大江寿々花(川村りか)は、28歳の精神科医。総合病院の院長を務める父(並木巳喜男)に厳しくしつけられてきた彼女は、独立した今でも父親に逆らえないトラウマを抱えていた。そんな寿々花には、誰にも打ち明けられない秘密があった。それは、“ラバーフェチ”という性癖だった。帰宅すると寿々花は、真っ先にラバースーツに身を包み、その光沢や匂い、密着感を纏うことにより、本来の自分を取り戻すのだった。ある日、父から小児科医の南條晴彦(河合龍之介)を紹介される。最初は反発していた寿々花だったが、父と同じ匂いのする南條に惹かれていく・・・。
ルールはただ一つ。生き残れ!ニュースキャスターの如月玲奈(楠城華子)は、大学の同級生だったスクープ屋・佐伯から意外な写真を見せられる。数ヶ月前亡くなったはずの妹・渓奈が、二週間前に刑務所向かっていた護送車転覆の現場写真に写っていたのだ。真相を解明すべく、あえて罪を犯して刑務所行きを決意する玲奈。そこでは女囚同士を戦わせ賭けの対象にするという裏社会のゲームが行われていた。セーラー服や婦人警官のコスプレでのバトルを強要される女囚たち。政府関係者、IT企業社長などが不気味で怪しげな地下室に集うのであった。「数名同士で戦い合い、累計十五人殺せば出獄を保証する!」その言葉に一縷の望みを賭け、決死の戦いをする女囚たち。強い者に媚びへつらい生き残る者もいれば、腕力を活かし勝ち抜く者もいる。互いの腹のうちを探り合い、駆け引きをする女囚たち。人間としての尊厳を保ったまま死んでいくか、人間であることを捨て去りマシンとなって生き延びる道を選ぶか…。果たして玲奈は、この絶望に満ちた刑務所から妹の渓奈を連れて出られる日が来るのだろうか?
1991年7月15日、東京ドーム。この日、宗教家・一条悟の大講演会がはじまろうとしていた。マスコミも大々的に報じ、日本中が注目する一大イベントの模様をレポートしているアナウンサー・立花美穂。そのテレビ画面を見ている裁判官の水瀬千晶。そして郷土の母や学生時代の友。さらにかつての会社員時代の同僚や上司たち―それぞれの胸に去来する悟との日々が回想される―四国の小さな町に生まれ、一流大学を経て大手商社に就職。若くして社長候補と期待されるエリートの道を歩みながら、突然退職し、姿を消した一条悟。なぜ彼は、約束された将来を捨て去り、宗教家になることを選んだのか。どうして愛する人たちにも何も告げずに、ただ一人往くことを決めたのか―そして、いよいよ大講演会の幕が上がりはじめる。
ある日、心理カウンセラー・神山圭治のもとに、テレビ局からリーディングの依頼が舞い込む。とある男子大学生が、超常現象としか言いようのない怪奇な出来事に遭遇したのだと言う。アシスタントの上野葵を連れ、スタジオ収録に訪れた圭治は、その謎を解明するためリーディングを始める。驚くべきことに、そこで圭治が視たビジョンは時空を超えた「血の呪い」だった──。一部始終を見ていたのは、アナウンサーの青山千聖。霊的世界に懐疑的な千聖だったが、圭治のリーディングでその存在を受け入れ始める。そんな中、圭治を待ち構えるのは、にわかに信じがたい怪奇現象の数々。その真相を圭治はリーディングで次々と明らかにしていく。暗い夜道に現れた「不気味な老婆」、悪夢から目覚めた女性の脚に残る「謎の手形」、誰もいないはずの天井から急激に迫り来る「飛び降り女性」。そして、ついに千聖の身にも「濡れた足跡」が突如現れては消えるという心霊現象が……。
夏の喧騒が過ぎ去った人気のない海岸に、二人の男女が佇んでいる。女の名は山口真紀(西野翔)、男の名は橋本研二(並樹史朗)。真紀がまだ12歳の頃、母である俊江(齋木亨子)と橋本は情愛関係にあった。だが橋本の歪んだ性欲は、娘の真紀にまで食指を伸ばすようになっていく。俊江は必至で真紀を守ろうとしたが、その無力さから自ら命を絶ってしまう。成長した真紀は、DVで苦しめられた元夫篠崎悟(千葉誠樹)とも別れスナックを経営するようになり、女一人過去を封じ込め健気に生きていた。そんなある日、真紀の店に偶然橋本が客として現れる。真紀に見覚えがあると言うその視線に真紀の心は凍りついた。さらに縁を切ったはずの篠崎がまたしても真紀の前に現れる。ストーカー行為を繰り返し、執拗に真紀の身体を貪り始める。繰り返される人生への失望と諦めが真紀を自暴自棄にしていく。だがやがて真紀は運命を味方に付けるかのように、身体に絡まった黒い糸がするするとほどけていく様を見届けることになる・・・。
ルックスもよく、仕事もでき、セックスもよく、女には一も二もなく優しい。そして、女に関して懲りることを知らず、愛を求め続けた男、ニシノユキヒコ。彼の周りにはいつも魅力的な女性達がいた。そして、ニシノは彼女たちの欲望をみたし、淡い時を過ごすのだが、女性達は、最後には必ず自らニシノのもとを去ってしまう……。彼を取り巻く女性達の思い出から、真実の愛を探してさまよったニシノユキヒコの美しく切ない人生が浮かび上がる……。
雑誌編集部員の真由美(井上美琴)は、日本画展の取材にて、一人の女性が見入っていた絵に引きつけられる。その絵は『魚濫観巫音(ぎょらんかんぜのん)』といい、見ていた女性は純子(伊藤裕子)という刺青の彫師だった。観音を描いたその絵に魅せられた純子は、「いま一番彫りたい絵だ」と真由美に告げたのだった・・・。ある日、真由美は不倫相手に暴力を振るわれたところを、平田タケシ(波岡一喜)というチンピラに助けられる。偶然にも、彼の背中には純子の彫った伐折羅(ばさら)の刺青があり、不思議な縁に運命を感じた2人は愛を育んでいくが、幸せな時間は長くは続かない・・・。組同士の抗争で、己の信念を貫いて命を失ってしまったタケシ。最愛の人の魂を刻みたい、と真由美は純子に「彫ってくれ」と頼む。純子は真由美の肌に『魚濫観巫音』を彫り始める。苦悶と愉悦の狭間で、純子の声が響く。「鯉に騎(の)る観音は、慈悲心を司る仏、愛に生きる女」。タケシの名を呼びながら、身悶える真由美。“刺青”は彼女を、そして人生を大きく変えるのだった・・・。
一生懸命、打たせて貰います!万年ハコ下、全くセンスがないくせに無類の麻雀好きの大学生、博。彼は今日も麻雀同好会の仲間と一局打とうと、張り切って部室に駆けつける。だが、そこには見知らぬ青年が仲間たちに睨みを利かせていた。「俺は遊びじゃ麻雀を打たねえ。189万円、今すぐ払え!」そう恫喝する青年、城島はプロの雀士。博は仲間たちの期待を一身に集め、借金をチャラにすべく勝負を挑んだ。しかし・・・完敗。賭けの代償として、彼女の亜子までも奪われた博は、失意の中で“麻雀王”と呼ばれた亡き父を思うのであった-。2010年製作。