「あずみ」の北村龍平監督を輩出した「インディーズムービー・フェスティバル」でグランプリを受賞した山口洋輝の監督出世作。近未来の階層居住区を舞台に、不思議な力を持つ少女・ルキノに降りかかる惨劇をスタイリッシュに描くSFサスペンス。何百階層にも渡って重なり連なる居住区。其処に彼女は住んでいた。藤崎ルキノ、17歳。ある朝、階層を網羅する交通機関“移動機筒”に乗り込むのだが…其処に居合わせた8人に襲いかかる突然の惨劇!!流れ込むノイズ。呼び起こされる過去。記憶。潜在能力。閉塞空間の中、ルキノの能力によって暴き出される様々な精神世界。真実とは何か?常識とは何か?その基準は何処にあるのか。そして真相は解き明かされる。 <怖くて、逃げ出したくなるが、その圧倒的呪縛から逃れる術は無い!不思議な雰囲気と味のある映画。伊藤潤二(漫画家)>
2033年、「大崩壊」と呼ばれる地球規模の天変地異が発生した。わずかに生き残った人類は、それぞれの文明を寄せ集め、小さなコミュニティを築く。1000年後、それは「ヲ乃ガワ」と呼ばれる王国となり、国王が旧世界の情報を独占していた。ある日、考古学者月山(つきやま)ヲノガは1000年前の地層から風化した携帯電話を発掘する。その基盤から旧世界に関する情報の復元に成功するヲノガ。そこにはヲ乃ガワの歴史を揺るがす、ある証拠が隠されていた。次々と犠牲を払いながらも、遺物探査機ネプカキや仲間とともに、国が隠蔽し続ける秘密に迫っていくヲノガ・・・。ミステリアスな弔屋(とむらいや)戸村チヌノの協力でたどり着いた先に待っていた驚愕の真実とは?そして人類の未来は?
とある山林で黒い液体に覆われた男が発見される。その男、工藤は数週間前から行方不明になっていた医療系企業の研究員であると思われた。警察の取り調べに工藤は告白する。再生医療を研究している工藤は、ガンに冒された恋人の卑弥子を救うために、同僚の天才研究者の螺子(ねじ)と3人で山中の保養所にこもり、人類にとって新たなる細胞の研究開発を行なっていた。しかし、卑弥子を救うはずのその細胞は、卑弥子の身体を乗っ取り、恐るべき暴走を始めたというのだ。そして、その背後には工藤と卑弥子、螺子の錯綜する恋愛感情があった・・・。
女癖が悪く傲慢なTVディレクターの金子は、アイドル・ユカが出演する心霊番組を頼まれ、心霊スポットとして知られる山奥の廃墟に赴く。そこでは飛び降り自殺で成仏できなかった霊が目撃者に憑依するという。撮影を進めるうち、ユカとADが廃墟の地下で行方不明になり、皆が捜す中、ひょんなことから金子は廃墟に一人取り残されてしまう。そんな金子を不可解な心霊現象と、廃墟内にしかけられた残酷な罠が襲う・・・。パニック寸前になる金子だったが疑念がわき起こってくる。これは心霊などではなく、ユカやスタッフが仕組んだものではないのか・・・?金子には皆に恨まれる心当たりがあったのだ。
ケーブルテレビ局のディレクター百合子は、不倫関係のプロデューサー藤崎と、旧道のトンネルに現れる「マッチ売りの少女」のうわさを番組にするべく撮影に出掛け、「少女」らしき存在に出会うが、カメラには何も映っていなかった。取材を進めるうち、1970年前後に武力闘争を掲げる過激派の学生たちがこの村に潜伏し、メンバーに真知子という女子学生がいて、仲間の性的対象となっていただけではなく、村人たちと売春を強要されていたことを知る。しかも真知子は学生たちが去った後も村の男たちの慰み者になり、やがて存在が邪魔になると焼き殺されたのだった。ところが、真知子は焼き殺される最中に一人の女の子を産み落としていた・・・