コロナ禍もようやく一応の終焉を迎え、町行く人々の口元にもマスクが目立たなくなってきた。さら(33)は夫、康介(31)の家で康介の両親と一緒に暮らしている。さら夫婦にはまだ子供はいない。ある日、義理の母が「そろそろ子供は?作らないの?」と遠慮がちに聞いてきた。遠慮がちに聞かれたのはもうこれで何度目であろう。しかし、パンデミックの間、さらと康介は、今までよりもはるかに長くこの家に居たのに、すっかりセックスレスになっていた。なおかつ、さらは最近、康介に女がいることに気がついていた。さらは、夜中にコンドームを捨てた。一方、義理の母、晶子は、コロナによって年老いた母を亡くしたこともあり、命について深く考える毎日。どうしても孫の顔を見たいという欲求で精神的に不安定になっていた。
「なにそれ、マジで言ってんの?」自分の父親に思いを寄せる親友マヤの突然の告白に、あきれる妙子。笑い飛ばす母親ミドリとまんざらでもない父親恭介。しかし親友はその日をきっかけに、猛然と父親へのアタックを開始する。人間関係も常識もかえりみず突き進み、見るものを唖然とさせる純愛は、家族、恋人、愛人、先生、同僚を巻き込んでめくるめく恋愛模様へと発展していく―ー