昭和40年代、高知。賭博「手本引き」にのめり込み破滅した岡田吾一(石橋保)は、高知一と言われた自身の料理屋を手放し、妻子を妻の故郷に帰し、途方に暮れていた。そこに、一本筋の通ったヤクザ 荒木五郎(宅麻伸)が現れ、「カスリコ」の仕事を紹介するという。カスリコとは、賭場で客の世話や使い走りをして、僅かなご祝儀をめぐんでもらう下仕事だ。行き場のない吾一は、かつて自身が入り浸った賭場に、立場を変えてカスリコとして再び出向くことにする。
橋本香織(伊藤歩)は東京の出版社から福岡のタウン誌に異動を命じられる。ある日、投稿はがきに「昭和30~40年代に、下関の映画館にいた幕間芸人を探して欲しい」というものがあった。香織は心惹かれ、その映画館<みなと劇場>を取材する。上映の幕間に物真似をみせる“幕間(まくあい)芸人”安川修平(藤井隆)が劇場にいたが、解雇後は音信不通となった。取材を進めていくうちに、自分と父親との関係を見直すこととなっていく。