梅田ココア17歳、女子高生。なけなしのバイト代をギャンブル狂の父とニートの兄にたかられ、うんざりする毎日。唯一の希望は、女友だちの存在と、大学に行く夢だ。しかし、お金ほしさに出演していた怪しい“クラッシュビデオ”の存在が、学校内で噂になってしまう。「私が何かいやらしいことでもしたんですか?」 普通の生き方って何?正しいって何?家族も大人も誰も助けてくれない世界に今、絶望と怒りがこみ上げる……。
「一緒に住まないか」という言葉とともに、麻友子は恋人の智樹から合鍵を手渡された。彼との仲は良く、これといって不満もない。しかし麻友子は「結婚なんて考えたこともない」と言い残し、カフェテラスを飛び出してしまうのだった。その衝動に自ら戸惑いながら歩くうち踏切にさしかかった彼女は、今しも線路に飛び込もうとする男の姿に気が付く。とっさに男を押しとどめる麻友子。「余計なことをするな」と叫ぶ男の顔を見て、彼女は驚く。それは顔見知りの永山だったのだ。家庭を顧みることのなかった彼は、妻に愛想を尽かされたばかりか、経営する会社を部下に乗っ取られ、絶望の只中にあった。捨て鉢な様子でふらふらと歩き出した永山を心配し、麻友子は後を付いて行く。その時、どこからともなく読経の声が。その音に誘われるように2人は山門をくぐり…。
結婚から3年、大内綾(30)は仕事に熱中する日々を送っていた。夫・健太郎から「そろそろ子どもが欲しい」と言われるが、綾は妊娠・出産に勇気が持もてない。ある日綾は仕事で、子どもを持たない夫婦が子どものいる家庭を体験する『家族留学』のイベント運営を任される。2人の子どもを育てながら働く三島沙織(30)の家庭に体験に行くが、綾は生活のためには「本当にやりたい仕事」を諦め事務職で働く沙織の気持ちが理解出来ず傷つけてしまう。一方の沙織も、夫からの家事育児の協力が得られず不満が積もる日々を送っていて…。