かつては黒社会ともつながっていたチョンとその妻が経営する香港のゲストハウスには、子持ちの売春婦スージー、怪しげな商売を営むトニー、うさんくさいヤクザのコンジャイなど曲者揃いの面子が滞在している。ある日、一人の日本人女性がやってくる。名は澪(しらたひさこ)。音信不通となった双子の姉・浅を探しにやって来たのであった。映画スターを夢見て一年前にここにやってきた浅だったが、突然行方知れずとなっていた。彼女と瓜ふたつの澪を見間違えた住人たちの表情には、驚きというよりも戦慄が浮かんでいた・・・。
浮気が原因で夫を惨殺した由美(坂上香織)は日本から香港へ逃亡。そこで行きずりの男、ケニーと一夜を共にする。すでに正常な精神が崩れ始めていた由美は、ケニーを亡き夫とだぶらせ、ケニーを高級住宅地の邸宅へ監禁して新たなる“夫婦生活”を始めようとする。両手両足を縛られ自由を奪われたケニーに対し、由美は自分の心にポッカリと開いた穴を埋めるべく欲望を剥きだしにしていく。しかし、二人が体を重ねる度に由美の心はますます闇に包まれていく・・・。そんな中、失踪したケニーを探していた恋人のニキが邸宅を訪れる。歪んだ嫉妬心に支配された由美は自らが凶器となり、ニキを惨殺してケニーとの夫婦生活を完全なものにしようとするが・・・。
スパイシーに生きろ!!一瞬の証を求めて男たちは闘う。一匹狼の殺し屋・龍也は、香港でヤクザの組長を暗殺する際、頭部に一発の銃弾を受けてしまう。摘出手術は不可能と告げられ、脳に銃弾を宿したまま、ただ死を待つ身となる。その上、銃弾の影響で龍也の目には全てが白黒にしか見えなくなっていた。希望を失った龍也は、ある日偶然にも銀行強盗の現場に遭遇する。強盗たちの様子を目の当たりしたその瞬間、なんと龍也の目に映る世界が色付いたのであった。妊婦との身代わりに人質となった龍也は、彼らに意外な申し出をする・・・。「俺を仲間に入れてくれ。金はいらない。」強盗団に加わった龍也は、非合法のムエタイボクシングの会場で一人の男・ジョーと出会う。言葉も通じず互いを知らないまま、心に傷を持つ者同士が不思議な友情を深めていく。それは殺し屋として孤独に生きてきた龍也にとって初めての感情だった。しかし、そのジョーこそが龍也たち強盗団を追い続けている警察官だったのだ・・・・。そして、男たちは一瞬の証を求めて火花を散らす!
飼われるという感覚が、少女の孤独を埋めていく。高校生の愛(伊藤かな)は、東京の片隅に母親と二人きりで暮らしていた。父親は女をつくりどこかへ消え、母親はお酒に溺れ、愛を顧みる者は誰もいなかった。修学旅行先で訪れた香港でも友達のいない愛はたった一人で深夜の繁華街をさまよっていた。歩きつかれた愛はタクシーに乗り、帰ろうとするがタクシーは繁華街から離れ郊外へと車を走らせていく。そして寂れた一軒家の前に止まると愛を無理やり家に押し込み、広東語で怒鳴り散らし服を脱げと命令する。一方、失踪を知ったクラス担任の橋本(竹中直人)は単身香港にのこり愛の行方を捜すのだった・・。香港の片田舎に監禁された愛は、言葉の通じないボウ(トニー・ホー)との生活が始まった・・。