建築会社の契約社員として働く櫻川優子は、通称「5年ルール」が原因で正社員になる前に雇い止めを宣告される。優子はかつて諦めた教員になる夢を叶えるべく、24歳にして大学進学を志す。そのことで母親や婚約者、友人との間で生じる問題とも向きあいながら、優子は歩みを進めていく。
アーミーナイフをいつも持ち歩き、果物をむくのが上手かった男の子、栄大輔(さかえ だいすけ)。栄は、どこかの農家の一人娘と結婚するという。結婚の知らせをきっかけに、幼馴染であった中村由美(なかむら ゆみ)の心には、果物を介した中高生時代の思い出が次から次へと瑞々しく蘇り、同時に栄に伝えられなかった想いが後悔とともに溢れ出してくる。10年のときを経て過去の想いと対峙する決心を固めた由美は、栄に対してある行動をとる…。
川に落ちた我が子を釣り上げようとする女とその夫、離婚する両親のどちらと住むのか選択を迫られ苦悩する姉妹、ある目的のために病気で死に行く叔父を見舞い続ける少女とその母。川は昨日へと流す、悲しみも喜びも・・・大きな川が流れる街に住む三つの家族の物語。
フリーターの姉・葉月と女子高生の妹・呼春は、母の佐和と3人暮らし。14年前に女の人を作って家を出て行ったきりの、父の記憶はほとんどない。ある日、佐和から「離婚したお父さんがもうすぐ死ぬから会いに行って、ついでにその顔を写真に撮って来てほしい」と告げられる。