ダートトッラクレース界で頂点を極めた伝説的ドライバーのサム・マンローは、今は第一線から身を引き、同じ道に進んだ一人息子キャムが自分のようなチャンピオンになることを夢見ていた。しかし父の期待を一身に背負ったキャムは思うように成績を上げることができず、父とライバル関係だった現役ドライバー、リンスキーのチームに移籍することを決意。それを機に、父と子の間に深い溝ができてしまう。サムは父親としての生き様を、さらにチャンピオンとしての誇りを息子に示すかのように、再びレースの世界にカムバックする......。
ローマ市の職員で福祉課に勤め、妻(エレナ)と二人の子供と穏やかな生活を送っていたジュリオ(40歳)。ふとしたはずみで、同僚の女性に送ったメールから、彼女との浮気がエレナの知るところとなり、夫婦仲は険悪に…。話し合いをして、子供のために、仲の良い夫婦を装うと努力することにしたが、ある日、注文を間違った50代のピザ配達員に同情したジュリオが、エレナの嫌いなアンチョビ・ピザを受け取ってしまったことで、ついにエレナが爆発!子供たちの前で大げんかをしてしまう。「もう繕うことはできない」と言うエレナ。それに対してジュリオは、「君が正しい。私が家を出る」と宣言する。思春期の娘カミラは、不器用な父親が心配でならず、部屋探しを手伝い、頻繁に連絡して、つながりを保とうとする。だが、限度を超えた借金をし、夜のバイトをしても支払いが追いつかない、ギリギリの二重生活の中で、ジュリオは疲弊し、次第に無口になっていく。それは、安定した職つき平穏に暮らして来たジュリオ本人にとっても、初めて直面する厳しい現実だった…。