東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける―。
精神科医のヘクターは、美人でしっかり者の恋人クララと一緒に、ロンドンで何一つ不自由のない生活を送っていた。しかし、毎日患者たちの不幸話を聞き続けていくうちに、自分自身の人生も価値の無い物のように思えてきてしまう。「幸せって、なんだろう…?どこにあるんだろう?」ヘクターは答えを求めて、旅に出ることを決意する。イギリスを旅立ち、中国からチベット、アフリカ、そしてアメリカへ。行く先々でとんでもないハプニングに巻き込まれながらも、彼は各地で出会った幸せのヒントを手帳に書き記してゆく。はたして旅の終わりにヘクターは愛と幸せを見つけ出すことができるのだろうか―?
ある朝、ムーミントロールが起きると、空や川、木や地面、そしてムーミンハウスまで、ムーミン谷の何もかもが灰色になっていた。ジャコウネズミさんに聞いてみると、「空から恐ろしい彗星が地球にやってくる前ぶれだ」と教えてくれた。ムーミンパパとムーミンママは、彗星について調べるために、ムーミントロールとスニフを天文台に行かせることにした。ガーネットの谷の化け物を倒し、荒れ狂う地下の川を下って、岩を上り、遂に天文台にたどり着く。天文学者は計算によって恐ろしい彗星が、あと4日と4時間4分44秒後にやってくると予測。家に帰ればきっとパパとママがなんとかしてくれる!4日後の日曜日までにムーミン谷へ帰らなければ!迫り来る彗星が到着するまでに、ムーミントロールたちは、無事ムーミン谷へたどりつくことができるのか?
新婦ジャスティンと新郎マイケルは結婚パーティーへ向かっていたが、ふたりの乗るリムジンがくねった道で立ち往生し、予定の時刻を大幅に過ぎてしまう。皆から祝福されながらもどこかでむなしさを感じていたジャスティンは、無断で式場を離れたり、ケーキ入刀の時間になっても姿を現さないなど勝手な言動を繰り返し、情緒不安定なジャスティンに当惑を隠せないマイケルも、ついには彼女の元を離れていく...。7週間後、巨大惑星メランコリアが地球に異常接近し、世界滅亡の時が近づいていた…。
わずか23人の住人しかいない、廃れた鉱山町ドッグヴィル。偉大な作家になることを夢見るトムは、ギャングに追われる美しい女性グレースを助ける。翌日、トムは村人たちに彼女をかくまうことを提案し、「2週間で彼女が村人全員に気に入られること」という条件つきの同意を得る。グレースは村人たちに認めてもらうため、肉体労働を始める。閉鎖的な村人たちは、熱心に足を運ぶ彼女に対して徐々に心を開いていく。しかし、住人の態度は次第に身勝手なエゴへと変貌してゆき…。
退院したドルッセ夫人は直後に事故に遭い再びキングダムに舞い戻る。ユディットから生まれた赤ん坊のリトルブラザーは、新生児とは思えぬ異常な体格を持ち、生まれてすぐに喋りはじめる高い知能を持っていた。一方、ハイチから帰国したヘルマーは、自らが犯した少女モナに対する医療ミスの証拠を掴んだクロウスホイを黙らせるため、ハイチで手に入れた秘薬で毒殺を試みる。そしてついに、リトルブラザーの父親であるクルーガーが現れ、リトルブラザーの秘密を明かす…。
コペンハーゲンの古い洗濯池の跡地に建つ巨大病院、キングダム。デンマーク人嫌いのスウェーデン人医師ヘルマーは、神経外科の主任医師としてキングダムに赴任してくる。医師長の息子モッゲは仕事そっちのけでセクシー看護婦にのぼせあがり、父の医師長メースゴーは“朝の空気運動”に力を入れ、患者のことなどそっちのけである。ドルッセ夫人は仮病を使って入院し降霊術の会を開くことを趣味としていたが、あるとき病院内のエレベーターで少女の泣き声を聞き、その世にも悲しげな声の正体を求め探しはじめる。
1970年代初頭のスコットランド。キリスト教戒律の厳しいカルヴィン主義が支配する小さな村の教会で、信仰の厚い無垢な女性ベスは、よそ者であるヤンと結婚する。ベスは村から離れて石油採掘の仕事に就いているヤンが早く戻ることを神に願う。しかし、油田で発生した事故でヤンは重症を負い、一命は取り留めたものの全身麻痺となってしまう。ヤンはある日、「もうお前を抱くことはできない。別のセックスの相手を見つけ、その様子を話してくれ。」とベスに切り出す…。
第二次世界大戦が終結し、ニュルンベルグ裁判が始まってまもない頃、米軍のスティーブ・アーノルド少佐はベルリン・フィルの名指揮者で元プロイセン枢密顧問官でもあったヴィルヘルム・フルトヴェングラーを、“腐ったドイツの象徴”として糾弾すべく、彼とナチスとの関係を調査するよう命令される。しかし楽団員などの証言では、彼は反ナチでヒトラーの面前での敬礼を拒否したこともあったという。さらにフルトヴェングラー本人も、多くのユダヤ人を国外へ逃したとして、ナチスの文化政策の責任は自分にはないと審問の際に言い張った。しかしイギリスが入手した極秘文書や第2バイオリン奏者の証言などから、彼の裏の顔が徐々に露わになっていく。
ますますセックスに溺れるようになったジョーは、かつて愛したジェロームと再会し、久々に身体を重ねる。しかし、不感症となったジョーはまったく歓びを感じることができなかった...。ジェロームとの子を身ごもったジョーは、心の平穏を求めて彼との共同生活をスタートさせるが、性感を失い続けている不安ゆえに、過剰に激しいセックスを求め、彼女をもてあましたジェロームは、他の男との浮気を容認する。ジョーは更なるアンダーグラウンドの世界に足を踏み入れるが、やがて大きな代償を支払うハメになる…。
セリグマンは、重症を負いながら、救急車も警察も呼ばないでほしいと懇願する女性ジョーを自宅で介抱する。セリグマンに事情を訊かれたジョーは、幼い頃から抱いている性への強い関心と、数えきれない男たちと交わってきた数奇な物語を語り始める。冷淡な母、大好きだった優しい父、15歳で迎えた“J”との初めての性体験、幼なじみの“B”との高校時代などを語る。卒業後、印刷会社のアシスタントに応募したジョーは、偶然にもその会社の社長代理である“J”=ジェロームと再会する...。