出会いと別れが交錯する命の現場で紡がれる「わたしたち」の物語――舞台は九州・熊本の看護師養成機関。幼い頃に母親を病気で亡くした学生、木津川あかねは、大学を中退した幸助、元居酒屋店員の俊夫、シングルマザーの玲子ら様々な事情を抱えた仲間と学内演習に励んでいた。そしてついに迎えた病院での実習。古村という患者の担当となり、病状の深刻さに戸惑いながらも交流を深めていくあかねだったが、その矢先、あかねの些細なひと言が原因で、古村が心を閉ざしてしまう……。それまで日々の実習や実習記録の提出に追われ、看護とは何かを見失っていたあかね。だが古村の葛藤に触れ、大切なのは、患者の本当の苦しみに寄り添うことだと気づいた彼女は、古村の願いを叶えようとする――。
寡黙で不器用な、懐かしい父親。とある山間にある村・花谷村。美しいその村が、ダムに沈もうとしている。避けられない運命に対し、村役場は、村のすべての家族を写真におさめることで、花谷村の美しさを永遠に残すことを考える。依頼を受けたのは、村の写真屋、高橋研一と東京で写真家を目指す息子の孝。なぜ父は決して親密ではない息子を、助手に指名したのか。一軒一軒、険しい山道を歩き、写真を撮り続ける2人。頑ななまでの父の背中に、しだいに息子は何かを感じ始める・・・。
「ヒロイン!なにわボンバーズ」の三原光尋監督がアイドル吹石一恵をヒロインに描く青春ファンタジー・ラブ・ストーリー。水沢夏音は空手部に所属する高校2年。それほど好きでもないのに空手部に入っている理由はただ一つ、男子部の主将、3年の谷口高貴がいるから。でもずっと片思い。それが、ある日、ひょんなことから告白するハメに。でも、あっけなくフラれてしまうのだったが……。
大型ショッピングセンターの進出で客足減少に苦しむ家族経営の和菓子店「とら屋」に、東京で暮らす次女 奈美江(吹石一恵)が帰ってきた。家族とはいえ、母 惠子(市毛良枝)と父、眞平(西田聖志郎)は既に離婚。おまけに長女、静江(吉田羊)は出戻りで、三女、栄(徳永えり)は目下不倫中とバラバラ。奈美江は奈美江で離婚調停中とワケありの身。この5人に東京から奈美江を追ってきた夫 徹(津田寛治)が加わり、和菓子店の再建のために背水の陣を敷く。そして、六月燈の夜に新作和菓子「かるキャン」で起死回生の大作戦に出るが、果たしてその結末は・・・。