東京でシェフとして働くフランス人のジェイ(ロマン・デュリス)は、日本人女性と結婚するも離婚。共同親権をめぐる制度の違いにより、最愛の娘リリーと引き離される。望みを捨てきれないままタクシー運転手に転身した彼は、孤独に街を彷徨いながら、いつも娘の面影を追いかけている。やがて帰国を決意しかけた矢先、思いがけない再会が訪れる。成長した少女が、偶然ジェイのタクシーに乗り込んでくるのだ。しかし、リリーは目の前の男性が実の父親とは気づかない。ジェイもまた名乗ることができないまま、束の間の時間を共にする。それは偶然か、あるいは運命か。再び父として娘と向き合うことができるのか。名乗れない父と、父を知らない娘。交差した時間が、止まっていた父の人生を再び動かしはじめる。
南仏の港町で3人の兄と共に日々の生活に追われながら公営住宅で暮らす14歳のヌール。病床の母を自宅で看病しながら、母が大好きだったオペラの曲を聞かせるのが日課だった。夏休みに教育矯正の一環で校内清掃をしていたヌールは、音楽室から聞こえてくるピアノの音に引き寄せられていく。オペラ教室の講師サラはヌールの歌声を聴くとその才能を見出すが、ヌールを取り巻く環境はオペラを習うことなど許さなかった…。