田沼洋介は落ちこぼれサラリーマン。ある日東京ドームで、日本ハム対福岡ダイエーの試合で、ホームランボールをまともに頭に受け、その場で気絶してしまう。その数日後、立ち寄ったバッティング・センターで150キロの豪速球をいとも簡単にうちかえしてしまう!そんな彼の姿を見つめる一人の女性が洋介に近づき一つの相談を持ちかける。『プロ野球選手にならない?』
ハリウッドを拠点に活動する女優・桃井かおりが、芥川賞作家・中村文則と異色のコラボレイト。中村文則原作の「火」を基に、桃井かおりが脚本、監督を手掛けつつ。自ら“火”に異常に執着する精神疾病を患う女性を演じる意欲作。
京都豊島区にある木造アパート「トキワ荘」。そこには“漫画の神様”手塚治虫(北村想)が住み、日夜、編集者たちが彼のもとに通いつめていた。向かいの部屋に住む寺田ヒロオ(本木雅弘)は、その様子を眺めながら、こつこつと出版社への持ち込みを続けていた。やがてトキワ荘を去った手塚治虫と入れ替わるように、若き漫画家の卵たちが次々に入居してくる。藤本弘/藤子・F・不二雄(阿部サダヲ)、安孫子素雄/藤子不二雄Ⓐ(鈴木卓爾)、石森章太郎(さとうこうじ)、赤塚不二夫(大森嘉之)、森安直哉(古田新太)、鈴木伸一(生瀬勝久)。また近所に住むつのだじろう(翁華栄)もトキワ荘に入り浸っていた。揃って『漫画少年』の投稿仲間だった彼らは、寺田を中心に“新漫画党”を結成。貧しい生活のなか、互いを励ましあい、漫画の未来について熱く語り合う日々が続く。なかでも一番年上の寺田は兄貴分的存在として若き彼らを静かに見守り、その視線は、赤塚の友人であり自分とはまったく異なる作風のつげ義春(土屋良太)にも向けられていた。そんなある日、『漫画少年』の出版社、学童社が突如倒産。これを機に、8人の仲間たちの進む道も少しずつ変化していく。どんどん売れっ子になっていく者。漫画からアニメーションへの移行を決意する者。なかには東京を去る者もいた。流行に惑わされず、黙々と自分の描きたい漫画だけを追い求めているように見えた寺田の心にも、徐々に迷いが生まれてくる。時代の激しい変化とともに、漫画家の卵たちの青春の日々にも、ゆっくりと終わりの気配が近づいていた――。
度重なる組と組の抗争で、尽きることなく後始末に追われる大村組の中堅幹部・田中は、ただひたすら、「棒っきれの様に生き、棒っきれの様にくたばる」人生に甘んじているだけの生活を送っていた。そんなある日、組長の命令で田中は無理矢理、組の分家を命じられる。本家から吸いとられる巨額の上納金と、それを工面するしのぎの形成に、いつしか田中は運に身をまかせ、反逆の絵図を描こうとする。
阪神淡路大震災ですべてを失くしたケイコ(桃井かおり)は、ひとり淋しく暮らしていた。震災から20年。ラトビアの首都リガで着物ショーに参加したケイコは、本番中の舞台裏で行方不明になっていた夫(イッセー尾形)と再会する…。
ガングロや援助交際など社会現象にもなった“コギャル”。「KAMIKAZE TAXI」の原田眞人監督が、そんな彼女たちの生態をリアルに描きその内面に迫った青春群像ドラマ。土曜の午後の渋谷。コギャルのマルはおじさんと援助交際でホテルヘ。が、その男はヤクザで逆に脅されて学生証と携帯電話を奪われる。一方、家出少女リサは、ニューヨークへの旅行資金の足しにアダルトビデオに出ることに。が、撮影中にヤクザが乱入してきて持ち金の35万円をとられてしまう……。
芸能界の頂点に君臨するトップスターりりこ。しかし、りりこには誰にも言えない秘密があった。彼女は全身整形。「目ん玉と爪と髪と耳とアソコ」以外は全部つくりもの。整形手術の後遺症がりりこの身体を蝕み始め、美容クリニックの隠された犯罪を追う者たちの影がちらつく。さらには、結婚を狙っていた御曹司が別の女と婚約。生まれついての美しさでりりこの座を脅かす後輩モデルの登場。究極の美の崩壊と、頂点から転落する恐怖に追い詰められ、現実と悪夢の狭間をさまようりりこ。疾走の果てに、世の中を騒然とさせる事件へと繋がっていく・・・。
原発の臨界事故が起きた町に母と暮らす青年・祐一郎。開業医だった亡き父の跡を継ぐべく勉強しているが、常態化した倦怠感の中、ギャンブルやドラッグの世界にハマリこみ、極秘で行なわれている放射線科の臨床試験アルバイトを知る--。借金返済を目的に、危険な治験に挑む祐一郎。彼の情報が入ったドッグタグのようなUSBメモリを首から提げながら……。