なストーリーを描いている。
東京から北海道の月浦に移り住み、湖が見渡せる丘の上でパンカフェ「マーニ」を始めた夫婦、りえさんと水縞くん。水縞くんがパンを焼き、りえさんがそれに合うコーヒーを淹れ、料理をつくる。そこには、日々いろんなお客さまがやってくる。北海道から出られない青年トキオ、なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家ヨーコ、口をきかない少女未久とパパ、革の大きなトランクを抱えた山高帽の阿部さん、沖縄旅行をすっぽかされた傷心のカオリ、観察好きの羊のゾーヴァ、そして、想い出の地に再びやってきた老人とその妻。それぞれの季節にさまざまな想いを抱いて店を訪れた彼らが見つけた、心の中の“しあわせ”とは?そして彼らを見守るりえさんと水縞くんに訪れることとは?
雅人とノブは甲子園常連野球部の補欠部員。出場メンバーの当落線上ギリギリの2人はあの手この手でベンチ入りを企てるが、鬼監督サンダーから命じられるのはライバルチームの偵察など雑用ばかり。挙げ句、超有望株の新入生が入部し、残された席はあと一つ…。今まで支え合いながら頑張ってきた親友同士の2人は、最後の夏の甲子園ベンチ入りを懸けた熾烈な争いを決意する―。
自称「21世紀の天才レントゲン技師」こと飛島芳一は、第二農響会長に「キンジローが本物ならパリ万博出品時に骨折した跡があるはず」とレントゲン撮影を依頼される。キンジローとは、美人四姉妹…アキノ、みはり、日々子、あづきのいる二宮家が代々運営する「サラマンドル・キンジロー財団」によって管理される、動物国宝のオオサンショウウオ。同じ頃、家を追い出されているパパ・四郎は、「悪い奴らに狙われているから、キンジローを連れだしてくれ。そしてママに会いにいこう」とあづきに持ちかける。物心ついた時にはママはおらず、一生会えないと思っていたあづきの心は揺れる。キンジローの生誕150周年パーティの夜。忍びこんだ芳一とあづきは出逢い、恋に落ちる…。果たしてキンジローは本物か?芳一とあづきの恋の行方は?しかし、すべてがぶっ飛ぶような展開が待ち受けている!?
のどかな別荘地で、ある日突然、一人の子供が消えた。母親の裕子は手がかりを求めて必死に探すが、息子の行方は知れない。。。事故か、誘拐か、それともー。やがて浮かび上がってくる悲劇の真実とは・・・。
FMラジオ局のディレクターであるたまき(広末涼子)は、深夜の担当番組の打ち切りが決定し落ち込んでいた。そんなとき、彼女は自分にラジオの楽しさを教えてくれた少年太郎(神木隆之介)のことを思い出す。1977年、函館の病院に交通事故で入院した13歳のたまき(福田麻由子)は、1つ年下の太郎と出会い意気投合するが……。
ドキュメンタリーディレクターの由宇子は、3年前にとある地方で起きた「女子高生いじめ自殺事件」を追っていた。由宇子がその事件を追うのには理由があった。当時、女子高生の自殺をきっかけに、報道合戦はエスカレート。学校はいじめを隠蔽するために、女子高生が講師と交際関係にあることをでっちあげ、女子高生を学校から退学させようとしたのではないか―?いじめられていたとされる女子高生は、素行が悪く講師に色目を使っていたのではないか―?真偽のわからない様々な情報がメディア上に飛び交い、交際を噂された講師にまでバッシングは及び、その講師も自殺してしまうという特異な事件だったからだ。由宇子は、テレビ局の保守的な方針と対立を繰返しながらも、遺族への取材を粘り強く続け、事件の真相に迫りつつあった。そんな時、由宇子は学習塾を経営する父から思いもよらぬ“衝撃の事実”を聞かされる。その事実が世間に明るみになれば、父や自分、そして周りの人たちが社会から徹底的に叩かれ、抹殺されてしまうかもしれない…。大切なものを守りたい、しかしそれは同時に自分の「正義」を揺るがすことになる―。果たして“正しさ”とは何なのか―?常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる…。ドキュメンタリーディレクターとしての自分と、一人の人間としての自分。その狭間で激しく揺れ動き、迷い苦しみながらもドキュメンタリーを世に送り出すべく突き進む由宇子。彼女を最後に待ち受けていたものとは―!?
消防士を定年退職し、妻・夏美の精神病院入院をきっかけに北陸の田舎町から東京近郊に暮らす息子夫婦の元に身を寄せることになった馬野杢平。彼は大菊の厚物を仕立てることでは北陸の名人と呼ばれる腕前を持っている。ある日、地元の菊同好会の集まりで、老人相手に援助交際をしている音大生のミハルを紹介された杢平は、彼女の道案内で隣町に住む黒瀬の家を訪ねた。黒瀬は全国的に名の知れた厚物作りの名人で、杢平が菊にのめりこんだのも、少年時代、北陸に疎開してきた黒瀬が作った厚物を見たことが原因だった。しかし、偏屈で欲深い黒瀬は杢平を冷たくあしらう。だがミハルには興味を抱き「ミハルを紹介すれば、とっておきの肥料を教える」と杢平に迫るが.…。
大学生のハル(満島ひかり)はどこにでもいるふつうの女の子。ボーイフレンドはいるけれど、どこか満たされない、何かが足りないと感じる日々。そんなとき、ハルは、事故や病気で失った身体のパーツをつくるメディカルアーティストのリコ(中村映里子)に出会う。リコはちょっとミステリアスで、刺激的で、自分の欲しいものははっきりとわかっている女の子。なぜだかわからないけれど、自分を好きだと言ってくれるリコにハルは心を開くようになり、安らぎを感じていく。これって恋?愛って何?ハルはますます自分の気持ちが分からなくなっていく・・・・・・。心のスキマはどうしたら埋まるの?私のカケラはどうしたら見つかる?
都会の一隅にある、平屋の日本家屋。幼い頃から猫に好かれていたサヨコ(市川実日子)は、たくさんの猫たちと暮らしながら、心寂しい人たちと猫を引き合わせていきます。サヨコから猫を借りるのは年齢も境遇も異なる人々。夫と愛猫に先立たれた婦人(草村礼子)、単身赴任中の中年男(光石研)、自分の存在意義に疑問を感じるレンタカー屋の受付嬢(山田真歩)、サヨコと浅からぬ因縁を持ち、今はとある組織から追われる男(田中圭)。そして謎の老人(小林克也)の存在。彼らの心の隙間を埋める瞬間に立ち会いながら、サヨコにも次第に変化が訪れていきます。「レンターネコ、ネコ、ネコ。」都会の片隅でひっそりと営まれる1軒のレンタネコ屋が、今日もあなたに“レンタネコ”を届けます。
富山県高岡市。“スーパー智子ちゃん”こと斎藤智子は、あらゆる仕事をこなしながら子供たちを女手ひとつで育てあげてきた評判の肝っ玉母ちゃんだ。しかし娘の美咲は3年前に駆け落ちしたまま音信不通。やんちゃな息子・優介もまた智子について行けず、母親と“なーんつまらん、この町”から逃れるように上京を決意する…。ふるさとを飛び出していく息子を「人生で大事なのは、自分が生きた証を残すこと」という言葉で送り出す母親。ハチャメチャな元気と笑顔の裏側にあるまっすぐな想い。その切なさがやがて家族の絆をつなぎ合わせ、わたしたちの心にもつよく響く―。