殺人に使われた包丁をつくった職人は逮捕されるのか――。技術者の未来と権利を守るため、権力やメディアと戦った男たちの真実の物語。2002年、開発者・金子勇(東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。しかし、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する――。なぜ、一人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか。本作は、開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語である。
現人神である「カミサマ」を国家元首にいただき、清く、美しく輝けるとある国のとある街。少子化にあえぐこの街では、45歳以上の未婚者は市民権を失うという条例が制定されており、市民権を剥奪されると、街を出て行かなければならない。あるいは、軍に入隊し、強制的にお国の為に働く道を選ばなければならない。この街で介護施設を営んでいる未婚のよしこは、45歳を目前に控え、この街から排除される不安を抱えながら、日々暮らしていた。市民権を得ることを諦め、街を出るという選択もあるが、彼女は施設に入居している老人たちを見捨てることはできない。そんな中、老後施設に一人の身元不明の中年男性が突如として迷い込んでくるのであった・・・。
令和元年夏、参議院選挙でさまざまな候補者を擁立したことも話題となったれいわ新選組から、女性装の東大教授として知られる安冨歩が比例代表候補として参院選に出馬した。「子どもを守り未来を守る」のスローガンを掲げて、全国遊説の旅に出た安冨を中心に10人の個性豊かな候補者たちの姿に原監督のカメラが鋭く迫っていく。
3年ぶりに病院から戻った高梨光雄は、弟・裕太の家を訪れる。再会を喜ぶ姪の知恵、その妹でダウン症の一希に迎えられ束の間の幸せを味わう光雄。その夜、知恵にせがまれた光雄は被災地で見たひまわりについて語る。知恵はその美しい景色を思い浮かべながら、太陽に向かって咲くひまわりと、時折ふと空を見ている愛しい一希の姿とを重ね会わせるのだった。明くる日、知恵は光雄と遊園地に行きたいと嘆願する。裕太と妻・葉子はそれを快く受け入れ、娘たちを光雄に預けるが・・・幸福な時間も束の間、遊園地で突然の不幸が訪れる。
吉田那月(25)の元に差出人不明の一枚の絵葉書が届く。絵葉書にはエベレストの風景が描かれていた。那月は絵葉書の差出人が2年前にエベレストで行方不明になった兄ではないかと気づき、東京から兄を探しにネパールへとやってくる。兄は名の知れた登山家だったが、那月は10年間会っていなかった。兄はなぜ山へ向かったのか?兄はどんな人だったのか?那月は兄のことを何も知らないことに気づく。那月は兄への思いを寄せながら、エベレストへと向かって行く。しかし那月は登山中に高山病で倒れてしまう。那月は兄をサポートしていたシェルパに助けられる。シェルパは那月に連れて行きたい場所があると告げる。目的の場所に到着する2人。そこにはガンジス川に合流する河川バグマティーリバーがあり、河岸にはネパール最大のヒンドゥー教寺院パシュパティナート(火葬場)があった。バグマティーはヒマラヤ山脈を源流とする河川である。那月は、聖なる河バグマティー川で燃えていく死者の姿を目撃するのだった。
工業都市・川崎。貨物列車で石灰石が運び込まれるように、棟方はこの町の小さな電子工場にたどり着く。工場を経営する大森、従業員の毛、牧師松村、その娘ゆかり。取り巻く人々と向き合うにつれて、善良そうな人間の底に潜む醜さ、平凡な人生に漂う限りない悲しみ、当たり前の日常を支える不条理が次々と浮き彫りになっていく。