過疎地で刀鍛冶を営む森国義は妻・佳子と息子・亀吉、そして重度の障がいを持つ娘・みさととつつましく暮らしていた。佳子は溺愛する亀吉の受験を優先させ、みさとを離れに移す。亀吉は受験のストレスから、夜な夜な離れで暮らすみさとに性的な虐待を加えだす。それを住み込み職人に見咎められ、転落事故を起こして半植物状態に。この事件を機に一家の歯車は可及的に狂いだしていく。
川崎の造船所で働く聾唖の女性・マチはある日刑事の聴取を受ける。密入国した外国人犯罪者を追っているようだ。しかし、実はマチはその外国人と一夜の恋に落ちていて・・・
原発の臨界事故が起きた町に母と暮らす青年・祐一郎。開業医だった亡き父の跡を継ぐべく勉強しているが、常態化した倦怠感の中、ギャンブルやドラッグの世界にハマリこみ、極秘で行なわれている放射線科の臨床試験アルバイトを知る--。借金返済を目的に、危険な治験に挑む祐一郎。彼の情報が入ったドッグタグのようなUSBメモリを首から提げながら……。
古く寂れた更正施設に収容されているのは、心に問題を抱え薬物中毒になった若い女性ばかり。彼女たちに与えられた課題は、「貧乏画家の青年たちと、モデルに雇われたひとりの女性の物語」という舞台の稽古だった。依存症に苦しみながら、練習を重ねてゆく日々。やがて現実と演劇の世界は交錯し乱れ、家族への発表会の日、彼女たちはある狂気ともいえる行動に出る・・・。