下町の工場で働く足立克夫(菅野貴夫)のもとに、ある日突然届いた差出人不明の封筒。開けてみるとそこには植物の種が入っていた。不審に思いながらも種を育ててみる足立。無趣味だった足立の生活に、少しハリのようなものが生まれてくるのだった。そんな様子を気にする職場の同僚のアユ(小島彩乃)と、趣味の話で盛り上がる足立。ますます種を育てることに夢中になる足立であったが、やがて生えてきたのはこの世のものとは思えない、“人間の手”のようなものだった…。
田舎で一人静かに暮らしている桜井耕三(71)には、一つの生きがいがあった。それは動画配信を通じて、乱れた世の中を正していくこと。日々感じる社会の悪に対して、カメラの前で彼なりの戦いを挑み続ける耕三であったが、視聴者数が全く伸びずに悶々としていた。だがそんな生活を続けていた耕三のもとに突如、東京で暮らしているはずの孫の寛太(12)が彼女と一緒にやってきた。幼い二人の勢いに押されて困惑する耕三であったが、彼らの話を聞いていくうちに、やがて親の都合に振り回されてしまった寛太の境遇が透けて見えてきて……。 ※特典映像の【マニブスの種】は別で配信となります。
不動産会社の営業として働く増田(芦原健介)は、うだつの上がらない日々を過ごしていた。同棲している恋人の朋子(新井郁)はそんな増田を笑顔で支えていた。だが、二人の友人である武藤(日下部そう)の俳優としての活躍が増田にとっては目障りで……。武藤がテレビに映る度に不穏な空気の漂うリビング、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていく。抑えきれない嫉妬心に翻弄される増田の前に、怪しげな団体で『神父』と名乗る男が現れて――――。