英語の個別レッスンを仕事にしているバイリンガルの真希子(橘メアリー)は、夫の匡史と二人暮らし。匡史は仕事に追われる日々を送りながらも、真希子のレッスン相手の事を毎日のように尋ねてくる。それは彼女が以前、生徒と過ちを犯した過去を抱えているからだった。過ちを許した匡史は、その代わりに妻を束縛し、常に自分の目の届く範囲に置こうとしていた。夫との夫婦生活を窮屈に感じている真希子は休日に親友の瑠夏と会う。瑠夏は、真希子と匡史の最近の関係を心配してくれていた。そんなある夜、寝室で先に寝ていた匡史がふと「瑠夏…」と寝言をつぶやいた…。
高校の同級生の秋吉純太(アキ)と藤城春継(ハル)は別々の大学に進学するも、静かな住宅街にある一軒家でルームシェアをしていた。大学4年生になり、就職活動に勤しむ二人。写真家の道に進むことを決めたハルは写真スタジオに、アキはインテリア雑貨の会社に内定が決まる。米山と麦田、あずさ、雪乃を招いた就職祝いの「たこ焼きパイ」パーティで盛り上がったその夜、アキに一通のメールが届く。それは、勤務地が大阪に決まったという知らせだった。一緒に暮らせるのも卒業まで残りわずか。寂しい気持ちとモヤモヤを抱える二人の間には、どこかよそよそしい空気が流れていた。そんなある日、ハルの姉・立夏が結婚報告をしに会いに来る。結婚の決め手になった話を聞いたアキは、ハルに友情以上の感情を持っていることに気付く。しかしアキは、ハルにはこの感情を打ち明けないことを心に決める。一方、大阪への勤務が決まったと聞いた時から、ハルは心ここにあらずだった。このまま4年間暮らした一軒家を引き払い、穏やかで幸せだった同居生活は終わってしまうのか…。そして、社会人を迎えるアキとハルの行く末は…?
カスミ(美咲かんな)は都会での忙しい仕事と結婚生活の両立に肉体的にも精神的にも疲れていた。離婚して一から自分を立て直そうと、静かな田舎に古民家と畑を購入して都会を離れた。彼女は畑を耕そうと試みたが初めての農作業で上手くいかず、途方に暮れていた。そんな時、声をかけて手助けをしてくれる近所の年輩の男が現れる・・。
世界をガランスに塗りつぶせ!大正時代の画家・村山槐多の「尿する裸僧」という絵画に魅入られた法月薊(のりづき・あざみ)が、街頭で道行く人々に「村山槐多を知っていますか?」とインタビューしていると、「私がカイタだ」と答える謎の男に出会う。その男、槌宮朔(つちみや・さく)は、特殊な音域を聴き取る力があり、ある日、過去から村山槐多が語り掛ける声を聴き、度重なる槐多の声に神経を侵食された彼は、自らが槐多だと思いこむようになっていたのだった。朔が加工する音は、朔と同様に特殊な能力を持つ者にしか聴きとれないものだが、それぞれ予知能力、透視能力、念写能力、念動力を有する若者4人のパフォーマンス集団がそれに感応。彼らは、その能力ゆえに家族や世間から異分子扱いされ、ある研究施設で”普通”に近づくよう実験台にされていたが、施設を脱走して、街頭でパフォーマンスを繰り広げていた。研究所の職員である亜納芯(あのう・しん)は、彼らの一部始終を観察していた。朔がノイズを発信する改造車を作った廃車工場の男・式部鋭(しきぶ・さとし)は、自分を実験材料にした父親を殺そうとした朔の怒りを閉じ込めるために朔のデスマスクを作っていた。薊は、それは何故か村山槐多に似ていたと知り…
連続殺人犯が占いの得意な魔法少女のもとにやって来る。童謡“桃太郎”を歌いながら凶行に走る殺人犯を、押し入れに隠れてやり過ごした彼女は、犯人の退治を決意する。こっくりさん、メリーさん、お菊さんをお供に、魔法少女は殺人犯が潜む事故物件に乗りこむ。
明日から夏休みの午後の学校。いじめられっ子の男子生徒と女性教師が、うっかり体育倉庫に閉じ込められてしまう。夏休みともなれば、いつ外に出られるかは定かではない。襲いくる猛烈な厚さに汗ばむ体と、激しい渇き。それはやがて密室で過ごす2人の、生徒と教師という当たり前の力関係に少しずつ変化を生じさせてゆく・・・。
人妻の紀子は、入院中の病院から抜け出してとある地方都市へ出かけ、不倫相手の田辺に会おうとするが叶わなかった。そこで紀子は、テレクラで知り合った裕幸とモーテルで関係を持つ。ところが、紀子はふとしたことから彼を刺し殺してしまう。数日後、紀子は警察から事情聴取を受けることになったが、裕幸と立ち寄ったガソリンスタンドの店員・和昭が嘘の証言をしてくれたおかげで事なきを得る。帰り道、和昭に声をかけられた紀子は、2人がお互いに似たような悲しい過去を持つことを知る。
本を積み上げその上に乗る女性。首にロープが食い込む感触が強烈な恐怖となって襲ってくる・・・。彼氏に裏切られ巨額の借金を抱えていたOLの銀子はこの苦しみから抜け出す為自殺を試みる。しかし、間一髪のところでパチンコ屋の店長晴彦に助けられる。晴彦はお店の経営不振で悩んでおり、その立て直しを図るべく大規模のパチンコ大会を企画していた。そしてそのゲストとして伝説のパチンカーお銀、つまりは銀子の母親を呼ぶ必要があったのだ。「母とは幼いころに生き別れてしまったんです…。」と銀子。「では代わりに君が大会に出てくれ。娘というだけでも相当なPRになるんだ!」お店を潰すわけにいかない晴彦は必死に懇願する。優勝すれば借金を返済できるほどの大金を手に入れることができると分かった銀子は、生き別れた母親探しの手伝いを条件に大会への参加を決心するのである。
ケーブルテレビ局のディレクター百合子は、不倫関係のプロデューサー藤崎と、旧道のトンネルに現れる「マッチ売りの少女」のうわさを番組にするべく撮影に出掛け、「少女」らしき存在に出会うが、カメラには何も映っていなかった。取材を進めるうち、1970年前後に武力闘争を掲げる過激派の学生たちがこの村に潜伏し、メンバーに真知子という女子学生がいて、仲間の性的対象となっていただけではなく、村人たちと売春を強要されていたことを知る。しかも真知子は学生たちが去った後も村の男たちの慰み者になり、やがて存在が邪魔になると焼き殺されたのだった。ところが、真知子は焼き殺される最中に一人の女の子を産み落としていた・・・