良子は画家の夫、姑、小学生の息子、とともに、地方都市の郊外にある一軒家で静かに暮らしていた。その生活は一見するとなんの不自由もなく穏やかに見えるが、刺々しい義母の態度、闇の商売に手を染め、誰にも分からないように暴力を振るう夫にうんざりする日々。彼女が愛を与えているのはたった一人の弟と、息子だけだ。ある日彼女は、家族の一員を思いがけない事件によって失ってしまう。「あんた、何したと?」悲劇に耐える日々。
伝統的な焼き物の街。そこに14歳の結衣(中島セナ)は、父 信夫(大迫一平)と祖母と三人で暮らしている。美しいと感じたものを、自分の色使いで絵に描くことが唯一の楽しみで、時間があればスケッチブックに絵を描いている。放課後には美術教室に通うが、自分の個性を出すのではなく基礎の知識や技法を重視する指導には馴染めずにいる。