鳴かず飛ばずのフォトグラファー、小山田は、読者モデルのユカと出会う。次第に距離を縮めていく2人だが、ユカが小山田に体を許すことは決してなかった。そんな中、小山田が撮った彼女の写真が、2人の運命を大きく変えることになる。
58歳になる吉田は、交通誘導員のアルバイトをしながら、独り目的もなく日々過ごしていた。彼はかつて、ヒーロー史上最強の「稲妻戦隊サンダーファイブ」リーダー、サンダーレッドとして仲間と一緒に怪人から地球の平和を守っていた。しかし自らの愚かな行動によりすべてを台無しにしてしまった過去があった。日々、後悔し続けていた吉田は、自分が犯した罪を許してもらうため、かつての仲間たちへの贖罪の旅に出る。サンダーファイブが解散した衝撃の真実とは、そしてこの旅に隠された驚愕の目的が明らかになる。
雑誌編集部員の真由美(井上美琴)は、日本画展の取材にて、一人の女性が見入っていた絵に引きつけられる。その絵は『魚濫観巫音(ぎょらんかんぜのん)』といい、見ていた女性は純子(伊藤裕子)という刺青の彫師だった。観音を描いたその絵に魅せられた純子は、「いま一番彫りたい絵だ」と真由美に告げたのだった・・・。ある日、真由美は不倫相手に暴力を振るわれたところを、平田タケシ(波岡一喜)というチンピラに助けられる。偶然にも、彼の背中には純子の彫った伐折羅(ばさら)の刺青があり、不思議な縁に運命を感じた2人は愛を育んでいくが、幸せな時間は長くは続かない・・・。組同士の抗争で、己の信念を貫いて命を失ってしまったタケシ。最愛の人の魂を刻みたい、と真由美は純子に「彫ってくれ」と頼む。純子は真由美の肌に『魚濫観巫音』を彫り始める。苦悶と愉悦の狭間で、純子の声が響く。「鯉に騎(の)る観音は、慈悲心を司る仏、愛に生きる女」。タケシの名を呼びながら、身悶える真由美。“刺青”は彼女を、そして人生を大きく変えるのだった・・・。