過疎地で刀鍛冶を営む森国義は妻・佳子と息子・亀吉、そして重度の障がいを持つ娘・みさととつつましく暮らしていた。佳子は溺愛する亀吉の受験を優先させ、みさとを離れに移す。亀吉は受験のストレスから、夜な夜な離れで暮らすみさとに性的な虐待を加えだす。それを住み込み職人に見咎められ、転落事故を起こして半植物状態に。この事件を機に一家の歯車は可及的に狂いだしていく。
最先端のプロジェクションマッピングで映し出される幻想的な世界の中で、鶴田真由らのパフォーマンスが冴え渡る。
川崎の造船所で働く聾唖の女性・マチはある日刑事の聴取を受ける。密入国した外国人犯罪者を追っているようだ。しかし、実はマチはその外国人と一夜の恋に落ちていて・・・
過疎地に暮らす、代々刀工を営む一家の下に東京から美大生たちがやってくる。知的障害を持つ兄妹や見習い工は彼らと馴染めず、この溝はやがて様々な事件を巻き起こす。
失明を宣告された映写技師の男は、箪笥の奥に大切にしまわれていたスプーンで幼い日々の思い出をすくい出す。膨大な視覚イメージの中から彼が手にしたのは、バレエを学ぶために遠く旅立った少女との甘く苦い記憶だった。
日本で働くアメリカ人男性はパン工場で知り合った日本人女性と交際していたが、彼はとあるタイミングで彼女を置いてアメリカに帰ってしまう。しかしその間に地震が起こり、彼女が行方不明になったという報せを聞いて彼は再び日本に舞い戻る。
原発の臨界事故が起きた町に母と暮らす青年・祐一郎。開業医だった亡き父の跡を継ぐべく勉強しているが、常態化した倦怠感の中、ギャンブルやドラッグの世界にハマリこみ、極秘で行なわれている放射線科の臨床試験アルバイトを知る--。借金返済を目的に、危険な治験に挑む祐一郎。彼の情報が入ったドッグタグのようなUSBメモリを首から提げながら……。
古く寂れた更正施設に収容されているのは、心に問題を抱え薬物中毒になった若い女性ばかり。彼女たちに与えられた課題は、「貧乏画家の青年たちと、モデルに雇われたひとりの女性の物語」という舞台の稽古だった。依存症に苦しみながら、練習を重ねてゆく日々。やがて現実と演劇の世界は交錯し乱れ、家族への発表会の日、彼女たちはある狂気ともいえる行動に出る・・・。
工業都市・川崎。貨物列車で石灰石が運び込まれるように、棟方はこの町の小さな電子工場にたどり着く。工場を経営する大森、従業員の毛、牧師松村、その娘ゆかり。取り巻く人々と向き合うにつれて、善良そうな人間の底に潜む醜さ、平凡な人生に漂う限りない悲しみ、当たり前の日常を支える不条理が次々と浮き彫りになっていく。
長引く不況で刑事にもパートタイム制を導入した近未来。日雇いデカの通称“日雇い”と、ヤクザの新入組員となった東大出のヤスが出会い、奇妙な交流が始まる。
尻の穴にあらゆる物を詰めて帰って来る運び屋“AF(アナルファイター)”、半身不随になった当たり屋の組員など、崩壊寸前のヤクザ事務所にかつての仲間“ストロー”が舞い戻って来る。
強姦の罪で投獄されていたイゾウが牢屋を飛び出した。娼婦シズモ、作家であり遊蕩児のカフウ、家出少女スイカ…それぞれの為す術ない感情の糸がからまりもつれ合う…。