とある薄暗いマンションの一室で、燃える車の絵を荒々しく描く謎の白髪の老婆…。ちょうどその頃、山道での交通事故で両親と弟を失うという悪夢から目を覚ましたエン(佐藤玲)は、不吉な予感に襲われる。なぜなら数日後に予定している家族旅行の行き先は避暑地の山であったからだ。エンは父親に旅行をやめさせようと説得を試みるも、聞く耳を持たない。そんな中、同じマンションの住人の百合子さんはエンに、夢で見た交通事故はもうすでに起こった出来事である、と告げる。いったいどういう意味なのか?もしそれが本当だとしたら、今エンの目の前にいる家族はいったい誰なのか?そして不吉な絵を描く老婆の正体は…?
2018年、駆け出しTVディレクターの桜子(阿部純子)は、ロシア兵墓地の取材を皮切りにロシアに行くことが決定していたが、興味を持てずにいた。しかし祖母(山本陽子)から自身のルーツがロシアにあることを知り、さらにロシア兵と日本人看護師の、二人の日記を紐解いていくうちに衝撃の事実を知ることに・・・。
平成29年度橋田賞新人脚本賞最終選考に選出された、脚本家波流じゅんのオリジナル脚本を映画化。介護施設で働く波子の前に、幼い頃自分を虐待して捨てた母華絵が突然現れる。母は全てを忘れていた。華絵の担当になった波子は、無邪気に笑いかけてくる認知症の母を受け入れる事が出来ず、一人苦しむ。そんなある日、華絵の義理の娘の聡子が華絵に暴力をふるう姿を波子は見てしまう。咄嗟に華絵を守ろうとし、波子は母に愛されたいと思っている自分の気持ちに気づいてしまう。どうやってもこの母から逃れられないのだと、どこか諦めに近い感情が波子を襲う。それでも波子は同僚の尊に支えられながら華絵の介護を続ける。母との時間をやり直しているように思える毎日に、少しずつ波子の心は解けていった。しかし、ある言葉が引き金となり・・・・・・
幼い頃に両親を亡くし、育ててくれた祖父をも失った波(清水尋也)は、祖父のある言葉だけを胸にしまい世界から心を閉ざしていた。しかし、志村(門下秀太郎)と長岡(田中偉登)と出会い、次第に心を通わしていく。高校最後の思い出に、三人はヒッチハイクで北を目指す旅に出て、忘れがたい時を過ごす。そんな中、波が忽然と姿を消してしまい、歯車が大きく狂い出す。あれから4年の月日が経とうとしていた……。波は何故、そして一体どこへ?それぞれがもがき苦しんだ果てに、掴んだ景色とは……?