30歳の文緒(喜多嶋舞)は65歳になる夫の周一郎(中村方隆)との夫婦生活を西湘の邸宅で過ごしていた。周一郎は数々の名作を生み出してきた文豪で、文緒の耳には「莫大な遺産目当て」と揶揄した言葉も入ってくる。しかし、文緒の心にあるのは周一郎の一途な愛だけ。文緒はまさに現代の日本女性が失っていたゆかしさを備えた女性であった。しかし、周一郎が脳梗塞で倒れて下半身が不随になったときから、周一郎に捧げてきた身も、心も、徐々に微妙な変化を遂げていく。作家志望の青年、仁志(小林宏史)。周一郎の孫、康隆(芦田昌太郎)の存在。そして、30歳の若さで不能の夫を持つことになった文緒を哀れむ周一郎。3人の男性の思惑が、文緒の火照った心を、身体を、更に熱いものへとしていく。やがて、文緒の身体が開かれるときがやってくる・・・、一夜限りの大輪を咲かせる月下美人のように・・・。