女手ひとつ、三十年も続く惣菜店と二人の子供を懸命に守ってきた母・エラン。ここの惣菜は「薬のような料理」と近所でも有名で、ガン患者やアトピー患者もわざわざ買いに出掛けてくるほどだ。「この頃わたしも忘れっぽくなっちゃって」と言いながらも、テキパキと店を仕切る姿が頼もしい。しかし息子のギュヒョンはというと、万年非常勤講師で生活能力もなく、二人の子供を持ちながらも妻に頼りきりの生活だ。この日も大学仲間と酒を酌み交わし、教授の席の斡旋話しを聞いてご機嫌に。母の絶品トンチミククスを振る舞うと、深夜に仲間を連れ突然実家に転がり込んでしまう。他人の為なら苦労は厭わない母は、嫌な顔ひとつせず料理を振る舞うも、妻子の待つ家にも帰らず実家で眠りこけてしまうダメ息子の顔を見ては「何をしているんだか…」と呆れてものが言えない。亡くなった自分勝手な旦那の影を息子に見て、つい小言ばかり言ってしまう毎日。翌朝、やっと家に帰ったギュヒョンは二日酔いで伏せたまま。仕事で家を出なくてはならない妻は、子供の面倒を夫に任せることが出来ず、仕方なくお義母さんの惣菜店に子供を連れて出て行った。とはいえ、エランも店での仕事があるのだが…。「全ては生活能力のないギュヒョンのせい」と捨て台詞を吐いて出ていってしまう義理の娘。かたやギュヒョンは「教授の座に就くには五千万ウォンが必要」と大学側から告げられ、世間知らず故にあっけにとられてしまう。五千万ウォン、そんなお金がどこに…。仕事をしながら孫の面倒を見ていたエランはというと、家の中で躓いて足を痛めてしまった。「どうしても週末にチュンチョンに行きたいから車を出してほしい」。ギュヒョンに頼む母だが、一体なぜチュンチョンに行くのか、それに怪我をしている今なぜ?問うても答えぬ母の頑なな態度がどうにもわからない。母には秘密があるのだ。そんな中、調味料の分量を忘れたり、仕入れ業者と支払いについて揉めたり、靴の万引きで警察に突き出されたりと、エランに予想もしなかった認知症の症状が現れはじめ、子供たちの荷物にだけはなりたくないと薄れていく記憶の端を掴もうとするのだが…。心配になったギュヒョンは、母を認知症検査に連れていくのだったが「あなたたちの荷物にはならないし、もし病気にでもなったら勝手に施設でも行くから、わたしには何も望まないでほしい」と激しい口論に。病院では「加齢によるただの物忘れ」と言ってもらった母だったが、実際は既に大きく進行している認知症なのだった…。その後も突然家を飛び出し、またも警察のお世話に。しかし、よくわからないのが「スンヒョン!水に近づいちゃダメ!」と見知らぬ子に抱き着き取り乱していたというのだ。家族の誰もが聞いたことのない名前だ。ついに自分が認知症であることを理解したエランは、自ら施設に入る決心をする。ギュヒョンは実家でもある店舗を売りに出し、その金で斡旋手数料の五千万ウォンの支払いや、母の施設入所金に充てる算段だったが…。家の片付けをしていると一冊のノートが。そこには息子や孫に宛てた自家製レシピと、家族への想いが切々と綴られているのだった…。
赤っ恥覚悟で敢行した離婚式を経て、夢見たシングルライフを満喫する事になったヒョヌ。自由を取り戻したのも束の間、6か月ぶりに元妻ソニョンが現れた事で状況が一転する。ソニョンと第二の結婚生活の様な、なじみがありながらも危険な生活が始まっただけでなく、偶然再会した旧友のサンチョルに相談された恋愛相手がソニョンだったのだ。離婚式以来、それぞれの生活を送る事になった男女の三角関係の行く末はいかに―。
経済学者のオ・ヨンミン(イ・ボムス)は、過去の行動によって韓国に戻ることが出来ず、亡命先の西ドイツでも評価されない日々に嘆いていた。そんな中、ある人物から北朝鮮で大学教授として働かないかと勧誘を受ける。自分の経済論が日の目を見れば今よりも良い暮らしができるかもと、妻ウンスク(パク・チュミ)の反対を押し切り北朝鮮へ向かう。しかしそこで待っていたのは、大学教授としての日々ではなく工作員としての苛酷な訓練だった。そしてついに工作員としての指令を受け、家族と共に再び西ドイツへ向かう事になる。空港で見張りを振り切り逃亡を試みるが、北朝鮮の工作員に妻と娘を人質に取られてしまう。家族を助けるために必死に奔走するが、各国の情報局は彼を泳がせ北朝鮮のスパイを捕まえるために利用する。誰も信じられない状況で、彼は家族を再び取り戻せるのか―
女子中学生のミレが好きな場所はゲームの世界である「ワンダーリング・ワールド」。暴力をふるう父親もいなければ、寂しい学生生活を送る学校にも行かなくてもいいその世界に、ミレは自分だけの世界を夢見る。ある日、現実の友達を作ろうとするものの、思わぬアクシデントで心に傷を負ってしまう。さらにゲームが配信中止することになり、途方に暮れたミレはネット上で出会った友達のジェヒに会いに行くのだが…。
最年少部長判事として出世街道をひた走るソクヒョンは、美しい妻ユンギョンと娘に囲まれ、幸せな人生を送っていた。そんなある日、ユンギョンが何者かに殺害されてしまう。ソクヒョンの同僚ガンソンは、ソクヒョンの判決に不満を抱いていたチャン・スヨンによる逆恨みの犯行と断定、事件を手早く解決へと導く。そんな中、ソクヒョンは事件の担当記者から、彼の人生が30年前に実在したハン・サンジュン判事とあまりにも符合していることを知らされる。やがて、自分が“パラレルライフ”に巻き込まれていることを確信したソクヒョンは、30年前の事件を調べ始めるのだったが…。
殺伐とした裏社会から抜け出し、母の故郷でもある釜山でレストランを開き、平穏な日々を過ごそうと決意したドゥホン。そんな夢を叶えるために料理教室に通うようになった彼は、そこでセビンという少女と出逢うことに。次第に心を通わせるようになる2人だったが、セビンの正体は闇組織の一員で、ドゥホンの動向を調べるために接近していたのだった。やがて、組織から彼女にドゥホン抹殺の指令が下され・・・。