突然目の前から消えた恋人・ゆりの死から100日後、彼女との想い出の品々を胸に、失意のどん底からマジシャンになることを決意した青年・涼。“自分と生き写しの人間”の存在に気付いた彼は、生前「私たちはまた会える」、「流氷が見たい」と言っていた、ゆりの言葉に導かれるように、北海道へ向かう。そこで偶然出会った、亜矢と名乗る、ゆりと瓜二つの女性。彼女もまた、2年前に起こった事故以来、行方不明になっている涼に瓜二つの天才マジシャン・隆との再会を待ち望んでいた――。
水島は、葬儀社のベテラン営業部長。彼の会社に茶髪でピアスの若者・高梨が面接にやって来た。水島は周囲の反対を押し切って採用を決める。一見、軽薄に見える高梨だが、実は、御遺族にしっかり向き合い、自然体で心に寄り添う豊かな感受性の持ち主であった。妻を自殺で亡くした水島は、数多くの人の「死」を悲しむ心を押し殺してきたが、高梨との出会いによって熱い心と妻への思いを取り戻していく。そんなある日、高梨がいじめを苦に自殺した故人に想いを寄せるあまり、参列者を罵倒するという騒ぎを起こしてしまう……。