貧しい北町に住む売れない漫画家・義男(成田凌)。アパート経営の他に怪しい商売をしているらしい大家の尾弥次(竹中直人)から自称小説家の伊守(森田剛)とともに引っ越しの手伝いに駆り出され、離婚したばかりの福子(中村映里子)と出会う。艶めかしい魅力をたたえた福子に心奪われた義男だが、どうやら福子にはすでに付き合っている人がいるらしい。ほどなく、福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、義男は福子への潰えぬ想いを抱えたたま、三人の奇妙な共同生活が始まる……。
郊外のスクラップ工場で働くふたりの男。ひとりは40歳を過ぎて独身、不器用な性格が災いして嫌味な上司から目の敵にされている秋本。ひとりは妻子との暮らしに飽き足らず、気ままに楽しみながら要領よく世の中を渡ってきた谷口。退屈な、それでいて平穏な毎日を過ごしてきたふたり。しかし、ある夜の出来事をきっかけに、彼らの運命は大きく揺らぎ始める……。
もう大切な人を失いたくないー。小学生の時に最愛の母を亡くした主人公秋音。母が亡くなる日、父は母を看とらず「獅子神楽」を舞っていた。「母と獅子神楽、どっちが大切なの?」それ以降、秋音と父の関係に深い溝ができてしまった。高校卒業と同時に故郷を離れる秋音。東京での生活も行き詰まっていた。また、父も妻の死による悲しみから抜け出せないでいた。そんなある日、母の13回忌に5年ぶりに実家に戻る秋音。そこには亡くなった最愛の母に似た女性の存在が、、、60年に一度の大例祭が近づく町ではベテランの舞い手、父が最後の神楽獅子の舞を披露することに。しかし父の体に異変が、、、親子の葛藤、そして人間の愛情、さらに伝統芸能の継承を考える感動の作品。
とある山林で黒い液体に覆われた男が発見される。その男、工藤は数週間前から行方不明になっていた医療系企業の研究員であると思われた。警察の取り調べに工藤は告白する。再生医療を研究している工藤は、ガンに冒された恋人の卑弥子を救うために、同僚の天才研究者の螺子(ねじ)と3人で山中の保養所にこもり、人類にとって新たなる細胞の研究開発を行なっていた。しかし、卑弥子を救うはずのその細胞は、卑弥子の身体を乗っ取り、恐るべき暴走を始めたというのだ。そして、その背後には工藤と卑弥子、螺子の錯綜する恋愛感情があった・・・。
3年ぶりに病院から戻った高梨光雄は、弟・裕太の家を訪れる。再会を喜ぶ姪の知恵、その妹でダウン症の一希に迎えられ束の間の幸せを味わう光雄。その夜、知恵にせがまれた光雄は被災地で見たひまわりについて語る。知恵はその美しい景色を思い浮かべながら、太陽に向かって咲くひまわりと、時折ふと空を見ている愛しい一希の姿とを重ね会わせるのだった。明くる日、知恵は光雄と遊園地に行きたいと嘆願する。裕太と妻・葉子はそれを快く受け入れ、娘たちを光雄に預けるが・・・幸福な時間も束の間、遊園地で突然の不幸が訪れる。
会社を辞め、姉の雑貨店で店番をする主人公・里美。そこに現れた、恋人を待つ男・智徳。店を出て東京の街を歩きながら語り合うふたり。「お互いのことを知らないから言えることもある」―――やがて彼らは互いに話していることが事実なのか分からないまま、惹かれあっていくのだが……。