過疎化の進む地方都市。かつてその街に住んでいた花村茉莉は今は東京で働いていた。亡くなった父の遺産として実家を譲り受けるが、仕事を解雇されることになり売却を考えていた矢先、実家で父の幻影を目にする。悩む茉莉の元へ、かつて教師をしていた父の教え子・陽子が現れ、父の思い出を聴きながら、自分の生き方を見つめ直してゆく。
大阪に住む娘を訪ねてきた田舎に住む素朴な父親。右も左も分からぬディープな大阪の下町を、得体の知れない親切な女子に連れ回され、そこに住むユニーク過ぎる人々と遭遇する大阪版『不思議の国のアリス』。やがて再会した娘の秘密を知った父親は、ある厳しい決断を迫られるが…。
幼い頃に、善意の募金の五億円により心臓手術に成功し、命を救われた17歳の少年、高月望来。健康に成長した望来は、五億円にふさわしい自分であろうとして周囲からの期待を引き受け、マスコミに晒されるという、窮屈な青春を送っていた。
「島のシーグラス」・・・熊本県上天草市の離島・湯島に1年前に一人で移住してきた元骨董品鑑定士の神田(68)は1年経っても島民との交流はなく、コレクションの絵画や骨董品を眺める生活をしていた。ある事をきっかけに、誰とも心を通わせなかった孤独な老人と、島の子供である朱莉との不思議な交流が始まる―。「ブレス」・・・片田舎の短大に通う沙織と彩香。真面目に将来を見据え努力して来た沙織は東京の大企業に就職する。大学時代から水商売で金を稼ぎ、自由に遊んでいた彩香も東京へ上京する。対照的な二人はある日、東京で偶然再会することになるが…。「セミが鳴いた日」・・・ある日、サダオは幼馴染のサナと釣りに来ていたが、サナが大事な指輪を川の中に落としてしまう。その指輪を探してあげるサダオであったが、その指輪はサナに求婚を迫っていたカワスミから渡された結婚指輪だと聞かされ…。
記憶に残るメロディが、ふたりを優しく包み込む。--ある日、家具職人として働く聡介(郭智博)は、結婚を前提に付き合っていた恋人(菜葉菜)に突然別れを告げられる。そんな折り、神戸から大学時代の友人知加子(山口尚美)が上京してきて、2人はまるで学生時代に戻ったかのように同居生活をスタートさせる。聡介はマイペースな彼女に翻弄(ほんろう)されながらもそれを楽しんでいたが・・・・・・。