2008年、北京オリンピック開催間近の中国。友人を誤って死なせた青年ランは、刑期を終えゴビ砂漠の端にある故郷に戻って来る。区画整理で人の流出が止まらず廃墟が目立つ街では、捨てられた犬たちが野生化して群れとなっていた。ランを気に掛ける警官から捕獲隊に誘われるが、ひょんなことから一匹で行動している黒い犬と出会う。決して捕まらず賞金を懸けられた黒い犬とランの間に、いつしか奇妙な友情が芽生えるが…。
新たな世紀を迎え、漠然とした未来への期待に溢れていた2001年。三峡ダム建設により建物が解体され、長江で100万を超える住民たちが移住した2006年。目覚ましい経済発展を遂げ、地方都市も都会化したコロナ禍の2022年......。チャオは山西省・大同(ダートン)を出て戻らぬ恋人ビンを探して奉節(フォンジエ)を訪ね、ビンは仕事を求めて奉節からマカオに隣接する経済特区・珠海(チューハイ)を訪れる。時は流れ、ふたりはまた大同へ――。恋人たちの関係と比例するように、街は変化していく。21世紀を22年かけて旅するチャオはどこにたどり着くのか――。仕事もなく、道路は舗装されておらず、北京との格差にあえいでいた街が、22年の時を経て、ビルが立ち並び、グローバル化され、若者たちは世界の都市と変わらぬ娯楽を享受するようになる。二つ折りの携帯電話はスマートフォンに、SF世界だったAIロボットはスーパーマーケットで接客をし、孤独な女性の話し相手に......。壊れゆくもの、消えゆくもの、再び構築されるもの。変貌し続ける街に飲み込まれながら、出会いと別れを繰り返す。時間は戻らない。だから、前へと進む。
大河・長江の景勝の地、三峡。舞台はそのほとり、二千年の歴史を持ちながら、ダム建設によって伝統や文化も、記憶や時間も水没していく運命にある古都。16年前に別れた妻子に再会するため、山西省からやってきた炭鉱夫サンミンと、2年間音信不通の夫を探すシェン・ホンの2人を軸に描かれる、時代のうねりに翻弄されながらも日々を精一杯に生きる市井の人々の「生」の物語。
舞台は2001年の中国、山西省大同チャオはヤクザ者の恋人ビンと共に、彼女らなりの幸せを夢見ていた。ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオが発砲し一命をとりとめる。5年後、出所したチャオは三峡ダムによって失われる街・奉節へビンを訪ねるが、彼にはすでに新たな恋人がいた。チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆ウイグル自治区のウルムチを目指す。そして2017年がやってくる――。
新時代に向けて飛躍的に発展を遂げていく中国。北京オリンピック開催などで目まぐるしく経済成長するなか、多くの市井の人びとが、町を出て漂泊の道をたどり始める。時代に翻弄され、故郷を離れて暮らす息子・ダオラー。母・タオは、故郷にとどまることを選択し、ひとりダオラーを想いつづけていた。やがて時代はめぐり、2025年。ダオラーは故郷から遠く離れた異国の地で、かすかに記憶するタオの面影を探し始めていた―