帝都・東京は、約1千年前、関東に独立国を築こうとして望み果たせず。謀反人として討伐された平将門が、深い恨みを抱えて眠っている日本最大の霊場である。明治45年、日本を代表する実業家・渋沢栄一は、魔術を操り日本の吉凶を占ってきた土御門家の陰陽師・平井保昌や物理学者・寺田寅彦らを集め、帝都・東京を軍事的のみならず霊的にも守護するための<東京改造計画>を秘密裡に進めていた。しかし、その計画の前に立ちふさがった者がいた。サイキック・パワーを自在に操る、謎の魔人・加藤保憲である。彼は、式神や護法童子、巨大な阿修羅など魑魅魍魎を使って、帝都・東京の破滅を企む。
コロナ禍の2020年。いつかが通う美術大学でも、その影響は例外なく、卒業制作展が中止となった。悲しむ間もなく、作品を持ち帰ることになったいつか。いろいろな感情が渦巻いて、何も手につかない。心配してくれる父・母とも、衝突してしまう。妹のまいもコロナに過剰反応。普段は冷静な親友の平井もイライラを募らせている。こんなことではいけない。絵を描くことに夢中になったきっかけをくれた友人との再会、平井との本音の衝突により、心が動く。未来をこじ開けられるのは、自分しかいない―。誰もが苦しんだ2020年―。心に光が差す青春ストーリー。