「二人とも本当に解散の決心は変わらないんだな?」全国7都市を回るツアーへの出発の朝、車に乗り込んだデュオ〈ハルレオ〉のハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)に、ローディ兼マネージャーのシマ(成田凌)が確認する。うなずく二人にシマは、「最後のライブでハルレオは解散」と宣言するのだった。2018年7月14日、解散ツアー初日から波乱は起きる。別行動をとったレオが、ライブに遅刻したのだ。険悪なムードの中、「今日が何の日かくらい憶えているよ」と、小さな封筒をハルに押し付けるレオ。しばらくして、何ごともなかったかのようにステージに現れるハルレオ。トレードマークのツナギ姿に、アコースティックギター。後ろでシマが、「たちまち嵐」を歌う二人をタンバリンでサポートする。次の街へ向かう車の中、助手席でレオからもらった封筒を開けるハルを見て、「そうか、今日はハルの誕生日か」と呟くシマに、「違うよ。初めてレオに声をかけた日だよ」と答えるハル。二人が出会ったのは、バイト先のクリーニング工場。上司に叱られ、むくれていたレオを、ハルがいきなり「ねえ、音楽やらない?あたしと」と誘ったのだ。
パン職人を目指していたが、勤め先のパン屋を解雇されたクロ。結婚を意識していた恋人と、喧嘩別れをしたカメラマンの英斗。主演女優が降板し、舞台の上演が危ぶまれる演出家の豪。それぞれ別の人生の目的を持った接点のない3人が、ひょんなことから出会い、東京を飛び出す。行き場をなくした3人は、海辺の閉鎖された旅館での共同生活を通して自分の生き方を再認識する。旅館でのバカンスは3人の心をゆっくりと溶かしていく。ほんの少しだけ生きるヒントをみつけた3人は、それぞれ以前よりも自分の人生に真剣にむきあうようになる…。
同居している男に言われるままに身も心も搾り取られる生活に甘んじている今日子(安藤サクラ)と、母親を助けるために事件を起こしてしまった修一(柄本佑)。物語の中でふたりが言葉をかわすことは、ない。それぞれの理由で故郷に戻れなくなってしまった彼らは、過去を清算しながら生きることを誓った東京で懸命に日々を生きていた。そんなある日、二人の日常を揺さぶる出来事が起きる。今日子と修一は予期せぬ運命の糸に操られながら、どうやって“明日”を見つめていくのだろうか―。
少女は夢に生き、青年は夢を捨てて生きてきた――オペラ歌手を夢見、名門女子高の合唱部でソロを歌う岩田真理子(安藤サクラ)は、ふとしたきっかけで一人の青年(佐々木崇雄)に出会う。大事な楽譜をなくされた真理子は、その償いとして青年に学校帰りのボディガードになってほしいと頼む。次第に親密になっていく二人だったが、青年はいつまでたっても自分の名前を明らかにしない。在日朝鮮人三世、趙聖文(チョ・ソンムン)が彼の名だった。そんななか、真理子は合唱部のソロを降ろされ自暴自棄に。一方、聖文は悪事に手を染めるようになる。互いに惹かれ合いながらも溝が深くなっていく二人・・・・・・。
絶海の孤島、流刑の地、八丈島。不可能といわれた島抜けに、愛を賭けて男は挑む・・・。史実を基に描く壮大な歴史ロマン――「鳥も通わぬ」と謳われた絶海の流刑島・八丈島。かつてこの島に流人として島流しにされ、いつか再び江戸に変える日を夢見て必死に生きた女たちがいた。そして、愛する女のために、絶対不可能とされる“島抜け”に命を賭けて挑んだ男がいた。本作は流刑島史上唯一、“島抜け”に成功した実在の人物、佐原の喜三郎の物語を基に描かれた、壮大な歴史ロマンである。