「片腕を一晩、お貸ししても良いわ――」と娘は言った。その日の朝、花屋で買った泰山木の大きな蕾を美しいと思った事を知ってか知らずか、女が自身の身体から、その蕾のような丸みを帯びた白い肩の処から外してくれた。その娘の右腕を男は受け取る。――この腕はモノを言うだろうか? 話をしてくれるだろうか?男の密かな愉しみに、腕は腕の出来る事しか出来ないと言いながらも、女は「お試しになって」と男を送り出した。男は外套の内に右腕を抱いて自宅へ戻る。すると、右腕は男の部屋に泰山木の匂いがすると話し出すのだった。これまでの孤独が染みついた部屋で、男は純潔を保った娘のように儚くも冷ややかな体温を持った娘の右腕を愛で始めるのだが――
竜介と知美は中学生でいとこ同士。夏休みに徳島の穴吹川で川遊びをしていた最中に急流に流されてしまう。すると龍が現れ、二人を救い出し、謎の老仙人のもとへと導く。老仙人は二人が溺れて死んでしまったと宣告するが、霊界を旅して「人生でなすべきこと」を見つけたら元の世界に還してくれると告げる。二人は戸惑いつつも、霊界探訪を決意する。そして、龍に導かれて霊界へと旅立つ。たどり着いた場所は、この世と変わりないように見えるが、やがて次々と恐ろしいことが起こる。恐怖心に支配された人たちが殺し合う。病院では医者が患者を切り刻む。死んでも死んでも、また蘇り、また殺される。そう、ここは地獄なのだ。しかし、霊界の旅は地獄だけでは終わらない。さらなる未知の世界へと冒険は続く。二人は霊界で何を見つけるのか?
202X年。強大な力を持つ東アジア共和国でクーデターが発生し、「帝国ゴドム」が誕生。近隣諸国を次々と侵略していく。アメリカや国連もゴドムの暴走を止めることはできない。唯一、国際的秘密結社「ヘルメス・ウィングス」だけが抵抗運動を続けていた。そのメンバーの一人で予知能力を持つ青年「獅子丸翔」は、ゴドム軍に命を狙われた際に助けてもらった仏教僧から、「救世主再臨」の予言を告げられるのだが…。